先日いつものように B-SELS にお邪魔して色々とレコードを聴かせていただいていた時のこと、アルバムを一通り聴き終えて “次は何が出てくるのだろう?” と楽しみにしていると店主の Sさんがいきなり「バンド・オン・ザ・ラン」をかけられた。
そのイントロを聴いた瞬間に “自分の知ってる「バンド・オン・ザ・ラン」と何か違う!” と直感した私が Sさんに “これ、どこの国の盤ですか?” と尋ねたところ、 “おっ、もう気が付かれましたか。実はこれ、UKのマト3盤なんですよ。” と嬉しそうに仰る。
UK盤「バンド・オン・ザ・ラン」といえば何と言ってもレアな両面マト1のラウドカット盤が有名で、一般的には両面マト2の盤が流通していることは知っていたが、マト3なんて聞いたこともない。しかし今お店のスピーカーから流れている「バンド・オン・ザ・ラン」は明らかにめっちゃ良い音で、それも私が所有しているラウドカット盤とは又違った種類の “良い音” なのだ。
誤解を恐れずに言えば、昔よく行ったオーディオ・ショーで聴いたような、まるで “レコード盤に入ってる音は全部出す...” といった類の “高音質盤” で、お店の DENON製のプレイヤーがまるでリンのハイエンド・プレイヤー、ソンデック12LPのような音を出したのだからビックリするなというのも無理な話。マトリクス№は何と手書きの ZYEX 929-3 / ZYEX 930-3 で、A面にのみ同じく手書きで Blairs と彫ってある。ということはマト1やマト2盤とはマスタリングやカッティングはもちろんのこと、ひょっとするとミックスまで違うのか???
Sさんによるとどうやらこの盤は Philipsプレスらしいとのことなので、ようやく音の良さに合点がいった。Philips といえばヨーロッパ・オーディオ界のドンというか盟主的存在であり、音に対する拘りようはハンパない。ジャケットにもレコードにもフィリップスのフィの字も書いていないが、センター・レーベルの溝(←昔の盤で言うところの Deep Groove)の形状と直径から判断したとのこと。因みに帰って手持ちの Philips盤の DGの直径を計ってみたところすべて同じ形状で直径3cmだった。いつもながら Sさんの “レコードのプロ” としての眼力には唸らされますわ... (≧▽≦)
レコード両面を聴き終え、やみくもにこの盤が欲しくなった私は “これいつ頃店に出されるんですか? 大体いくらぐらいになりますかねぇ?” と尋ねてみたところ、“まだ決めてないんですけど、お店にあるマト1のラウドカット盤と同じくらいかなぁ。一度ご自分でこのレコードのことを調べてみられたらどうですか? 多分もっと安く買えると思いますし、探す楽しみもあるでしょう?” とのこと。う~ん、ごもっとも。初めて聴かせていただいたその場で買うのは簡単だが、Sさんが仰るように自分で探して安くゲットしてこそコレクターというもの。知り合ってまだ5ヶ月しかたっていないが、Sさんは何から何までお見通しのようだ。それより何より、せっかくこれからお店に出そうという目玉商品を横からかすめ取るようなマネはできない。
というわけでコレクター魂に火がついた私は(←何か最近しょっちゅう着火しとるな...)帰って早速ネットで検索したところ、このマト3盤は Export Issue(輸出仕様)で、やはりミックスが違うらしくマト1とは対照的な雰囲気があるとのこと。「バンド・オン・ザ・ラン」にミックス違いがあるとは初耳だ。これは絶対にゲットせねば。因みに東京の某店では 19,440円で売約済みだった。
色々探してみたところ Discogsには数枚この盤が出品されていたが、盤質が怪しかったりヤバそうな出品者だったりでリスクが大きい。お店で聴かせていただいた盤は NM盤だったので、やはりここはピカピカ盤が欲しい。そもそもココに出品しているセラーはマト番に無頓着な連中が多いので、マト番違いの盤を送りつけられてはたまらない。
