古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

一年に10人しか自殺しない会社

2014-12-20 | 読書
「一年に従業員が10人しか自殺しない会社」を、経済学者の野口由紀雄さんが、週刊新潮12/18号で紹介していました。
『フォックスコン』という会社がある。アップルの他、デルやヒューレット・パッカードなどの大手PCメーカーから受注している。ソニーの携帯電話なども生産している。シャープの筆頭株主になったホンハイの中核子会社だ。
 一般に電子機器の受託生産を行うことをEMSというが、フォックスコンは世界最大のEMS企業である。EMS企業は複数のメーカーから受託して電子機器の量産を行うが、自社ブランドの生産は行わない。設計は依頼者側が行う。ただし、受注先に代わって設計したり、資材の決定をしたりする場合もある。
 従業員数は、情報が公開されておらず、また急速に成長していることもあって、盛夏期にはわからないのだが。wikipediaは12年時点で123万人としている。ウォルマート220万人、マクドナルド190万人には及ばないが、トヨタ34.3万人よりずっと多い(トヨタの場合連結ベース、関連企業を含む)
 10年ごろ、80~90万人と言われていたから、数年で5割程度増えたわけ。現在では160万人とされる。Iphopne6の大量生産のために、河南省内で大規模な募集を行い作業員10~20万印を確保したと言われる。フォックスコンの工場は世界各地にあるが、大部分は中国にある。最大のものは深圳にある。
 この工業団地で業員数は、20~45万人と言われる。シャープの亀山工場はピーク時の従業員数は3000人程度だったから二けた違う。
 敷地内には15の工場があるが、それだけではない。レストラン、カフェ、スーパーマーケット、テニスコート、バスケットボールコート、体育館、サッカー場、それに2つの巨大な水泳プール、銀行や図書館もある。ラジオ局、病院も消防署もある。・・・
2007年、最初のiphoneが販売される予定日の1ヶ月前のこと、画面に擦り傷がつくのを見たスチーブ・ジョブスが「6週間以内にガラス製スクリーンに変更」との緊急決定を行った。そこで、フォックスコンの工場に対して生産ラインの全面見直し指令が出された。
ガラススクリーンが工場に到着し始めたのは真夜中だった。工場の現場監督は、寮に住む8000人の作業員を叩き起こし、彼女たちはビスケットとお茶を与えられ、工場につれて行かれた。
 それからわずか30分で、ガラス製スクリーンをフレームにはめ込む作業が、12時間シフト体制で開始された。96時間後には、工場は1日1万台のペースでIphoneを生産していた。3か月後、アップルは100万台の販売をした。
 このような速度で生産変更ができる工場は、アメリカにはない。作ろうとしてもできない。フォックスコンの従業員は寮に住んでいるから、突然の生産変更にも対応できるのだ。
 アップルの製品は、確かに優れたアイデアから生まれたものだ。しかし「もしもこの世にフォックスコンが存在しなければ、私たちはiphoneもipadもプレイステーシヨンも存在しない世界に生きねばんらなかった」という文句が一時、中国で流行ったそうだ。
 2010年、フォックスコンの工場で10人の自殺者が出た。世界最先端のアップル製品が、自殺者多発工場で生産されている!世界中のメデイヤがこのニュースに飛びついた。
だが、BBCが伝えた。
「中国の自殺者数は平均10万印に15人。フォックスコンには40万人いるから、自殺者数は「平均より異常に低い」。
 野口さんが言いたかったことは、グローバル化の時代、我われの想像もつかない新しいビジネスモデルが生まれつつあろということか。

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