shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

キュートな女性ヴォーカルで聴く「ビー・マイ・ベイビー」カヴァー特集

2015-04-04 | Wall Of Sound
①Rachel Sweet
 女性シンガーの声質と曲調、そしてそのサウンド・プロダクションとの相性というのは非常に重要なファクターだと思うのだが、レイチェル・スウィートの文字通り甘~いロリータ・ヴァイスはフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドにピッタリだ。彼女がパット・ベネターばりに黒の皮ジャンに身を包んで歌ったプレスリー・カヴァー「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」なんかは気持ちばかりが先走った余裕のない歌い方で観ていて痛々しかったが、「ゼン・ヒー・キスド・ミー」とのメドレーで聴かせるこの「ビー・マイ・ベイビー」では一転して水を得た魚のように活き活きとした歌声を聴かせてくれる。やっぱり選曲って大事やねー。彼女に合ったミディアム・スロー・テンポ曲2連発ということも相まって、そのキュートな魅力全開で音壁ファンのハートを撃ち抜く必殺のスペクター・メドレーだ。
Rachel Sweet - Then He Kiss Me (Be My Baby) 1981


②Sandy Posey
 歌手の中にはオリジナル作品はイマイチ面白くないのにカヴァー曲になると俄然魅力を発揮する人達がいる。要するに実力はあるのに良い曲に恵まれなかったということなのだろうが、このサンディー・ポゥジィという人もそんな不運な女性シンガーの一人だろう。彼女の持ち味であるカントリー・テイスト溢れるそのキュートなポップ・ヴォーカルは「シングル・ガール」や「ボーン・ア・ウーマン」といった旋律性の薄いオリジナル曲よりもキャッチーなアメリカン・ポップスのカヴァーの方が断然合っている。
 そんな彼女のカヴァー曲を中心に選曲された超お宝CDがこの「シングル・ガール」で、「ビー・マイ・ベイビー」を始めとして、クリスタルズの「ゼン・ヒー・キスド・ミー」、リトル・ペギー・マーチの「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」、シフォンズの「ヒーズ・ソー・ファイン」「ワン・ファイン・デイ」(←何故か 'Till I Kissed You と誤植されてる...)、シュレルズの「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」、パリス・シスターズの「アイ・ラヴ・ハウ・ユー・ラヴ・ミー」といった私の大好きなガール・ポップ・クラシックスが満載だ(^o^)丿 特に彼女と歌い方が似ているコニー・フランシスの「フーズ・ソリー・ナウ」「エヴリバディーズ・サムバディーズ・フール」「マイ・ハピネス」の3曲なんかもう絶品と言える素晴らしさだし、エヴァリー・ブラザーズの「オール・アイ・ハヴ・トゥ・ドゥ・イズ・ドリーム」「ホェン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」(←リンロンのカヴァーでも有名ですね)も鳥肌モノの名唱だ。このCDは今ではかなり入手困難なようだが、サンディー・ポゥジィを聴くならまずはこの1枚から!と言いたくなるオールディーズ・ファン必携盤だ。
Sandy Posey - Be My Baby


③Maggie Roberts
 このマギー・ロバーツという女性シンガーのことは「ビー・マイ・ベイビー」カヴァーを集めていた時に初めて知った。今はネットを駆使すれば大抵の情報は手に入るものだが、この人はよっぽどマイナーな歌手だったのか、色々調べてみても顔写真1枚すら出てこず、結局1963~64年頃に Cannon や Crossbow といったイギリスの超マイナー・レーベルから出されたカヴァー曲コンピレーションEPの中でレスリー・ゴーアの「イッツ・マイ・パーティ」やスプリームズの「恋はどこへ行ったの」、ロネッツの「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」なんかをカヴァーしていたということぐらいしか分からなかった。当時はヒット曲カヴァー専門のシンガーがたくさんいたので、ひょっとすると彼女もそんな1人かもしれない。
 彼女の「ビー・マイ・ベイビー」カヴァーは63年にイギリスでリリースされた6曲入りEPの中に入っていたものだが、私が買ったのは翌64年にイタリアの Variety というこれまた未知のレーベルから出された2曲入りシングルのプロモ盤。以前取り上げたジョージェッツと同じく歌も演奏もオリジナルに忠実にカヴァーするというこの手の企画の鉄則通りの内容で、この曲に特別な思い入れのない人にとっては取り立ててどうということのないレコードかもしれないが、私にとってはそのキュートなヴォーカルとVariety というレーベルの神秘性で結構愛着のある1枚なのだ。
Maggie Roberts - Be My Baby
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