shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「A Collection Of Beatles Oldies」ペルー盤

2021-11-16 | The Beatles
 私にとってビートルズのベスト盤と言えば何はさておき中学時代に擦り切れるほど聴いた「赤盤」である。それに比べて「Oldies」というレコードはビートルズの現役時代にリリースされた唯一のベスト盤であるにもかかわらず、そもそもこのアルバムに愛着がないせいか、手持ちの盤はUKモノとUKステレオ、デンマーク盤、それにウルグアイ盤の4枚しかないし、肝心のUK盤の音のキレがイマイチなこともあって、ターンテーブルに乗ることは滅多にない。
 3ヶ月前にB-SELSで買ったペルー盤「RAM」の音に一撃KOされてビートルズ関連のペルー盤蒐集を決意した私はこれまでと同じようにネットで片っ端から探し始めたのだが、ペルー盤自体あまり市場に出回っていないこともあって最初はかなりの苦戦を強いられた。そんな時にいきなり網に引っ掛かってきたのが「Oldies」のペルー盤(ステレオ)だったのだ。
 う~ん... よりにもよって「Oldies」かぁ...(+_+)  本音を言えばオリジナル・アルバムが欲しかったのだが、この際贅沢は言っていられない。とりあえずビートルズの歌をペルー盤の濃厚な音作りで聴ければエエか... と考えた私は$30という値段の安さもあって購入を決意。他のレコと一緒に買ったので送料の点でもおいしい買い物だった。
 先ほど書いたように「Oldies」は肝心かなめのUK盤の音がシャキッとしないので、大元がアカンのやからペルー盤だけエエ音するはずがないやろとあまり期待せずに届いたレコードのマトリクスを確認すると、UKマザーではなく手書きの独自マトである。しかもUK盤と比べてデッドワックス部分が1.5cmも狭いのだ。おぉ、これはひょっとすると生まれて初めて「Oldies」をエエ音で聴けるかもしれん... と急にテンションが上がってきて、ワクワクしながらレコードに針を落とした。
 ところが出てきた音は期待したほどの独自性が感じられない凡庸なものでちょっとガッカリ(+_+)  まぁ絵に描いたような “左右泣き別れ” ステレオはしゃあないにしても、ややハイ上がりで他のペルー盤のような中低域のガッツが感じられないのが一番の問題だ。盤の見た目は何の問題もないのだが、ひょっとするとウチのオルトフォン丸針との相性が悪いのか...(*_*) 私は “次のトラックから改善するかも...” という淡い期待を抱きながら聴き進んだが最後までずっとそのまんまだった。う~ん、困った。
 そこで私は一計を案じた。ステレオ針がダメならモノ針があるではないか。ダメ元でいっぺん試してみようと思い立った私はすぐにカートリッジを付け替えて、もう一度A面トップから聴き始めた。するとどうだろう、さっきまでとはまるで別のレコードのように活き活きと鳴り始めたではないか! さすがに最近B-SELSで買ったイスラエル盤やベネズエラ盤のラウドカットほどではないものの、ステレオ針の時とは雲泥の差の力強いサウンドである。なぜこんな凄い音が出るのかはわからないが、何て言うか、オーディオのスイートスポットをピンポイントで捉えたかのようなそんな轟音だ。もちろんステレオ盤をモノ針で聴くのは邪道というのは百も承知だが、ステレオであれモノラルであれ、リスナーが気持ちよく聞けさえすればそれでいいのだ。
 それにしてもこの元気の良い鳴りっぷりは何なのだろう? 同じモノラルのUKオリジナル盤を遥かに凌ぐダイナミックなサウンドで、初期ビートルズならではの強烈なエネルギーがビンビン伝わってきて気持ち良いことこの上ない。A①「She Loves You」からラストのB⑧「I Want To Hold Your Hand」に至るまで、息つく暇もなく一気呵成に駆け抜けるビートルズのロックンロール・ワンダーランド、レノン=マッカートニー名曲絵巻、掟破りのUSチャート独占、サウンドの大海原、アックスボンバー三つ又の槍の如き破壊力である。少なくとも私の手持ちの「Oldies」の中では別格と言える音だ。
 ということでこのペルー盤「Oldies」、私にとってはステレオ盤としての価値は無いに等しいが、モノラル・カートリッジの使用で十分すぎるほどの存在感を発揮してくれた。あれほど疎遠だったこのアルバムが頻繁にターンテーブルに乗るようになったのだから各国盤っていうのはホンマにオモロイですな(^.^)
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