古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

株価はブービー賞

2008-01-15 | 経済と世相
 今年の東証大発会は終値で、600円余の下落、1万5千円を割りましたが、14日のニュースは、昨年の株価上昇率が、日本は世界52カ国でドベ2と伝えていました。ブービー賞ですね。
 先日、サブプライム問題での株値下落に、官房長官が「サブプライムによる損失は日本の銀行はそう大きな損失ではないから、株価は日本経済の実態を表してはいない」という趣旨のコメントをしていました。
 以下は、官房長官でなく、小生のコメントです。
 「株価が上がるか下がるかは、その株を発行している企業の業績で決まるのでなく、直接には株式を買う人が多いか少ないかできまる。
 現在、日本の株式売買の60%は外資による取引です。その外資の主力はアメリカのファンドであり、彼らは米国で生じた損失を埋めるために、東京で株を売っています。つまり、日本の金融機関の損失よりも米国の金融機関の損失の方が東京市場に大きく影響するようになった」。
 これが金融証券の自由化の実態です。先日メールしたように、藤原正彦先生も言っています。
 【戦艦でもタンカーでも、船腹には多くの仕切りが設けられ、魚雷や衝突により一ヶ所に穴があいても被害が全体に及ばないようにしてある。カネとモノが国境をこえて自由に移動するということは、実に効率的ではあるが、仕切りなきタンカーのようなもので、一ヶ国の破綻が世界の破綻を引き起こすという脆弱なものなのである。】
 少しでも日本の株式市場を安定させるには、株式取り引きに参加する人は、外国人よりも日本人を多くする必要があった。そのためには株式投資に参加出来る階層、中産階層を増やさねばならない。にも拘らず、小泉内閣以来の政策は、国民を富裕階層と年収200万に満たない貧困層とに格差付けるものだった。

 それにしても、サブプライム問題って、90年代の日本の不良債権問題にそっくりですね。日本では、土地価格のバブルでしたが、今回の米国は住宅価格のバブルです。当時日本では「失なわれた10年」という言葉が喧伝されました。これからは、米国が「失われた10年」を迎える?
 今日、プールの帰りに、図書館で雑誌をめくっていたら、中央公論の2月号で、水野和夫さん(三菱UFJ証券)が「グローバル資本主義の暴走と民主主義の終焉」と題する論文を寄稿していました。
 「日本のバブルを追う米国」という章の中で、細かい計算は省きますが、結論として「(米国の)過剰債務の完済には8年かかることになり、米国もまた”失われた10年”となる可能性が高い」と述べていました。
 ”失われた10年”については、日本がアメリカを追い抜いていたようです。
 原油価格が100ドルを越えて話題になっていますが、これも、ドルという基軸通貨に対する不信、換言すると米国経済に対する不信が、資源価格の高騰を結果したもので、サブプライム問題と無関係ではない。
 「日本の金融機関の損失はたいしたことない」とのんきに構えている政治家には困ったものです。

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