shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Kashmir / Bond

2013-02-11 | Led Zeppelin
 今日は前回取り上げたエスカーラの “美形ストリング・カルテットでクラシック以外のジャンルの曲を演奏する” というコンセプトの元になったボンドでいってみよう。彼女達は2000年にデビューして、弦楽器(エスカーラと同じヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロという構成)とノリノリのダンス・ビートを融合させた斬新なスタイルで “クラシカル・クロスオーヴァー界のスパイス・ガールズ” とも呼ばれているグループだ。
 そんなボンドが2002年にリリースした2nd アルバム「シャイン」の中で一際異彩を放っていたのがゼップをカヴァーしたこの⑦「カシミール」だ。ボンドの音楽は基本的に煌びやかで軽快なものが多いのでこの重厚なサウンドには驚かされるが、エスカーラのヴァージョンに比べてオリジナルにより忠実なアレンジで、原曲の持つ独特なエキゾチシズムをストリングスで巧く表現している。エスカーラが「カシミール」を取り上げたのは当然このボンド・ヴァージョンを意識してのことだろうが(←メンバーがインタビューで “ボンドに強い影響を受けた” とリスペクトを口にしていた...)、同じストリング・カルテットでどこがどう違うのか聴き比べをして愉しむのも一興だ。
Bond - Kashmir (Led Zeppelin classical cover)


 このアルバム「シャイン」の1曲目に収録されているのは①「アレグレット」というナンバーなのだが、コレが何とエスカーラの代表曲「パラディオ」とタイトルは違えど全く同じ曲なんである。どちらもクレジット上はカール・ジェンキンスの作となっているので何らかの大人の事情があるのかもしれないが、先の「カシミール」のこともあってネット上ではコピーキャット論争が喧しいようだ。まぁ私としては目の保養にもなる美脚女性グループは多いに越したことはないので(笑)堅い事を言わずに両方愉しめばいいのに、と思ってしまう。
Bond - Allegretto


 上記の2曲以外ではデビュー・シングル「ヴィクトリー」の流れを汲む痛快な疾走系チューン③「フエゴ」が好き。この2曲はエスニックな薫りが立ち込める雰囲気が何となく似てるなぁと思ってクレジットを見るとどちらもクロアチアの作曲家トンチ・ハルジックの作品ということで大いに納得なのだが、やっぱりボンドにはこの手のエキゾチックでパッショネートなナンバーが一番良く似合う。ついでにこの路線で「踊る大捜査線」のテーマ曲とか演ってくれたらピッタリハマると思うのは私だけかな?
Bond - Fuego


 彼女達の楽曲には他にもクラシック調からユーロビート調まで様々なアレンジのものがあるがそういうのは正直言って願い下げなので、1枚のアルバム中で私が楽しめるのは残念ながら2~3曲しかなく、全4枚の中から好きな曲だけをCD-Rに編集して聴いている。折角なので「シャイン」以外のアルバムで気に入った曲もついでに取り上げよう。
 私がボンドの曲を聴いた時にすぐに頭に浮かぶのはルイス・クラーク指揮のロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラによる「フックト・オン・クラシックス」で、どちらもキャッチーなメロディーとノリの良い演奏のせいかクラシックが苦手な私でも何の違和感もなく楽しむことが出来る。最初にそれを感じたのが 1st アルバムの1曲目に入っていた「ヴィクトリー」で、アップテンポでありながらそこはかとなく哀愁を感じさせるメロディーの魅力をストリング・カルテットというフォーマットで実に巧く引き出しているなぁと感心させられた。
Bond - Victory


 3rd アルバム「クラシファイド」はプロデューサーが変わったせいか彼女達の持ち味である弦の音よりも打ち込み音が勝っていてボンドが演る必然性があまり感じられない単なるダンス・ミュージックへと堕しているトラックが多いのが悲しいが、そんな中で十分傾聴に値するのが「ヴィクトリー」「フエゴ」と同じトンチ・ハルジック作の「エクスプローシヴ」で、ボンドの魅力炸裂の哀愁舞い散るカッコ良いナンバーだと思う。PV では少しだけだが彼女達の美脚も拝めて言うことナシだ(^o^)丿
Bond - Explosive


 4thアルバム「プレイ」では何と言っても「パンプ・イット」が断トツに素晴らしい。最初に曲名を見た時はわからなかったが、曲を聴いてみてビックリ... これってディック・デイルの「ミザルー」ではないか! 映画「タクシー」や「パルプ・フィクション」で使われ、ピーター・アーツの入場曲としても知られるサーフ・ロックのスタンダード・ナンバーに目を付けた慧眼はさすがという他ないし、この曲の持つ中近東風な旋律をしっかりと消化してオリジナリティー溢れるボンド・ミュージックへと昇華させた彼女達の演奏力の高さも特筆モノだ。前作を聴いた時は正直言ってボンドもこれで終わりかと思ったが、この「パンプ・イット」で華麗に復活!!! アルバム単位では「シャイン」が一番だと思うが、曲単体では間違いなく「パンプ・イット」が彼女達の最高傑作だろう。エスカーラの時にも書いたように、この手のグループは選曲とアレンジが成否の決め手なのであり、そういう意味でも次作はプロデューサーをも含めた制作サイドの音楽センスが大いに問われるのではないかと思う。
BOND - Pump It

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