shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「天国への階段」カヴァー特集⑦ ~王道カヴァー編~

2013-02-03 | Led Zeppelin
 「階段」特集最終回の今日は正統派ロッカーによる小細工なしの “王道カヴァー編” です。

①Never The Bride
 フル・オーケストラとゴスペル・コーラス隊をバックに、有名ヴォーカリスト達がビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、そしてレッド・ゼッペリンといった数々のブリティッシュ・ロックの名曲を聴かせてくれるトリビュート・プロジェクト「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」ツアーのDVD は名曲名演の宝庫だが、その中でもインパクト絶大だったのがネヴァー・ザ・ブライドのニッキ・ランボーンという女性ヴォーカリストが歌う「階段」だ。まるでジャニス・ジョップリンが憑依したかのようなその歌声は聴く者の魂を激しく揺さぶる凄まじさで、4分を過ぎたあたりからの入魂のヴォーカルはまさに圧巻の一言に尽きる。ドラムスのザック・スターキーやサイド・ギターのサイモン・タウンゼンド(ザ・フーのピートの弟です!)など、バックを固めるミュージシャンの好演も楽しめて言うことナシの1枚だ。
Never The Bride - Stairway To Heaven (British Rock Symphony)


②Ann Wilson
 ゼップ・カヴァーの第一人者と言えばこれはもうアン&ナンシー姉妹率いるハートしかない。彼女らは70年代からライヴでゼップの曲を取り上げており、ヴォーカルのアンは “女性版プラント” と呼ばれてきたし、何よりもゼップの3人やオバマ大統領夫妻を前にして行われた例のケネディー・センターでの式典パフォーマンスでトリを任されたことがすべてを物語っているだろう。そんなハートの「階段」カヴァーはアルバム「リトル・クイーン」にボートラで収録されているライヴ・ヴァージョンが有名だが、アンがソロ名義で参加した1999年リリースのコンピ盤「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」(←上記プロジェクトのスタジオ録音版CDで、参加メンバーも違います...)収録のヴァージョンも甲乙付け難い素晴らしい出来なので今日はそちらをご紹介。ケネディー・センター・ライヴでプラントの涙腺を緩ませたアン・ウィルソン全身全霊のヴォーカルをご堪能ください。
Ann Wilson - Stairway to heaven


③Great White
 ゼップ・カヴァーにおいてハートと並んで双璧といえるバンドがこのグレイト・ホワイトだ。ブルース・ロックを基盤とする彼らは筋金入りのゼップ・ファンで、特にヴォーカルのジャック・ラッセル(←もちろん犬ぢゃありません...)はロバート・プラントそっくりの声・唱法で有名なのだが、そんな彼らが1998年にリリースした全編ゼップ・カヴァーという痛快無比なアルバム「グレイト・ゼッペリン」のラストを締めくくっていたのがこの「階段」だ。初めて聴いた時はあのキングダム・カム以来の衝撃(笑)で、その見事なまでのコピーぶりにまるで本物のゼップが蘇えったかのような錯覚を覚えたものだ。それにしてもホンマによぉ似とるなぁ...(^.^)
GREAT ZEPPELIN


④Far Corporation
 ファー・コーポレイションはボニーMのプロデューサー、フランク・ファリアンがTOTOのメンバーであるボビー・キンボール、デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ルカサーの3人にロビン・マッコリーやサイモン・フィリップスといった錚々たる顔ぶれを集めて作ったユニットで、アルバム「ディヴィジョン・ワン」からシングル・カットされたこの「階段」カヴァーが1985年10月にUKチャートの8位まで上がるスマッシュ・ヒットを記録。ゼップのカヴァー、しかもよりにもよってあの「階段」をカヴァーしてそれをシングルとして切ってくるという大胆不敵な発想にビックリ(゜o゜)  当時まだ心の狭いゼップ・ファンだった私は後半部のディスコチックなノリに “何じゃいコレは!” と歯牙にもかけなかったのだが、今の耳で聴いてみるとコレが結構面白い。前半部はまだオリジナルに忠実なアレンジながら、4分15秒を過ぎたあたりから一気に80'sモードに突入、TOTOの「アフリカ」へと傾きかけるも何とか土俵際で踏みとどまってゴスペル風コーラスとくんずほぐれつしているうちにルカサーの鬼気迫るギター・ソロが乱入してきて大いに盛り上がり、最後は大団円を迎えるという怒涛の展開が実に楽しい。しかし TOTO のサウンドってホンマに80年代そのものやねぇ...(^.^)
Far Corporation - Stairway To Heaven [1985] ReWorked


⑤Jimmy Page [Solo]
 長々と続けてきた「階段」祭りの最後はやや反則技ながら、“3大ギタリスト夢の競演” ということで話題になったアームズ・コンサートにジミー・ペイジが出演した時のインスト・ヴァージョンでシメたい。これは元スモール・フェイセズのロニー・レインの呼びかけで1983年9月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたチャリティー・コンサートの時の映像で、3人が競演した “超高速レイラ” と並ぶお気に入りのトラックがペイジのソロによるこのインスト版「階段」だ。ゼップ解散以降第一線から身を引いていたペイジはとても本調子とはいえない感じで、まるでオリの中のクマのように落ち着きなくフラフラと動き回っているが(←クスリかアルコールのせい???)、それでも聴かせてしまうあたりは超一流の貫禄というべきだろう。
Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Royal Albert Hall, 9/20/1983)

 ただ、同年12月に行われたアメリカ公演では傍目にもラリッているのが明らかで(←カウ・パレスの方はまだマシだが、MSGの方はかなりキツい...)、音を外しまくるペイジを見かねたのか(?)クラプトンとベックがステージに登場、奇しくも三者の競演による豪華な「階段」が実現している。 “オマエ、ホンマに大丈夫か?” という感じでペイジを気遣う二人の表情にご注目ください。
Jeff Beck, Eric Clapton & Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Cow Palace, 12/2/1983)

Jimmy Page-Stairway to Heaven-ARMS Concert (MSG, 12/8/1983)