shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Gipsy Trio / Bireli Lagrene

2010-06-05 | Gypsy Swing
 今日は久々に、ホンマに久々にマヌーシュ(ジプシー)スウィングである。このブログを始めた2008年秋頃はちょうどマヌーシュ・スウィングにハマッたばかりで、ローゼンバーグ・トリオに始まりチャヴォロ・シュミットやアンジェロ・ドゥバール、そしてビレリ・ラグレーンという “マヌーシュ四天王” から超マイナーなギタリストに至るまで、「マイナー・スウィング」、「ボッサ・ドラド」、「黒い瞳」、「デュース・アンビエンス」といった超愛聴曲入りの盤を中心に徹底的に買い漁り、来る日も来る日もマカフェリ・ギターのザクザク音を響かせて悦に入っていた。
 しかし元々狭~いジャンルゆえ欲しい盤は数ヶ月でほぼすべて入手できたのと、それ以降中々良い新譜に巡り合えなかった(←そんなにマヌーシュばっかりボコボコ出るワケない...)ことなどもあって、ブログ上ではマヌーシュ・フィーバーは沈静化していたのだが、自分の中ではむしろ重点ジャンルとして定着した感があり、何かエエ新譜出ぇへんかなぁとネット上の情報には常に目を光らせていた。
 そんな甲斐あってか、今年に入って何枚かクオリティの高い新譜をゲットできたのだが、そんな中でもやはり大御所ビレリ・ラグレーンのニュー・アルバムは一頭地を抜く内容で、ジプシー・プロジェクトでマヌーシュ・スウィングに回帰して以降の彼の充実ぶりが伝わってくる好盤だ。若くしてジプシー・コミュニティーを飛び出し他の様々な音楽ジャンルのエッセンスを吸収したことによって音楽的な幅が広がり、最近ではマヌーシュ・スウィングの定番ナンバー以外にもジャズやポップスのスタンダード・ナンバーをどんどん取り上げ、より磨きのかかった速弾きで円熟のプレイを聴かせてくれるのだ。
 まずは何と言っても1曲目の①「ララバイ・オブ・バードランド」が抜群の出来だ。私にとっては “コレが入ってたら必ず買う” レベルの超愛聴曲で、この曲のお気に入りヴァージョンだけ集めて1枚の CD-R を作っているほどなのだが、このビレリ・ヴァージョンはその中でもトップ5に入れたいくらいの素晴らしさ。シャキシャキしたリズム・カッティングとビレリの歌心溢れるギターが相まって他ではちょっと聴けない「バードランド」になっている。やっぱりマヌーシュ・スウィングはこうでなくっちゃ!
 ポップス系のカヴァーでは⑧「サムシング」がいい(^o^)丿 マヌーシュ・スウィングで聴くビートルズ・カヴァーというのもレアだが、そこは百戦錬磨のビレリ・ラグレーン、高い音楽性を感じさせるプレイで珠玉のビートルズ・ナンバーを見事にマヌーシュ化している。いっそのこと「ビレリ・ラグレーン・プレイズ・ザ・ビートルズ」と銘打ってアルバム1枚丸ごとマヌーシュ・ビートルズ、っていうのもエエかもしれない。
 この2曲以外では②「ニュー・ヨーク・シティ」、⑥「ショーン・ローズマリン~ナイト・アンド・デイ」、⑨「メイド・イン・フランス」、⑪「タイガー・ラグ」、⑬「マイクロ」といったオラオラ系のナンバーで縦横無尽に弾きまくるビレリがたまらない。特にこれまでライヴで何度も披露してきた自作曲⑨で、スリリングなイントロから神業プレイで一気呵成に突っ走るビレリがめちゃくちゃカッコイイ(≧▽≦) まさにこの曲の決定版といっていいヴァージョンに仕上がっていると思う。
 とまぁエエとこだらけのこのビレリ盤なのだが、唯一の難点は⑭「ビー・マイ・ラヴ」で彼が自慢の喉を披露していること。1998年のシナトラ・トリビュート盤「ブルー・アイズ」で味をしめたのかどうかは知らないが、それまでのトラックが素晴らしかっただけに⑭で彼の絶唱ヴォーカルが聞こえてきた時はさすがにドン引きしてしまった。餅は餅屋とはよく言ったもので、ビレリはギタリストに徹してくれた方がファンとしては嬉しいねんけどなぁ...(>_<)

ララバイ・オブ・バードランド


サムシング