【いわゆる「失われた10年」,その原因は銀行の機能不全であった。】
この種の主張は筆者以外にも、多くのエコノミストが述べているが、この本の著者
は「銀行の機能不全とは何か」から始めている点が類書と異なる。
即ち,リスクをとる企業が存在しなければ、経済の成長はありえない。そのリスク
をとる企業に資金を供給するのが銀行に求められる機能だという。
バブル以前までは、こうしたリスクマネーを銀行は供給してきた。土地を担保にす
れば、事業リスクを気にせずに、リスクマネーの供給が可能であったからだ。ところ
が、バブル以後,土地は値下がりすることもある時代になり、事業リスクの判定をし
ないと貸し出しができなくなった。土地を担保に取ることだけ考えて貸出ししてきた
ので、事業リスク判定のノウハウを、日本の銀行は身につけていなかった。従って、
バブル破裂以後、銀行はリスクマネーを供給しなくなった。
昨年後半から本年3月まで、実に40兆円に近い金額のドル買い介入を政府・日銀
は行った。
実は、この金が米国債購入に回り,米国の国債を売った企業やファンドが、資産バ
ランスを考えて米国以外の国の投資に回った。その一部は日本の株式の購入にも回っ
た。
リスクを取る者は、リスクがあっても耐えられるよう資産の分散をする。米国資産
だけでなく,欧州も日本にも資産配分を考えるのである。
つまり、日本のドル買い資金が回りまわって、日本株の外人買い資金になって、日
本の景気を刺激した(勿論、中国にも同様な資金循環が起こった)。直接日本の金融
機関がリスクマネーを供給すれば、景気は刺激できるのだが、日本の金融機関は一切
リスクを取ろうとしない!ハゲタカファンド(あまり良い言葉でないが)の手を煩わ
せることになる。著者は言う。【わが国にとっては自国の金融システムが機能しない
なかで、海外の金融機関の力を借りた】
【金融緩和を受けて貸し出しが増加し、資産価格上昇などの効果が見られれば、そも
そも介入は今回のように大規模にならなかったはずである。金融システムの機能不全
により国内の貸出しや地価・株価に与える影響が弱まり、円安効果も限られることか
ら、量的緩和の強化と介入の継続が必要になり・・】
経済・金融をグローバル化した結果、世界中の資金の循環を考えないと,景気の動
きは分からないと愚考する所以です。
この種の主張は筆者以外にも、多くのエコノミストが述べているが、この本の著者
は「銀行の機能不全とは何か」から始めている点が類書と異なる。
即ち,リスクをとる企業が存在しなければ、経済の成長はありえない。そのリスク
をとる企業に資金を供給するのが銀行に求められる機能だという。
バブル以前までは、こうしたリスクマネーを銀行は供給してきた。土地を担保にす
れば、事業リスクを気にせずに、リスクマネーの供給が可能であったからだ。ところ
が、バブル以後,土地は値下がりすることもある時代になり、事業リスクの判定をし
ないと貸し出しができなくなった。土地を担保に取ることだけ考えて貸出ししてきた
ので、事業リスク判定のノウハウを、日本の銀行は身につけていなかった。従って、
バブル破裂以後、銀行はリスクマネーを供給しなくなった。
昨年後半から本年3月まで、実に40兆円に近い金額のドル買い介入を政府・日銀
は行った。
実は、この金が米国債購入に回り,米国の国債を売った企業やファンドが、資産バ
ランスを考えて米国以外の国の投資に回った。その一部は日本の株式の購入にも回っ
た。
リスクを取る者は、リスクがあっても耐えられるよう資産の分散をする。米国資産
だけでなく,欧州も日本にも資産配分を考えるのである。
つまり、日本のドル買い資金が回りまわって、日本株の外人買い資金になって、日
本の景気を刺激した(勿論、中国にも同様な資金循環が起こった)。直接日本の金融
機関がリスクマネーを供給すれば、景気は刺激できるのだが、日本の金融機関は一切
リスクを取ろうとしない!ハゲタカファンド(あまり良い言葉でないが)の手を煩わ
せることになる。著者は言う。【わが国にとっては自国の金融システムが機能しない
なかで、海外の金融機関の力を借りた】
【金融緩和を受けて貸し出しが増加し、資産価格上昇などの効果が見られれば、そも
そも介入は今回のように大規模にならなかったはずである。金融システムの機能不全
により国内の貸出しや地価・株価に与える影響が弱まり、円安効果も限られることか
ら、量的緩和の強化と介入の継続が必要になり・・】
経済・金融をグローバル化した結果、世界中の資金の循環を考えないと,景気の動
きは分からないと愚考する所以です。