前回前々回と久々にビートルズのインド盤を取り上げたので、他のインド盤もこの際だから一気聴きしてしまおうということで、「サージェント・ペパーズ」「アビー・ロード」「レット・イット・ビー」の後期3作を取り上げたい。
まずは「サージェント・ペパーズ」だが、見開きスリーヴのUKオリジナル盤とは違ってインド独自のシングル・スリーヴで、センター・レーベルはUKと同じイエロー・パーロフォン。マトリクス№もUK盤と同じ“YEX 637-1 / YEX 638-1” だ。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “高域の倍音が多く中低域も充実。ストリングスに対する反応がすごく良い。” と書いてあったが、私が聴いた限りでは特に大きな特徴が感じられなかったので、いつものように B-SELS に持ち込んで店主の Sさんと一緒に再試聴、一通り聴き終わった後で “それではUK盤と聴き比べてみましょう” ということになり、チューブ・カットの一番オイシイところを聴ける UKシルバー・パーロフォン盤(ワンEMIボックス)と交互にかけてみたところ、インド盤は左右の広がり感がかなり強いのに対しUK銀パロ盤は同じステレオでも音がセンター寄りでより自然なステレオ感が得られることが判明。特にアルバム・タイトル曲のA①のイントロが一番違いが分かりやすかった。尚、家に帰ってUKイエロー・パーロフォン盤を確認したたところ、その音作りは銀パロと同じセンター寄りのステレオ・ミックスだったので、あの左右にブワーッと広がる音はやはりインド盤独自のサウンドということになる。
それと、ガチのインド音楽であるB①「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はさすがというべきか、このインド盤のサウンドの方が合っていて、聴いてて思わず鼻唄でハミングしてしまうほどカンファタブルな音に聞こえたのでビックリ。どこがどう違うのかはよく分からないが、このアルバムを聴く時についつい飛ばして聴いてしまうこの曲を(←ごめんね、ジョージ...)最後まで気持ち良く聴けてしまった。別にインド盤ということで意識したつもりはないのだが...(>_<) それ以外はUK盤に倣った音で、やはりそれほど大きな違いは感じられなかった。
次に聴いたのが「アビー・ロード」。気になる “Her Majesty” 表記だが、ジャケットには無くてセンター・レーベルにはあるタイプで、マトリクス№は“YEX 749・2・1 02229 / YEX 750・1・1 02230” というローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ピッチが上がっており再生時に調整が必要。真空管カッティングが功を奏したのか硬質な印象のあった本作が優美な音で鳴る。UK盤のようにエッジが立っているわけではなくどちらかと言えば中域中心ながらまとめあげ方が見事で独自性がある。” と高評価を受けている盤だが、ウチのシステムではどんな音で鳴るのか興味津々でレコードに針を落とした。
まず最初に感じたのは、基本的にはUK盤の音だが音圧が低いのでヴォリュームを少し上げてやらないと物足りないということ。それと、本に合ったようにピッチが少し高いので(←なぜかA③「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」が特に高かった...)再生機の方で調節してやらないといけないが、音の分離は良いのでシステムの方でピッタリに調整してやるとそれなりの音で鳴ると思う。
個々の演奏ではA①「カム・トゥゲザー」やA②「サムシング」のベースの音がややブーミーで丸みを帯びているのがUK盤と大きく違うところ。これは良い悪いではなく、低音のスピード感を取るか重厚さを取るかというリスナーの好み次第だろう。それと、全体的にドラムスがやや引っ込み気味に聞こえ(←特にB面後半のメドレーで顕著で「ジ・エンド」なんかリンゴがめっちゃおとなしいwww)、一方B①「ヒア・カムズ・ザ・サン」のようなアコースティック・サウンドはめちゃくちゃ良い感じの音で鳴るのだが、これらの特徴は前回のホワイト・アルバムのローカル・リカットと一致するので、多分カッティングしたエンジニアが同じ人なのではないか。それと、別にどうでもいいことだが、B④「サン・キング」のアタマの部分の虫の音SEが妙にクリアーに聞こえた(笑)
