「天国への階段」、「カシミール」に続くゼップ・カヴァー特集第3弾は「ブラック・ドッグ」のカヴァーを集めてみました。
①王様
「深紫伝説」を始め、「カブトムシ外伝」や「浜っ子伝説」、「転石伝説」といった直訳ロックで我々を大いに楽しませてくれる “古き良き洋楽ロックの伝道師”、王様のゼップ・カヴァー盤「鉛の飛行船伝説」に入っていたのがこの「黒い犬」だ。そのユニークな日本語直訳(←さすがは上智大出身だけあって技アリの見事な直訳になってる...)やコスプレ・ロッカーというスタイルのためについついキワモノ視されがちだが、そのユーモアのセンスに溢れた訳詞と確かなテクニックに裏打ちされた演奏は聴き応え十分で、私としては王様こそ “色物の仮面をかぶった真正ロック” だと断言したい。この「黒い犬」でもリフからソロに至るまでオリジナルの雰囲気が見事に再現されており、王様のゼップへの深い愛情が伝わってきて嬉しくなってしまう。敢えてbaby を “ネェちゃん” ではなく “赤ちゃん” とベタな直訳にするによってかなりエロい内容の歌詞を笑いのオブラートに包んで提示する手法も見事という他ない。真のロック好きを大爆笑の渦に叩き込む、遊び心に溢れた「黒犬」だ。
黒い犬
②New City Rockers
このニュー・シティ・ロッカーズはいかにも80'sという感じのメロディアスなロックが身上のバンドで、ストーン・フューリーを想わせる親しみやすいサウンドがエエ感じなのだが、残念なことにヒット曲に恵まれずアルバム1枚を残したのみで消滅してしまった知る人ぞ知る存在だ。1987年の4月にリリースされたこのゼップ・カヴァー・シングルも全米チャートで最高80位までしか上がらずラジオ・エアプレイも少なかったようだが、私はたまたまトップ40か何かの “注目の新曲コーナー” でコレを聴いてすぐに気に入り、急いでタワレコへ走って首尾よく12インチ・シングルを手に入れることができた。80年代の煌びやかなヒット曲たちの中に埋もれてしまいがちなこういうマイナーなシングルとの出会いもリアルタイムでチャート番組を追っかけていたからこそ可能だったのだろう。ロバート・プラント信者のレニー・ウルフ(ストーン・フューリ→キングダム・カム)を彷彿とさせるハイトーン・ヴォイスで聴く、80年代ならではのダンサブルな “黒犬” だ。
Newcity Rockers Black Dog (Music Video)
③The Boys From County Nashville
レッド・ゼッペリンほどの大物になるとブルーグラスからクラシックに至るまでハードロック以外のジャンルのアーティストによるトリビュート盤も色々出ているが、残念ながらゼップの知名度を利用して売ってやろうという魂胆が透けて見えるような、原曲への理解も愛情も感じられないナンジャラホイ盤も少なくない。そんな玉石混交のゼップ・トリビュート盤の中で “大当たり” だったのがこの「ザ・ケルティック・トリビュート・トゥ・レッド・ゼッペリン ~ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ~」という CD で、ゼップのルーツの一つであるケルト音楽によるカヴァー集だけあって実に完成度の高いアルバムになっており、この「ブラック・ドッグ」も大胆にして絶妙なケルティック・アレンジによって換骨奪胎され、繊細でありながらほのぼのとしてどこか温か味を感じさせるヴァージョンに生まれ変わっている。ケルト音楽が印象的だったディズニー映画「メリダとおそろしの森」なんかにもぴったりハマりそうな、北欧民族音楽の薫りが色濃く立ち込める「黒犬」だ。
Boys From County Nashville - Black Dog
④West 52nd Street Buddha Lounge Ensemble
ビートルズの場合と同様に、ゼップのジャズ・カヴァーにもロクなモノがない。モード・ジャズだか何だか知らないが、アレンジをこねくり回し過ぎて原曲の良さを殺してしまうケースがほとんどだ。そんな中で “コレは凄い!” と唸ってしまったのがこの「ブッダ・ラウンジ・レンディションズ・オブ・レッド・ゼッペリン」というCDに入っていた「ブラック・ドッグ」だ。瀟洒なブラッシュが刻む軽快なフォービートに乗って涼しげなヴァイブとギターが奏でるメロディーがめっちゃ耳に心地良くって、こんなにスイングする「ブラック・ドッグ」も大いにアリやなぁと思ってしまう。やっぱりジャズは分かりやすいのが一番!ということを再認識させてくれる粋でオシャレな「黒犬」だ。
ブッダ・ラウンジ・ツェッペリン
⑤Keith Emerson
大物ミュージシャン達によるゼップ・カヴァーばかりを集めたコンピ盤「ジ・アルティメット・レッド・ゼッペリン・トリビュート ~レッド・ボックス~」という2枚組アルバムに収録されていたのが何とあのキース・エマーソンによる「ブラック・ドッグ」で、往年のELPサウンドを彷彿とさせるフレーズが至る所に出てくる面白いカヴァーになっている。特に最初の1分ほどのインスト・パートなんかキース節が全開で、シンセのメロディー・ラインを追っているだけで楽しい。首を絞められてのたうち回るアクセル・ローズみたいなマイケル・ホワイトの下衆なヴォーカルはキースの演奏と全然合っていないように思えるが、それもこれもひっくるめて摩訶不思議なサウンドが妙に耳に残るプログレ風「黒犬」だ。
Keith Emerson (ELP) - Black Dog ( Led Zeppelin Cover )
【おまけ】心の広~いゼップ・ファン限定で、バンバンバザールのウクレレ演奏による脱力系「黒犬」をどーぞ。
