shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

映画「Get Back」最高でした!①

2021-11-29 | The Beatles
 ピーター・ジャクソン監督の3部作「Get Back」を見終え、今コーフン状態でこの文章を書いている。ここのところペルー盤やイスラエル盤といった各国盤にかまけていた私も先週あたりから「Sweet Apple Trax」を始めとする「Get Back」関連ブートレッグ音源づくしの生活にシフトし、心の準備万端で11月25日を迎えたのだが、今回の「Get Back」の素晴らしさは私の予想を遥かに超えるものだった。
 映画「Get Back」の約8時間分の映像を観て何よりも嬉しかったのは、1969年1月2日から31日までのビートルズの生の姿を時系列に沿って間近で見ることによって自分も彼らのリハーサルやミーティングに同席して追体験しているかのような高揚感を味わえたこと。珠玉の名曲の数々が “原石” の状態から徐々に磨き上げられ、最後には極上のブリリアントカットに仕上げられていく様はまさにビートルズ・マジックと呼ぶに相応しいもので、そのプロセスを映像付きで見られる日が来ようとは... (≧▽≦)  長生きはするモンである。
 当然メンバー間の人間関係のネガティヴな側面も浮き彫りになっており、中でもショッキングだったのがパート1後半(Day7: 1/10)の “ジョージ脱退” の場面。リンゼイホッグ版「Let It Be」で例のポールとジョージの口論のシーン(Day3: 1/6)は何百回も見てきたが、この映画の “もうバンドを辞める!” とジョージがブチギレた場面(Day7: 1/10)はその何倍も衝撃的(>_<) 「Get Back」のギターにあれこれ注文を付けるポールに対して “You need Eric Clapton.(クラプトンを呼べよ)” と辛辣に言い返すジョージ、そんなジョージの方をあまり見ずにジョンの方ばかり見て話すポール(←これ一番あかんやつ...)、場のピリピリした空気を読まずに好き勝手やるジョン、そんな状況に困り果てた様子のリンゴと、ファンとしては観ていていたたまれなくなるようなシーンの連続である。
 トドメはジョージが “もうバンドを辞める。NMEに広告でも出して代わりを探せよ。” という捨て台詞を残して立ち去るところ。3人になってしまったビートルズが心の動揺を隠すかのようにヨーコを入れてムチャクチャに歌い演奏するシーンはめっちゃ痛々しかった。もちろん事の詳細は藤本国彦氏の名著「ゲット・バック・ネイキッド」で読んで歴史的事実として知ってはいたが、実際に映像として見せられるとかなりショッキングだ。
 スタジオにいたモーリンに “A7とD7とG7のコードを覚えればバンドに入れるよ。” とジョークを飛ばすポールも “ジョージの楽器を山分けしようぜ。” と憎まれ口を叩くジョンもその言葉とは裏腹にかなり狼狽しているのが画面から伝わってくる。パート1のエンディングではジョージに去られて傷ついた3人が肩を寄せ合って互いを励まし合うような場面が実に感動的で、ピーター・ジャクソン監督の演出さすがやなぁと思わず唸ってしまったが、そのバックに流れるのがジョージの「Isn't It A Pity」で、歌詞の内容があまりにもその場の状況にぴったり合いすぎていて観ているこちらも胸に迫るものがあった。 (つづく)