古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

池田教授のTPP論

2011-12-04 | 経済と世相
  生物学者の池田清彦さんが、TPPを論じていた(週刊朝日12月2日号)。
【野田首相は是非ともTPPに参加したいようであるが、今TPPに参加したらどんなことになるか、頭を冷やして考えた方がいい。かくいう私も実は大震災前まではTPPへ参加しても別にたいしたことないんじゃないかと思っていた。・・・超高級品の農産物を作って中国とインドの金持ち連中に売りつければいいんだからTPPは関係ないよと主張したのだ。
しかし福島第一原発の大事故によってこの話はお釈迦になった。日本の農産物は放射能汚染が疑われて、ここしばらくは高値では売れないだろう。またここに来て分かったことは、自動車などの工業製品が外国で売れるかどうかは為替相場次第で、関税の撤廃は余り関係ないことだ。
震災後、アメリカがデフォルト寸前になり、ユーロ圏ではギリシャの財政が実質上破綻して、為替相場は円独歩高だ。これが何を意味するかよく考えた方がよい。ざっくり言えば、日本はねらわれているのだ。なぜ1000兆円もの借金があり、津波と原発事故で痛みつけられている国の通貨が世界で一番強いのか。そしてなぜアメリカがTPPへの参加を日本に強く迫るのか。それは、アメリカが日本を食い物にしようと虎視眈々とねらっているからだ。そう考えればすべて帳尻があう。TPPは、農業では多少損するが、工業製品の輸出では儲けの方が多いといった問題ではさらさらないのだ。私はそのことに思い至ってちょっと背筋が寒くなった。
TPPが実施されれば、ドル安円高を利用して、アメリカは日本にどんどん物を売りつけるだろう。労働市場が自由化されれば、アメリカの失業者が日本に送り込まれるかもしれない。これらを阻害する国内法はTPPの大義の下につぶされる。野田は日本をアメリカの植民地にしたいのだろうか。】

「じっくり考えた方がいい」、私も同感です。私の考えでは、TPPは経済問題ではなく、外交・国防の問題なのです。日本の防衛が今後もアメリカに頼りたいのであれば、疲弊したアメリカ経済を救うため日本は相応の負担をせよ、というのがアメリカのTPPの本音です。
日本の防衛をアメリカに頼るべきだと考える人たちにとっては、TPP参加以外の選択肢はない!そこで、今後も日本はアメリカに防衛を頼るべきか、じっくり考えた方がいいのです。