古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

虎の城

2005-02-12 | 読書
 小説「虎の城」(火坂雅志著,祥伝社)を読み終わりました。久しぶりに面白い歴
史小説を読んだ、と思います。
 面白いか面白くないかは、読む人の嗜好の問題ですから、他人に「面白い!」と保
証は出来かねますが,歴史小説の好きな方には、お勧めできると思います。
 藤堂高虎という戦国の武将を主題とした小説(伝記と言っても良い)ですが、高虎
については、秀吉の家臣で、伊勢・伊賀の領主・藤堂藩の初代藩主という知識しかあ
りませんでしたが、どんな仕事をした人かがよく分かりました。それに、小説の舞台
が、自分がマラソンで旅行した各地にわたっていました。高虎は築城の名手で、各地
の城を作っています。旅行に行くと、なるべく時間を都合して城や城跡を見るように
していますので、400年前には、この地でこんなことがあったんだと、あらためて
認識できました。
 小堀遠州の名前はご存知と思います。全国各地に、遠州作の日本庭園があるようで
すが、遠州の妻は、高虎の養女。つまり、高虎は遠州の義父にあたる。築庭の名手と
築城の名手と相通ずるものがあったのかもしれません。

 先ほど、”秀吉の家臣”と書きましたが、実際は秀吉の弟,秀長に20年以上仕
え、家老職まで務めたのですが、秀長の没後、子の秀保が若死に(この小説では石田
三成の暗殺ということになっている)して、お家断絶。高野山に隠棲するが、その才
を惜しまれて、秀吉に召し出され、伊予宇和島の領主になる。
 だから、秀吉に仕えたのは数年で、それも秀吉の晩年、朝鮮出兵や殺生関白事件な
どの秀吉のマイナス面が表面化した時代です。だから、秀吉が死ぬと、三成への反感
もあって、あっさり徳川シンパになったようです。

 伊予(愛媛県)の領主となって、領民の統治に気を使う話から、こんな文章があり
ました。
 「大金を手にした時、東予人はそれを元手に商売を始め、何倍にも増やす工夫をす
る。中予人は貯蓄をし、その金利で趣味に生きる。南予人は、豪遊して、パッと一晩
で使ってしまう。」
 これって、伊予人に限らないな、と思いました。皆さんもこのどれかに該当するの
ではありません?