shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

1999 / Prince

2010-06-28 | Rock & Pops (80's)
 今日も空耳つながりということでプリンスだ。彼も空耳アワーの常連アーティストで、1989年のヒット曲「バットダンス」の一節 “Don't stop dancin'” がどこをどう聞いても “農協牛乳!” に聞こえるのだ。番組ゲストのセイン・カミュも “農協牛乳にしか聞こえへん...” と言っていたが、みなさんはどうですか?下に貼り付けといたのでよかったら聴いてみて下さいな。まぁコレに限らず空耳アワーを知ってからは “何かネタあらへんかな~(^.^)” などとアホなことばかり考えてしまい、マトモに洋楽を聴けない身体になってしまった(笑)
 話をプリンスに戻そう。私は1980年代には毎週のようにラジオでアメリカン・トップ40を聴いてチャートを追いかけており、エイティーズ・ポップス百花繚乱の時代をリアルタイムで体験していた。当時はまだビルボード誌を信頼していたので “全米№1” という言葉にはめっぽう弱く、1位になった曲には№1ソングとしての風格が感じられ(笑)、それ相応の敬意をもって聴いていた。
 ただ、個人的な嗜好は別にしても、全米№1になった曲の中に “何でコレが№1やねん?” と思わざるを得ない曲がいくつかあったのも否めない事実。正直言うとプリンスのファルセット・ヴォイス全開の「キッス」もそんな1枚だった。そもそも彼が全米で大ブレイクした「ホエン・ダヴズ・クライ」だって悪くはないけど、スプリングスティーンの「ダンシング・イン・ザ・ダーク」を抑えて5週連続№1になるほどの曲とも思えないし、同曲を含むアルバム「パープル・レイン」が24週も1位を独走したのも正直 ??? だった。
 当時のプリンスは同じ黒人ビッグ・アーティストということでマイケル・ジャクソンのライバルとしてメディアから高く評価されていたが、私はどうしてもあの変態的な(?)サウンドに馴染めず、いわゆるひとつの “ミネアポリス・サウンド” が分らなかった。“エンターテイナー・マイケル vs 孤高の天才・プリンス” という図式は、ジャズに例えるなら “分かりやすいベイシー vs 難解なエリントン” といった感じか。いつの時代も “天才” と呼ばれる人達の音楽は難しい(+_+)
 ということで私は決して彼の良い聴き手ではないのだが、かといって “プリンス嫌い” というワケでもない。何といっても80年代を代表する名曲「マニック・マンデー」(バングルズ)は彼の作品だし、「パープル・レイン」の次に出て200万枚しか(笑)売れなかった「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」からの 1st シングル「ラズベリー・ベレー」なんかは結構好きでよく聴いたものだった。
 しかし私が一番好きなのは何と言っても「パープル・レイン」で全米大ブレイクする直前の1982年にリリースされたアルバム「1999」だ。このアルバムはまだ奇天烈なミネアポリス・サウンドに染まっておらず、ストレートアヘッドなファンク・ナンバーが目白押しでめっちゃカッコエエのよね。しかもその中で前衛性と大衆性を高い次元で見事にバランスさせているのだからもう言うことナシだ。
 中でも断トツに気に入っているのが 1st シングルになったタイトル曲①「1999」で、プリンス入魂のポップでネチこいファンクネスが炸裂、アメリカで車に乗せてもらってハイウェイを飛ばしている時にラジオからこの曲が流れてきた時はゾクゾクした。②「リトル・レッド・コルヴェット」はファンク・エッセンスを薄めてポップな味付けを濃くしたのが功を奏してプリンスにとって初のトップ10ヒットになった曲。チープな打ち込み音が耳に残る③「デリリアス」もプリンス流疾走系ポップ・ファンクで、連続トップ10入りを記録、この①②③と続くシングル3連発のダンサブルな流れが聴く者に強烈なインパクトを残す。
 ④「レッツ・プリテンド・ウィーアー・マリード」はリズム・マシンの無機質なサウンドとシンセのチープな音の洪水の中を自由に泳ぎ回るプリンスに耳が釘付けになるし、⑥「オートマチック」では単純なメロディーの繰り返しがやがて大きなうねりとなって聴く者の快感を呼ぶ。一時期のトーキング・ヘッズみたいなサウンドから入って次第にプリンスの真っ黒な世界に引きずり込んでいき、気がつきゃアヘアへ状態(笑)な⑨「レディー・キャブ・ドライバー」なんかもう、ポップでファンキーで猥雑でちょっぴりアヴァンギャルドなプリンス・ワールドが堪能できるのだからたまらない(≧▽≦)
 世間では “プリンスといえば「パープル・レイン」で決まり” みたいな風潮があるが、チャート成績や売り上げ云々は別にして、最もポップなプリンスが楽しめるのがこの「1999」なのだ。プリンスってちょっと苦手、という私のようなポップス・ファンはこの辺から聴き始めるのが良いと思う。

CM 農協牛乳


1999-1999