最後に聴いたのは「レット・イット・ビー」だ。マトリクス№は“YEX 773-3U-T1 / YEX 774-3U-T1” で「ホワイト」や「アビー」と同じくローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ストリングスの響きが繊細で、既に自らの中に持っている弦鳴りの音の核心を直観的にすばやく捉え、条件反射のようにカッティングしている雰囲気。音は非常に穏やかなのでカートリッジの選び方を失敗すると単なる眠い音にしか聴こえない。ワイドレンジでなおかつメリハリのある楕円針がマッチする。” とあるが、私のオルトフォンSPUは丸針なので、果たしてどうなることやら...(^.^)
まずA①「トゥー・オブ・アス」だが、アコギのストロークが実に気持ち良い。アコースティック系サウンドの表現が得意なのは他のインド盤と同様だ。しかし私が一番驚いたのはリンゴの叩くトップ・シンバルの音が非常に大きく入っていることで、この点に関してはこれまで聴いてきたインド盤とは正反対の音作りなんである。だからA②「ディグ・ア・ポニー」やA④「アイ・ミー・マイン」なんかはすごくロックな音になっているし、A⑥「レット・イット・ビー」ですらロック魂を感じてしまうくらいカッコイイ仕上がりなのだ。又、A③「アクロス・ザ・ユニバース」やA⑦「マギー・メイ」ではジョンのヴォーカルがしっかりと前に出てくる音作りなのも気に入った。
B①「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」からB②「ワン・アフター・909」と続くルーフトップ・ナンバー2連発でもリンゴが躍動しており、“これのどこが眠たい音やねん?” と言いたくなるようなバリバリのロック・サウンドだ。ただ、問題のB③はストリングスがポールのヴォーカルに両外側から覆いかぶさってくるような感じで鬱陶しい。これを聴いたらフィル・スペクターは大喜びかもしれないが、ポールは激おこやろなぁ。続くB④「フォー・ユー・ブルー」とB⑤「ゲット・バック」はもうノリノリのゴキゲンな歌と演奏が楽しめて言うことナシ。これはあくまでも私の想像だが、ドラムスの音一つとってみても明らかなように、この「レット・イット・ビー」のカッティング・エンジニアは「ホワイト・アルバム」や「アビー・ロード」の2枚とは違う人なんじゃないかと思う。センター・レーベルに描かれたリンゴの絵柄もかなり違うし...(笑)
ということで過去3回にわたってビートルズのインド盤を取り上げてきたわけだが、個人的な音の好みで言うと「レット・イット・ビー」が断トツで気に入った。ここのところ “世界のビートルズ” ということでアナログ・レコードで各国盤を色々買い集めて聴きまくっているが、まだまだ未知の高音質盤に出会えそうで楽しみは尽きない。
まずは「サージェント・ペパーズ」だが、見開きスリーヴのUKオリジナル盤とは違ってインド独自のシングル・スリーヴで、センター・レーベルはUKと同じイエロー・パーロフォン。マトリクス№もUK盤と同じ“YEX 637-1 / YEX 638-1” だ。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “高域の倍音が多く中低域も充実。ストリングスに対する反応がすごく良い。” と書いてあったが、私が聴いた限りでは特に大きな特徴が感じられなかったので、いつものように B-SELS に持ち込んで店主の Sさんと一緒に再試聴、一通り聴き終わった後で “それではUK盤と聴き比べてみましょう” ということになり、チューブ・カットの一番オイシイところを聴ける UKシルバー・パーロフォン盤(ワンEMIボックス)と交互にかけてみたところ、インド盤は左右の広がり感がかなり強いのに対しUK銀パロ盤は同じステレオでも音がセンター寄りでより自然なステレオ感が得られることが判明。特にアルバム・タイトル曲のA①のイントロが一番違いが分かりやすかった。尚、家に帰ってUKイエロー・パーロフォン盤を確認したたところ、その音作りは銀パロと同じセンター寄りのステレオ・ミックスだったので、あの左右にブワーッと広がる音はやはりインド盤独自のサウンドということになる。
それと、ガチのインド音楽であるB①「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はさすがというべきか、このインド盤のサウンドの方が合っていて、聴いてて思わず鼻唄でハミングしてしまうほどカンファタブルな音に聞こえたのでビックリ。どこがどう違うのかはよく分からないが、このアルバムを聴く時についつい飛ばして聴いてしまうこの曲を(←ごめんね、ジョージ...)最後まで気持ち良く聴けてしまった。別にインド盤ということで意識したつもりはないのだが...(>_<) それ以外はUK盤に倣った音で、やはりそれほど大きな違いは感じられなかった。
