shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Yellow Submarine」UK ステレオ “1R” 盤

2021-11-13 | The Beatles
 最近の私は “ペルー盤”“イスラエル盤” そして “ゲットバック・セッション”の三大祭りで大忙しだったのだが、先日そんな私の間隙を突くように(?) UKオリジナル・ステレオの「Yellow Submarine」スタンパー “1R” 盤が eBay に出品された。たとえどんなに各国盤に熱を上げていようが、UKオリジナルの最初期スタンパー盤は私にとっては未来永劫トップ・プライオリティ、つまり最優先事項である。何を隠そう「Please Please Me」から「Let It Be」に至るまで、UKオリジナル・アルバムすべてのスタンパー1桁盤を入手して毎日ビートルズ三昧して過ごすのが私の究極の夢なのだ。
 「Yellow Submarine」のUK初期スタンパー盤といえばちょうど1年ほど前にB-SELSで “「Hey Bulldog」最強決定戦” というのをやった時に、お店の “1O” 盤と手持ちの “1GO” 盤(←セラーが1桁盤と勘違いして送ってきたもので、その後返品済み)の聴き比べをさせていただいて、スタンパー5番目と15番目の音の違いに唖然とさせられたのをよく覚えているが、今市場に出ているものはそれをも凌ぐ2番目という超最初期スタンパーを使った “1R” 盤である。しかも盤質はEX! もうこれ以上は考えられないと思えたあの “1O” 盤を超える音で「Hey Bulldog」が聴けるかもしれないと思うともう居ても立っても居られない。これ以上となるともう “1G” 盤しか存在しないことになるが、この先盤質の良い “1G” 盤を確実に入手できる保証なんてどこにもないワケで、千載一遇のチャンスと言うべき今回の “1R” 盤は是が非でも獲らねばならない。腹を括った私は渾身の一撃入札を敢行し、首尾よく£107でゲットした。
 このレコードは他のセラーから買ったイスラエル盤やペルー盤と同日に届いたのだが、当然真っ先に超音波クリーニングを施してターンテーブルに乗せた。スピーカーに対峙して音が飛び出してくるのを待っていると、A①「Yellow Submarine」がこれまで聴いたことがないようなリアリティーでもって鳴り始めた。ラウドカットなので当然音はデカいが、それより何より音の世界が驚くほど広いのだ。聴く者を包み込むようなアコースティック・ギターの音は雄大そのものだし、リンゴの声もめっちゃナチュラルに響く。う~ん、これが “1R盤” の音なのか... 私は1曲目から度肝を抜かれた。
 2曲目のA②「Only A Northern Song」を聴いて私はこの曲を見直した。ビートルズの、いやジョージの楽曲の中ですらかなり地味な存在の曲だと思うのだが、この盤で聴くとジョージが意図したサイケな音世界がしっかりと表現されて実に面白いのだ。リンゴのドラムの音もめちゃくちゃシャープで、やっぱりビートルズは最高の音で聴かなアカンなぁと改めて思い知らされた。
 3曲目のA③「All Together Now」を聴くと今でも2013年京セラドームのあの楽しかったステージが目に浮かんでくるが、このレコードで聴けるアコギのザクザク刻むストローク音は快感の一言に尽きる。まるでジャンゴ・ラインハルトのアコギを聴いているかのような凄まじいグルーヴ... う~ん、これはたまらんたまらん(≧▽≦)
 そしていよいよ我が最愛のA④「Hey Bulldog」である。B-SELSで聴かせていただいた “1O” 盤のブルドッグはSさんも私も100点満点を付けるくらい凄かったが、結論から言うとこのブルドッグはそれすらも凌駕して110点、いや120点を付けたくなるほど凄い、いや、凄すぎる。他のブルドッグが霞んでしまうくらい突出した “強烈無比な音” が生み出す凄まじい “ノリ” が超気持ちイイ(≧▽≦)  とにかくこれまで聴いてきた中で文句なしに最高最強の“ブルドッグ”だ。私にとってはこの1曲だけで£100以上の価値がある。
 A⑤「It’s All Too Much」もヤバい。「Tomorrow Never Knows」と同じくドローン効果による渾然一体感がこの曲の一番の面白さだと思うのだが、各楽器の音が “強い” ので、そのドロドロ感に拍車がかかって気持ち良いことこの上ない。この曲に散りばめられたオマージュやパロディの断片が有機的につながって、えもいわれぬグルーヴを生み出しており、それらがエンディングに向かって最高に盛り上がりながら収斂していく様は圧巻だ。
 ラストのA⑥「All You Need Is Love」は曲調のせいかさすがにA③A④ほどサウンド面での衝撃性はないが、それでもポールの闊達なベース・ラインが手に取るように楽しめるのはさすがの “1R効果” と言うべきか。スタンパーが若いとベースの音が一皮剥けたようにこんなにクリアーになるのかと感心させられた。
 というワケで、この “1R盤”は大枚をはたいて買って大正解だった。Discogs のアホバカ・セラーにぬか喜びさせられた1年前のリベンジを果たせて気持ちがスキッとしたのもあるが、これからずーっとこの音で「Hey Bulldog」を聴いていけるというのが何よりも嬉しい。UK最初期スタンパー盤は中々市場に出てこないが、これからも数少ないチャンスを確実にモノにしてやろうと決意を新たにした。とりあえず大好きな「ブルドッグ」をもっかい聴こ(^.^)
The Beatles - Hey Bulldog (Promo video)