shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Ci De Desse Swing

2010-06-06 | Gypsy Swing
 マヌーシュ・スウィングの本場は当然フランスを中心とするヨーロッパである。しかしジプシー・ミュージック自体がまだまだ超マイナーなジャンルにすぎないこの日本でも、ジャンゴ・ラインハルトを信奉するマヌーシュ・スウィング・バンドたちがマカフェリ・ギターをかき鳴らしながら頑張っている。カフェ・マヌーシュを筆頭にスウィング・アモールやジプシー・ヴァガボンズなど、それぞれのバンドが選曲やアレンジに工夫を凝らしながら新しいマヌーシュ・スウィングを創造しようとしており、ザクザク系ギターが大好きな私としてはついつい応援したくなってしまう。
 そんな中、法田勇虫氏のプロデュースで2009年にデビューしたのが Ci De Desse Swing(シ・デ・デッセ・スウィング)という、まだ20代後半の若手3人から成るジプシー・ギター・トリオである。今日はそんな彼らのデビュー・ライヴ・アルバム「シ・デ・デッセ・スウィング」を取り上げよう。収録されているのは全10曲、マヌーシュ・スタンダードが3曲にメンバーの自作オリジナルが7曲というバランスもエエ感じだ。
 スタンダードの3曲はどれもみな原曲の良さを活かした好アレンジが施されているのがポイント。まず②「イット・ドント・ミーン・ア・シング」はドラド・シュミットの名曲「ラッチョ・ドローム」からアダプトしたイントロから始まるアレンジがめちゃくちゃカッコ良く、マヌーシュ・スウィングのキモとでも言うべきめくるめくスピード感が存分に楽しめる演奏だ。
 ⑨「ダーク・アイズ」はおそらく全マヌーシュ・スウィング・スタンダード曲の中でも最もプレイされてきた曲だと思うが、それは裏を返せば “他のバンド / ギタリスト達との比較” という俎上に乗ることを意味するので、新人バンドにとっては “おぉ、中々やるやん!” となるか “あんまり大したことないな...” となるかの分かれ目になる最重要曲だろう。シ・デ・デッセ・スウィングの演奏はストーケロ・ローゼンバーグの影響が随所に感じられる正統派で、まったく破綻のない安定したテクニックと歌心溢れるプレイに唸ってしまう。
 ⑩「チェロキー」でもメロディーを大切にしながら、持てるテクニックを駆使して聴き応え十分な演奏を聴かせてくれる。きめ細やかなアレンジも絶品で、とても新人バンドのデビュー・アルバムとは思えない充実した内容だ。ただ速いだけでなく、聴き手の心に響く音楽を演っているところが何より素晴らしい(^o^)丿
 オリジナル曲では⑤「フラグランス」が大好きで、まるでロシア民謡のような哀愁舞い散るメロディーに涙ちょちょぎれる。ここでも随所に顔を出すストーケロ節が嬉しい。⑥「ラ・プルエ」はワルツのリズムに乗って物憂げなメロディーを紡ぎ出すギターが聴き所。これまた哀愁のメロディーがたまらない⑦「ヴェント・ショー」では見事なユニゾンが楽しめるし、⑧「ミスター・フェイク」でのマヌーシュ・スウィングのお手本のようなトリオ・プレイも言うことナシで、このバンドのレベルの高さを痛感させられる。
 デビュー盤にして非常に高い完成度を誇るシ・デ・デッセ・スウィングのこのアルバム、スピーディー & メロディアスなアコギ・サウンドを愛する音楽ファンなら迷わず “買い” でっせ(^.^)

Ci De Desse Swing - Cherokee


シ・デ・デッセ・スウィング