焦ってカスを掴みたくなかったので、次に eBay で探してみると1枚だけ出品されており、しかもラッキーなことにワンオーナー盤で盤質表記も EXだ。£25でも十分安いと思ったが OFFER 表示があったのでいつものように9掛けの£22.5でオファーしてみた。
結果を待つ間、テレビ録画しておいた刑事コロンボを観て時間をつぶし(←久々に見た「パイルD3の壁」面白かった...)、再びパソコンをつけると Offer Accepted メールが eBayから届いており、結局初めて聴かせてもらってからわずか半日という電光石火の早ワザで「バンド・オン・ザ・ラン」の UKマト3盤をゲット。送料込みで約4,500円だった。
それと、セラーの商品説明に “Have heard mentioned that this matrix indicates an export copy but as this was bought in Dartford I have my doubts...”(このマト番は輸出仕様って言われてるのを聞いたことがあるけど、この盤は私がダートフォードで買ったもので、輸出云々っていうのは疑わしい...)と書いてあったこともあって、このマト3盤の謎はいよいよ深まるばかりだ。
届いた盤はセラーの説明通りの極上コンディション。ベースが太く、ギターもエッジが効いており、1つ1つの楽器がくっきりとした音像を持って立体的に迫ってくる。音圧はマト1盤よりもほんのわずか低いものの、その分レンジが広くて音の響きもナチュラル。クリアー&クリスプでありながら尚且つ腰の据わった粘っこい音がスピーカーから飛び出してくるのだから、これは実に衝撃的だ。
私は単純な性格なのでオリジナル盤というとついついマトリクス№の若い盤ばかりを追い求めてしまうのだが、こういう盤の存在を知ってしまうと一概にマト番が若ければ良いとは言い切れないな、とまた一つ勉強になった。Sさん、良い盤を教えてくれてホントにどうもありがとう!
【3.17追記】
ブルーレイ・レコーダーのおまかせ録画をチェックしていたら「ららら♪クラシック」という番組が録画してあったので不思議に思いながら見てみると、“クラシック音楽の視点から見たビートルズ” という内容で “クリシェ” とか “対位法” といったテクニックがどのようにビートルズの音楽に活かされているかをド素人にもわかりやすく解説してあってめっちゃ面白かった。ジャイルズ・マーティンによる解説もあったので興味のある人は 3/21(木)の10:25からNHKのEテレでやる再放送を見てみてくださいな。
そのイントロを聴いた瞬間に “自分の知ってる「バンド・オン・ザ・ラン」と何か違う!” と直感した私が Sさんに “これ、どこの国の盤ですか?” と尋ねたところ、 “おっ、もう気が付かれましたか。実はこれ、UKのマト3盤なんですよ。” と嬉しそうに仰る。
UK盤「バンド・オン・ザ・ラン」といえば何と言ってもレアな両面マト1のラウドカット盤が有名で、一般的には両面マト2の盤が流通していることは知っていたが、マト3なんて聞いたこともない。しかし今お店のスピーカーから流れている「バンド・オン・ザ・ラン」は明らかにめっちゃ良い音で、それも私が所有しているラウドカット盤とは又違った種類の “良い音” なのだ。
誤解を恐れずに言えば、昔よく行ったオーディオ・ショーで聴いたような、まるで “レコード盤に入ってる音は全部出す...” といった類の “高音質盤” で、お店の DENON製のプレイヤーがまるでリンのハイエンド・プレイヤー、ソンデック12LPのような音を出したのだからビックリするなというのも無理な話。マトリクス№は何と手書きの ZYEX 929-3 / ZYEX 930-3 で、A面にのみ同じく手書きで Blairs と彫ってある。ということはマト1やマト2盤とはマスタリングやカッティングはもちろんのこと、ひょっとするとミックスまで違うのか???
