日本経済全体を一つの会社とみなした場合、その損益計算書とバランス・シートは
どうなっているだろうか?こんな途方もない計算をした人がいる。新潟大学経済学部
助教授の桜内文城さんです。
以下,桜内さんの著書『公会計革命』(講談社現代新書)からの抜書きです。
筆者は,バランス・シートは生産勘定、処分・蓄積勘定、調整勘定の三分野で作成
すべきと述べます。抜書きですから、これをみてもどうしてそうなる?と分からない
かもしれませんが、興味を感じられたら同書を参照ください。
平成14年のデータを基に、算出した結果です。
1. 生産勘定とは、平たく言えば、与えられた資本(生産設備)と指示された仕事
の仕事範囲で、どれだけ効率よくお金を稼いだか」ということを示す。
生産勘定を見ると,国内のすべての売上げを意味する総需要は914兆7503億
円、これらを売上げを獲得するためにようした費用、すなわち中間投入が421兆3
541億円。従って、生産勘定の収支尻である付加価値、即ち国内総生産(GDP)
は、493兆806億円である。(誤差3156億円)
平成14年、われわれ日本国民は不景気やリストラにもめげず、持ち前の勤勉さを
発揮してせっせと稼ぎ、493兆806億円ものお金を稼いだ―――というわけであ
る。
2.ではこうして苦労して稼いだお金は、どのように使われたのであろうか。処分・
蓄積勘定とは、これもまた平たく言えば,「お金を持っていた人がそのお金をどのよ
うに使ったのか」を示す勘定である。
この勘定の借方(左側)では、最終消費支出372兆5959億円,投資は120
兆、固定資産減耗分98兆を差し引いて純固定資本形成は21兆8609億円。
貸方(右)では「負債の変動」が目立つ。この年、政府は構造改革路線を標榜しつ
つも30兆円を越える新規国債の発行を行っている。それにも拘わらず、日本国全体
でみれば負債が38兆838億円減少している。・・・銀行の貸し剥がしか、不良債
権の放棄?
この年、日本国民一丸となって奮闘努力、処分・蓄積勘定の貸方で、正味資産の変
動は29兆2221億円の増加(+1.1%)。この不景気の中でよく頑張った!
3.調整勘定。・・・資産・負債の再評価差額や不良債権処理の債権放棄など。
バブルの崩壊に伴う資産デフレの影響で、惨憺たる状況を呈している。・・・正味
資産の変動は132兆9030億円という大幅な減少を記録した。
平成14年中に日本国民が汗水たらして蓄積した処分・蓄積勘定上の増加額29兆
2221億もあっさり吹き飛び、最終的な正味資産(国富)は、103兆6809億
円もの減少を記録した。
その結果,平成14年中の日本国全体の最終的ROE(自己資本利益率)は、『―
3.58%』これだけ国富を食い潰して景気が良かろうハズはない。
現在、いくら日本人が一生懸命働いて生産勘定でお金を稼いでも、過去の資本蓄
積、即ち処分・蓄積勘定に関する判断が誤っていた。そのために、稼いだ以上の正味
資産が10年以上にわたって失われ続けている。われわれ日本人は、生産勘定に関わ
る活動領域において・・卓越した能力を発揮する。ところがその一方で、処分・蓄積
勘定の活動領域においては驚くほど無能になる。
・・・と筆者は言っているのですが,著者の主張の当否は別として,こうした日本全体
のバランス・シート上で数字の議論をする,また、そうした数字を把握することが出
来る(かなり努力は必要と思いますが)時代になったことに感心しています。
どうなっているだろうか?こんな途方もない計算をした人がいる。新潟大学経済学部
助教授の桜内文城さんです。
以下,桜内さんの著書『公会計革命』(講談社現代新書)からの抜書きです。
筆者は,バランス・シートは生産勘定、処分・蓄積勘定、調整勘定の三分野で作成
すべきと述べます。抜書きですから、これをみてもどうしてそうなる?と分からない
かもしれませんが、興味を感じられたら同書を参照ください。
平成14年のデータを基に、算出した結果です。
1. 生産勘定とは、平たく言えば、与えられた資本(生産設備)と指示された仕事
の仕事範囲で、どれだけ効率よくお金を稼いだか」ということを示す。
生産勘定を見ると,国内のすべての売上げを意味する総需要は914兆7503億
円、これらを売上げを獲得するためにようした費用、すなわち中間投入が421兆3
541億円。従って、生産勘定の収支尻である付加価値、即ち国内総生産(GDP)
は、493兆806億円である。(誤差3156億円)
平成14年、われわれ日本国民は不景気やリストラにもめげず、持ち前の勤勉さを
発揮してせっせと稼ぎ、493兆806億円ものお金を稼いだ―――というわけであ
る。
2.ではこうして苦労して稼いだお金は、どのように使われたのであろうか。処分・
蓄積勘定とは、これもまた平たく言えば,「お金を持っていた人がそのお金をどのよ
うに使ったのか」を示す勘定である。
この勘定の借方(左側)では、最終消費支出372兆5959億円,投資は120
兆、固定資産減耗分98兆を差し引いて純固定資本形成は21兆8609億円。
貸方(右)では「負債の変動」が目立つ。この年、政府は構造改革路線を標榜しつ
つも30兆円を越える新規国債の発行を行っている。それにも拘わらず、日本国全体
でみれば負債が38兆838億円減少している。・・・銀行の貸し剥がしか、不良債
権の放棄?
この年、日本国民一丸となって奮闘努力、処分・蓄積勘定の貸方で、正味資産の変
動は29兆2221億円の増加(+1.1%)。この不景気の中でよく頑張った!
3.調整勘定。・・・資産・負債の再評価差額や不良債権処理の債権放棄など。
バブルの崩壊に伴う資産デフレの影響で、惨憺たる状況を呈している。・・・正味
資産の変動は132兆9030億円という大幅な減少を記録した。
平成14年中に日本国民が汗水たらして蓄積した処分・蓄積勘定上の増加額29兆
2221億もあっさり吹き飛び、最終的な正味資産(国富)は、103兆6809億
円もの減少を記録した。
その結果,平成14年中の日本国全体の最終的ROE(自己資本利益率)は、『―
3.58%』これだけ国富を食い潰して景気が良かろうハズはない。
現在、いくら日本人が一生懸命働いて生産勘定でお金を稼いでも、過去の資本蓄
積、即ち処分・蓄積勘定に関する判断が誤っていた。そのために、稼いだ以上の正味
資産が10年以上にわたって失われ続けている。われわれ日本人は、生産勘定に関わ
る活動領域において・・卓越した能力を発揮する。ところがその一方で、処分・蓄積
勘定の活動領域においては驚くほど無能になる。
・・・と筆者は言っているのですが,著者の主張の当否は別として,こうした日本全体
のバランス・シート上で数字の議論をする,また、そうした数字を把握することが出
来る(かなり努力は必要と思いますが)時代になったことに感心しています。