古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

イラク戦争の動機

2004-03-18 | 経済と世相
 イラク戦争開始から間もなく一年です。何故、アメリカはイラクを軍事攻撃したか

かねがね疑問に思っていました。巷間いわれたのは、イラクは世界第二の産油国、石
油の利権だという説です。しかし石油だけなら、アメリカは自国でも産出するので、
戦争の危険までおかしてイラクを攻撃するかな?というのが私の疑問でした。ところ
が・・・
 高橋乗宣著「金融資産がねらわれている」(ビジュネス社刊)という本に、明快な
回答を見ました。
『アメリカは、国際決済通貨としてのドルの地位を守りたかった』というのです。
 アメリカは、いわゆる双子の赤字で、どれだけ赤字が出ても、輪転機をまわしてド
ルを印刷すれば、やっていける。国際決済通貨を発行できる特権があるからです。こ
の特権が失われると、アメリカは、ただちに一流国の地位を失うことになるでしょ
う。以下、同書から関連部分を紹介します。

【じつは、イラク軍事攻撃とアメリカの通貨政策が結びついていたのではないか、と
いう見方が広がりつつある。
 イラク攻撃の狙いは当初、世界第二の産油国であるイラクの石油利権ではないかと
言われた。しかし、石油の産出国である当のアメリカが、イラクの油田欲しさに軍事
攻撃をしかけるのは、納得のいかない話だった。
 ただ、イラクの油田を押えるということは、戦略的にもう一つの側面があるのだ。
フランスやロシヤによるイラクの油田開発を阻止するという目的である。つまり、フ
ランスやロシヤが始めようとしていた、ユーロ建てやルーブル建てによる原油取引を
阻止するために、アメリカが軍事侵攻を開始したのではないかということだ。石油取
引の決済通貨が問題だったというのである。
 いま世界の原油取引はすべてドル建てで行われている。石油は世界最大のエネル
ギー資源であり、その取引高は年間でおよそ7億5750万バレル(02年)ドル、
1バレル28ドルとして換算すると、決済資金は年間で212億1000万ドルに上
ることになる。
 ここにもし、ユーロ決済、ルーブル決済の原油が現れ、ドル決済の牙城が崩された
としたらどうなるか。国際決済通貨としてのドルの地位が、揺らいでくるのである。
それは”蟻の一穴”であり、ドルという”巨大なダム”は一気に決壊する可能性さえ
ある。・・・・
 ドルが一手に原油の決済資金を担っている意味は小さくない。そうした決済資金と
して通用するからこそ、強いドル、有事のドルがある。ルーブルはともかく、原油取
引にユーロが侵食してくることは、アメリカにとって大きな脅威であった・・・】