古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

小泉以下?

2004-06-15 | 読書
尾張名古屋のNOZUEです。
 立花隆著『イラク戦争・日本の運命・小泉の運命』(講談社)という本を読んでい
たら、こんなくだりがありました。
【もとより、政治家の仕事に毀誉褒貶はつきもので、その真価は、棺を覆うまでわか
りがたいものだし、小泉改革にしても、まだ成功の途上にあるのか、失敗の途上にあ
るのか、見極めがたいと思うが、私は少なくとも、あのバブル時代を作った元凶の二
人の長老政治家より、小泉のほうが、この数年間、実質破綻状況のこの日本経済を、
本当のパニックにおちいる寸前のところでおさえきっているという一点だけでも、政
治家として高く評価できると思っている。】
 「最低の首相は小泉?」とメールした私に、立花さんから、もっと下がある、と異
議を申し立てられたような気がします。
 確かに、中曽根さんは、日本経済を米国に圧伏させる日米構造改革協議(正しくは
協議でなく、主導)をレーガンに飲まされたし、その後のバブル経済を起こした時代
の蔵相・首相は宮沢さんでした。立花さんは、この本の中で、お二人を経済敗戦の戦
犯と糾弾しています。
 しかし、経済政策以前の問題として、憲法に対する態度があるというのが、私の私
見です。立花さんもこの点に関し、小泉は憲法9条の改定を狙っているとし、これに
反対し、こう述べています。
【かつて(戦前)日本の財政は、半分以上が軍事費だった。しかし、戦後は、自衛隊
ができて、相当の軍備を整えたにもかかわらず、憲法9条あるが故に、防衛費にGDP
1%枠をはめることができ、そのせいも多分にあって、世界有数の経済的繁栄を享受
することができた。】

 実際、ニュースは、「多国籍軍の司令官の指揮下に入らないから、憲法違反に当た
らない!」という首相の詭弁を伝えています。でも、多国籍軍の指揮下に入ること
が、多国籍軍に参加すると言う意味で、多国籍軍の指揮下に入らないということは、
多国籍軍に参加しないということなのです。
 「非戦闘地域に派遣するのだから憲法違反に当たらない!」というのと全く同じ詭
弁です。
 小泉さんは、なし崩しに9条を形骸化して、最後は「形骸化した憲法は改定しま
しょう」と、憲法改定に持っていこうという戦略にみえます。

 今月に入って、半藤一利著『昭和史』(平凡社)と、この立花さんの本を読みまし
た。前著が1926~1945の日本史を語り、この立花本は、小泉内閣以後に重点を置きな
がら、1940年以降の日本の歴史を述べています。どちらも、非常に分かりやすい
文章で、日本の近・現代を語っています。

 両著を読んで、中曽根・宮沢・小泉と最低の首相が続くのは、日本民族の興隆期が
終わり、衰退期に入った証拠なのかと思った次第です。

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