高知県檮原(ゆすはら)町には、平成4年と9年夏、マラソンで2回訪れました。
その檮原町について、10日の朝日が社説で取り上げていました。(読まれた方も多いと思いますが)
【高知県檮原町は四万十川の源流域にある。町の91%は森林だ。人口は4400
人。その多くは森を縫う沢水を引いて生活している。そんな里で、中越武義町長は住民からしばしばこんな訴えを聞く。
「水が枯れた」
原因は森を十分手入れしていないことにある。木のほとんどは戦後の造林政策で植えたスギやヒノキだ。人工林は適度に切る間伐をしないと、茂った葉が光を遮り、草が育たない。すると土壌が固まり、水がしみこみにくくなる。わき水も細る。
ここに、「緑のダムづくり」に乗り出した町長の発想の源がある。水を養って、豊かな環境をつくろうというのだ。
森林の所有者はなかなか間伐をしない。木が高値で売れないからだ。1ヘクタール間伐するのに普通15~30万円かかるが、うち7割近い補助が政府と県から出る。それでも赤字になりかねない。
そこで町は大胆な手を打った。従来の補助制度に01年度から、なんと10万円を上乗せした。森林所有者は間伐材が売れなくても、利益になる計算だ。助成は風力発電の売電収入の一部を充てるという支えがあるから維持できているが、これだけの助成金を出すのは町の危機感が大きいからだ。
間伐は02年度に前年度の5割増しにふくらんだ。03年度も順調に伸びた。
異色なのは助成の条件として、森林管理協議会(FSC)という国際機関の認証林になるよう森林所有者に約束させることだ。森林を丸ごと切らない。野生生物を大切にする。売りやすい針葉樹だけでなく、水をたっぷりためる広葉樹も大事にする。・
・・(中略)・・
檮原町の森林組合はこの2年ほどで臨時職員を含め10人以上を雇い入れた。間伐には土建業の4社も参入してきた。緑のダムづくりは、土建に偏した地上の産業のゆがみを正し、雇用も広げている。】
続いて11日の朝日社説。
【高知県の四万十川を渓谷に沿って下っていく。流れが緩やかになる西土佐村まで来ると、川のほとりに、くすんだ3階建ての校舎が立っている。
学校ではない。過疎化で廃止された小学校を子どもたちを育てる場として役に立てているのだ。
担い手の山下正寿さんは高校の教師だった10年近く前、高知県がつくった教育改革を考える会の委員を務めた。その会合で「地域と学校をつなぐ拠点として廃校舎を使ってはどうか」と提案した。・・
言い出しっぺの責任感で高校を辞め、かつての勤務地で実行に移した。
若者や地元の人らと活動を始めたのは99年。運営母体としての社団法人をつく
り、宿泊施設には「四万十樂舎」と名付けた。・・・
村の小学校と手を携えて取り組んだ「川のみはり番」という綜合学習がある。川の動物や植物に詳しい大学生に来てもらい、子どもと一緒に網で魚や虫をとる。子どもは絵や作文をかき、水質を調べて環境を守る大切さを学ぶ。・・・(後略)・・】
自分の馴染みの地の、良い記事はうれしくて、つい、長々と引用しました。
04/01/12
その檮原町について、10日の朝日が社説で取り上げていました。(読まれた方も多いと思いますが)
【高知県檮原町は四万十川の源流域にある。町の91%は森林だ。人口は4400
人。その多くは森を縫う沢水を引いて生活している。そんな里で、中越武義町長は住民からしばしばこんな訴えを聞く。
「水が枯れた」
原因は森を十分手入れしていないことにある。木のほとんどは戦後の造林政策で植えたスギやヒノキだ。人工林は適度に切る間伐をしないと、茂った葉が光を遮り、草が育たない。すると土壌が固まり、水がしみこみにくくなる。わき水も細る。
ここに、「緑のダムづくり」に乗り出した町長の発想の源がある。水を養って、豊かな環境をつくろうというのだ。
森林の所有者はなかなか間伐をしない。木が高値で売れないからだ。1ヘクタール間伐するのに普通15~30万円かかるが、うち7割近い補助が政府と県から出る。それでも赤字になりかねない。
そこで町は大胆な手を打った。従来の補助制度に01年度から、なんと10万円を上乗せした。森林所有者は間伐材が売れなくても、利益になる計算だ。助成は風力発電の売電収入の一部を充てるという支えがあるから維持できているが、これだけの助成金を出すのは町の危機感が大きいからだ。
間伐は02年度に前年度の5割増しにふくらんだ。03年度も順調に伸びた。
異色なのは助成の条件として、森林管理協議会(FSC)という国際機関の認証林になるよう森林所有者に約束させることだ。森林を丸ごと切らない。野生生物を大切にする。売りやすい針葉樹だけでなく、水をたっぷりためる広葉樹も大事にする。・
・・(中略)・・
檮原町の森林組合はこの2年ほどで臨時職員を含め10人以上を雇い入れた。間伐には土建業の4社も参入してきた。緑のダムづくりは、土建に偏した地上の産業のゆがみを正し、雇用も広げている。】
続いて11日の朝日社説。
【高知県の四万十川を渓谷に沿って下っていく。流れが緩やかになる西土佐村まで来ると、川のほとりに、くすんだ3階建ての校舎が立っている。
学校ではない。過疎化で廃止された小学校を子どもたちを育てる場として役に立てているのだ。
担い手の山下正寿さんは高校の教師だった10年近く前、高知県がつくった教育改革を考える会の委員を務めた。その会合で「地域と学校をつなぐ拠点として廃校舎を使ってはどうか」と提案した。・・
言い出しっぺの責任感で高校を辞め、かつての勤務地で実行に移した。
若者や地元の人らと活動を始めたのは99年。運営母体としての社団法人をつく
り、宿泊施設には「四万十樂舎」と名付けた。・・・
村の小学校と手を携えて取り組んだ「川のみはり番」という綜合学習がある。川の動物や植物に詳しい大学生に来てもらい、子どもと一緒に網で魚や虫をとる。子どもは絵や作文をかき、水質を調べて環境を守る大切さを学ぶ。・・・(後略)・・】
自分の馴染みの地の、良い記事はうれしくて、つい、長々と引用しました。
04/01/12