次に聴いたのが「アビー・ロード」。気になる “Her Majesty” 表記だが、ジャケットには無くてセンター・レーベルにはあるタイプで、マトリクス№は“YEX 749・2・1 02229 / YEX 750・1・1 02230” というローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ピッチが上がっており再生時に調整が必要。真空管カッティングが功を奏したのか硬質な印象のあった本作が優美な音で鳴る。UK盤のようにエッジが立っているわけではなくどちらかと言えば中域中心ながらまとめあげ方が見事で独自性がある。” と高評価を受けている盤だが、ウチのシステムではどんな音で鳴るのか興味津々でレコードに針を落とした。
まず最初に感じたのは、基本的にはUK盤の音だが音圧が低いのでヴォリュームを少し上げてやらないと物足りないということ。それと、本に合ったようにピッチが少し高いので(←なぜかA③「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」が特に高かった...)再生機の方で調節してやらないといけないが、音の分離は良いのでシステムの方でピッタリに調整してやるとそれなりの音で鳴ると思う。
個々の演奏ではA①「カム・トゥゲザー」やA②「サムシング」のベースの音がややブーミーで丸みを帯びているのがUK盤と大きく違うところ。これは良い悪いではなく、低音のスピード感を取るか重厚さを取るかというリスナーの好み次第だろう。それと、全体的にドラムスがやや引っ込み気味に聞こえ(←特にB面後半のメドレーで顕著で「ジ・エンド」なんかリンゴがめっちゃおとなしいwww)、一方B①「ヒア・カムズ・ザ・サン」のようなアコースティック・サウンドはめちゃくちゃ良い感じの音で鳴るのだが、これらの特徴は前回のホワイト・アルバムのローカル・リカットと一致するので、多分カッティングしたエンジニアが同じ人なのではないか。それと、別にどうでもいいことだが、B④「サン・キング」のアタマの部分の虫の音SEが妙にクリアーに聞こえた(笑)
最後に聴いたのは「レット・イット・ビー」だ。マトリクス№は“YEX 773-3U-T1 / YEX 774-3U-T1” で「ホワイト」や「アビー」と同じくローカル・リカットだ。「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ストリングスの響きが繊細で、既に自らの中に持っている弦鳴りの音の核心を直観的にすばやく捉え、条件反射のようにカッティングしている雰囲気。音は非常に穏やかなのでカートリッジの選び方を失敗すると単なる眠い音にしか聴こえない。ワイドレンジでなおかつメリハリのある楕円針がマッチする。” とあるが、私のオルトフォンSPUは丸針なので、果たしてどうなることやら...(^.^)
まずA①「トゥー・オブ・アス」だが、アコギのストロークが実に気持ち良い。アコースティック系サウンドの表現が得意なのは他のインド盤と同様だ。しかし私が一番驚いたのはリンゴの叩くトップ・シンバルの音が非常に大きく入っていることで、この点に関してはこれまで聴いてきたインド盤とは正反対の音作りなんである。だからA②「ディグ・ア・ポニー」やA④「アイ・ミー・マイン」なんかはすごくロックな音になっているし、A⑥「レット・イット・ビー」ですらロック魂を感じてしまうくらいカッコイイ仕上がりなのだ。又、A③「アクロス・ザ・ユニバース」やA⑦「マギー・メイ」ではジョンのヴォーカルがしっかりと前に出てくる音作りなのも気に入った。
B①「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」からB②「ワン・アフター・909」と続くルーフトップ・ナンバー2連発でもリンゴが躍動しており、“これのどこが眠たい音やねん?” と言いたくなるようなバリバリのロック・サウンドだ。ただ、問題のB③はストリングスがポールのヴォーカルに両外側から覆いかぶさってくるような感じで鬱陶しい。これを聴いたらフィル・スペクターは大喜びかもしれないが、ポールは激おこやろなぁ。続くB④「フォー・ユー・ブルー」とB⑤「ゲット・バック」はもうノリノリのゴキゲンな歌と演奏が楽しめて言うことナシ。これはあくまでも私の想像だが、ドラムスの音一つとってみても明らかなように、この「レット・イット・ビー」のカッティング・エンジニアは「ホワイト・アルバム」や「アビー・ロード」の2枚とは違う人なんじゃないかと思う。センター・レーベルに描かれたリンゴの絵柄もかなり違うし...(笑)
ということで過去3回にわたってビートルズのインド盤を取り上げてきたわけだが、個人的な音の好みで言うと「レット・イット・ビー」が断トツで気に入った。ここのところ “世界のビートルズ” ということでアナログ・レコードで各国盤を色々買い集めて聴きまくっているが、まだまだ未知の高音質盤に出会えそうで楽しみは尽きない。