Sさんによるとどうやらこの盤は Philipsプレスらしいとのことなので、ようやく音の良さに合点がいった。Philips といえばヨーロッパ・オーディオ界のドンというか盟主的存在であり、音に対する拘りようはハンパない。ジャケットにもレコードにもフィリップスのフィの字も書いていないが、センター・レーベルの溝(←昔の盤で言うところの Deep Groove)の形状と直径から判断したとのこと。因みに帰って手持ちの Philips盤の DGの直径を計ってみたところすべて同じ形状で直径3cmだった。いつもながら Sさんの “レコードのプロ” としての眼力には唸らされますわ... (≧▽≦)
レコード両面を聴き終え、やみくもにこの盤が欲しくなった私は “これいつ頃店に出されるんですか? 大体いくらぐらいになりますかねぇ?” と尋ねてみたところ、“まだ決めてないんですけど、お店にあるマト1のラウドカット盤と同じくらいかなぁ。一度ご自分でこのレコードのことを調べてみられたらどうですか? 多分もっと安く買えると思いますし、探す楽しみもあるでしょう?” とのこと。う~ん、ごもっとも。初めて聴かせていただいたその場で買うのは簡単だが、Sさんが仰るように自分で探して安くゲットしてこそコレクターというもの。知り合ってまだ5ヶ月しかたっていないが、Sさんは何から何までお見通しのようだ。それより何より、せっかくこれからお店に出そうという目玉商品を横からかすめ取るようなマネはできない。
というわけでコレクター魂に火がついた私は(←何か最近しょっちゅう着火しとるな...)帰って早速ネットで検索したところ、このマト3盤は Export Issue(輸出仕様)で、やはりミックスが違うらしくマト1とは対照的な雰囲気があるとのこと。「バンド・オン・ザ・ラン」にミックス違いがあるとは初耳だ。これは絶対にゲットせねば。因みに東京の某店では 19,440円で売約済みだった。
色々探してみたところ Discogsには数枚この盤が出品されていたが、盤質が怪しかったりヤバそうな出品者だったりでリスクが大きい。お店で聴かせていただいた盤は NM盤だったので、やはりここはピカピカ盤が欲しい。そもそもココに出品しているセラーはマト番に無頓着な連中が多いので、マト番違いの盤を送りつけられてはたまらない。
焦ってカスを掴みたくなかったので、次に eBay で探してみると1枚だけ出品されており、しかもラッキーなことにワンオーナー盤で盤質表記も EXだ。£25でも十分安いと思ったが OFFER 表示があったのでいつものように9掛けの£22.5でオファーしてみた。
結果を待つ間、テレビ録画しておいた刑事コロンボを観て時間をつぶし(←久々に見た「パイルD3の壁」面白かった...)、再びパソコンをつけると Offer Accepted メールが eBayから届いており、結局初めて聴かせてもらってからわずか半日という電光石火の早ワザで「バンド・オン・ザ・ラン」の UKマト3盤をゲット。送料込みで約4,500円だった。
それと、セラーの商品説明に “Have heard mentioned that this matrix indicates an export copy but as this was bought in Dartford I have my doubts...”(このマト番は輸出仕様って言われてるのを聞いたことがあるけど、この盤は私がダートフォードで買ったもので、輸出云々っていうのは疑わしい...)と書いてあったこともあって、このマト3盤の謎はいよいよ深まるばかりだ。
届いた盤はセラーの説明通りの極上コンディション。ベースが太く、ギターもエッジが効いており、1つ1つの楽器がくっきりとした音像を持って立体的に迫ってくる。音圧はマト1盤よりもほんのわずか低いものの、その分レンジが広くて音の響きもナチュラル。クリアー&クリスプでありながら尚且つ腰の据わった粘っこい音がスピーカーから飛び出してくるのだから、これは実に衝撃的だ。
私は単純な性格なのでオリジナル盤というとついついマトリクス№の若い盤ばかりを追い求めてしまうのだが、こういう盤の存在を知ってしまうと一概にマト番が若ければ良いとは言い切れないな、とまた一つ勉強になった。Sさん、良い盤を教えてくれてホントにどうもありがとう!
【3.17追記】
ブルーレイ・レコーダーのおまかせ録画をチェックしていたら「ららら♪クラシック」という番組が録画してあったので不思議に思いながら見てみると、“クラシック音楽の視点から見たビートルズ” という内容で “クリシェ” とか “対位法” といったテクニックがどのようにビートルズの音楽に活かされているかをド素人にもわかりやすく解説してあってめっちゃ面白かった。ジャイルズ・マーティンによる解説もあったので興味のある人は 3/21(木)の10:25からNHKのEテレでやる再放送を見てみてくださいな。