古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

銀行問題のダブルスタンダード

2004-03-28 | 読書
読書感想の最終版、( )内は小生の感想です。

【足利銀行に対しては、旧都銀とはいわば180度異なる処理をすることが決まっ
た。地銀や第二地銀は、一時国有化路線でいきますよ、というに等しい。大手銀行に
は適用されなかった竹中流のハードランデイング路線は、相手が地銀であればどんど
ん適用するということであろう。
 これは明らかに、ダブルスタンダードであった。】
(りそなと足利銀行への政府の対応は、完全にダブルスタンダードです。メガバンク
の破綻は、海外に影響大で米国からクレームがつく?足銀はその影響が栃木県に留ま
る?だからダブルスタンダードになった、と考えるのは小生の僻みでしょうか)
【大手銀行の処理が甘いということは、りそな銀行の実質国有化が決まった昨年5月
の連休明けの時点で、外国人投資家にとってはすでに了解事項になっていた。だから
こそ、東京株式市場では金融株や低位大型株に対する外国人買いが入っていた。りそ
な処理と、外国人の買いが連動していたことはいうまでもないことなのだ。
 公的資金を注入する、という政府の”セーフテイネット”が働いているからこそ、
金融のシステミック・リスクが回避されたという理屈はわかる。だが無原則な公的資
金注入は、国民の血税をドブに捨てるだけである。決済機能が麻痺して企業の連鎖倒
産が起きるというのであれば、決済機能だけを切り離して維持する算段を練ったほう
がまだましであろう。】
 
【日本政府は、国民の経済的苦境を省みることなく、おかしな大手銀行救済策を繰り
返している。大手銀行には仕事がない(TK―ML9088)にもかかわらず、公的
資金を注入するから日本経済は安心だ、という。これは、戦時中の”大本営発表”の
ように聞こえなくもない。】
(大本営発表は、善意に考えれば、国民に心配を懸けない為に行った。銀行問題も国
民に心配させないように、実態を知らせない?)
最後に著者は、イラク問題についても、以下のように疑問を呈しています。
【アジヤという地域で、日本は経済的リーダーシップを発揮できるポジシヨンにい
る。
世界にとって日本は、「国権の発動としての武力行使を行う権利」を放棄している貴
重な国でもある。その憲法は、唯一の核被爆国だからこそ勝ち得たものである。この
輝かしい希少価値を、日本は失おうとしているのではないだろうか。】
 以上、書名に相応しくない真面目な本でした。