ブラックドッグ
①王様
「深紫伝説」を始め、「カブトムシ外伝」や「浜っ子伝説」、「転石伝説」といった直訳ロックで我々を大いに楽しませてくれる “古き良き洋楽ロックの伝道師”、王様のゼップ・カヴァー盤「鉛の飛行船伝説」に入っていたのがこの「黒い犬」だ。そのユニークな日本語直訳(←さすがは上智大出身だけあって技アリの見事な直訳になってる...)やコスプレ・ロッカーというスタイルのためについついキワモノ視されがちだが、そのユーモアのセンスに溢れた訳詞と確かなテクニックに裏打ちされた演奏は聴き応え十分で、私としては王様こそ “色物の仮面をかぶった真正ロック” だと断言したい。この「黒い犬」でもリフからソロに至るまでオリジナルの雰囲気が見事に再現されており、王様のゼップへの深い愛情が伝わってきて嬉しくなってしまう。敢えてbaby を “ネェちゃん” ではなく “赤ちゃん” とベタな直訳にするによってかなりエロい内容の歌詞を笑いのオブラートに包んで提示する手法も見事という他ない。真のロック好きを大爆笑の渦に叩き込む、遊び心に溢れた「黒犬」だ。
黒い犬
②New City Rockers
このニュー・シティ・ロッカーズはいかにも80'sという感じのメロディアスなロックが身上のバンドで、ストーン・フューリーを想わせる親しみやすいサウンドがエエ感じなのだが、残念なことにヒット曲に恵まれずアルバム1枚を残したのみで消滅してしまった知る人ぞ知る存在だ。1987年の4月にリリースされたこのゼップ・カヴァー・シングルも全米チャートで最高80位までしか上がらずラジオ・エアプレイも少なかったようだが、私はたまたまトップ40か何かの “注目の新曲コーナー” でコレを聴いてすぐに気に入り、急いでタワレコへ走って首尾よく12インチ・シングルを手に入れることができた。80年代の煌びやかなヒット曲たちの中に埋もれてしまいがちなこういうマイナーなシングルとの出会いもリアルタイムでチャート番組を追っかけていたからこそ可能だったのだろう。ロバート・プラント信者のレニー・ウルフ(ストーン・フューリ→キングダム・カム)を彷彿とさせるハイトーン・ヴォイスで聴く、80年代ならではのダンサブルな “黒犬” だ。
Newcity Rockers Black Dog (Music Video)
③The Boys From County Nashville
レッド・ゼッペリンほどの大物になるとブルーグラスからクラシックに至るまでハードロック以外のジャンルのアーティストによるトリビュート盤も色々出ているが、残念ながらゼップの知名度を利用して売ってやろうという魂胆が透けて見えるような、原曲への理解も愛情も感じられないナンジャラホイ盤も少なくない。そんな玉石混交のゼップ・トリビュート盤の中で “大当たり” だったのがこの「ザ・ケルティック・トリビュート・トゥ・レッド・ゼッペリン ~ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ~」という CD で、ゼップのルーツの一つであるケルト音楽によるカヴァー集だけあって実に完成度の高いアルバムになっており、この「ブラック・ドッグ」も大胆にして絶妙なケルティック・アレンジによって換骨奪胎され、繊細でありながらほのぼのとしてどこか温か味を感じさせるヴァージョンに生まれ変わっている。ケルト音楽が印象的だったディズニー映画「メリダとおそろしの森」なんかにもぴったりハマりそうな、北欧民族音楽の薫りが色濃く立ち込める「黒犬」だ。
Boys From County Nashville - Black Dog
④West 52nd Street Buddha Lounge Ensemble
ビートルズの場合と同様に、ゼップのジャズ・カヴァーにもロクなモノがない。モード・ジャズだか何だか知らないが、アレンジをこねくり回し過ぎて原曲の良さを殺してしまうケースがほとんどだ。そんな中で “コレは凄い!” と唸ってしまったのがこの「ブッダ・ラウンジ・レンディションズ・オブ・レッド・ゼッペリン」というCDに入っていた「ブラック・ドッグ」だ。瀟洒なブラッシュが刻む軽快なフォービートに乗って涼しげなヴァイブとギターが奏でるメロディーがめっちゃ耳に心地良くって、こんなにスイングする「ブラック・ドッグ」も大いにアリやなぁと思ってしまう。やっぱりジャズは分かりやすいのが一番!ということを再認識させてくれる粋でオシャレな「黒犬」だ。
ブッダ・ラウンジ・ツェッペリン
⑤Keith Emerson
大物ミュージシャン達によるゼップ・カヴァーばかりを集めたコンピ盤「ジ・アルティメット・レッド・ゼッペリン・トリビュート ~レッド・ボックス~」という2枚組アルバムに収録されていたのが何とあのキース・エマーソンによる「ブラック・ドッグ」で、往年のELPサウンドを彷彿とさせるフレーズが至る所に出てくる面白いカヴァーになっている。特に最初の1分ほどのインスト・パートなんかキース節が全開で、シンセのメロディー・ラインを追っているだけで楽しい。首を絞められてのたうち回るアクセル・ローズみたいなマイケル・ホワイトの下衆なヴォーカルはキースの演奏と全然合っていないように思えるが、それもこれもひっくるめて摩訶不思議なサウンドが妙に耳に残るプログレ風「黒犬」だ。
Keith Emerson (ELP) - Black Dog ( Led Zeppelin Cover )
【おまけ】心の広~いゼップ・ファン限定で、バンバンバザールのウクレレ演奏による脱力系「黒犬」をどーぞ。
ブラックドッグ