shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Ticket To Ride / The Swingle Singers

2010-06-23 | Beatles Tribute
 私は基本的に疾走系のロックンロールやスインギーなジャズが大好きなので、コーラス・グループも聴くというと意外な顔をされることが多い。しかしアンドリュース・シスターズやクラーク・シスターズ、べヴァリー・シスターズといったいわゆるひとつの “シスターズ系” はもちろんのこと、パイド・パイパーズやハニードリーマーズのような正統派コーラスも聴くし、ジャズ・コーラスの王道を行くマンハッタン・トランスファーは大好きなグループだ。
 スイングル・シンガーズは1963年にパリで結成された混声コーラス・グループで、バッハを始めとするクラシック音楽をダバダバ・スキャットでジャズ・コーラス化したことで知られるが、クラシックを聴かない私には全く縁の無いグループだった。唯一聴いたことがあるのは同じクラシックかぶれの MJQ との共演盤「ヴァンドーム」ぐらいで、ただでさえ眠たい MJQ の音楽に気持ち良いコーラスが加わって昼寝の BGM には最適な音楽に思えたが、身銭を切って買うような盤ではなかった。
 そんな彼らの名前を久々に見つけたのが様々なビートルズ・ナンバーをアマゾンで検索していた時で、早速この「ティケット・トゥ・ライド ~ア・ビートルズ・トリビュート~」を試聴、私の記憶にあるクラシックかぶれのコーラス・グループというイメージとはかけ離れたカッコ良いコーラス・ワークがいっぺんに気に入ってしまい、即オーダーした。後で知ったことだが、中心人物であるウォード・スイングルは70年代にフランス人主体だったグループをイギリス人主体へと再編成し、クラシックだけでなくポップスからクリスマス・ソングまで幅広く取り上げるようになったらしい。
 1999年にレコーディングされたこのアルバムは全16曲入りで、中期以降の楽曲を中心にセレクトされている。ギター・リフを幾重にも絡み合うコーラス・ハーモニーで見事に表現した①「ティケット・トゥ・ライド」や④「デイ・トリッパー」、洗練の極致とでも言うべき②「ペニー・レイン」や⑪「ブラックバード / アイ・ウィル」、アカペラでこの曲をやるという発想自体が凄い③「レヴォリューション」や⑥「バースデー」、変幻自在のコーラス・ワークでヴォーカリーズの面白さを教えてくれる⑨「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」や⑫「ホエン・アイム・64」あたりが私は気に入った。
 ⑧「イエスタデイ」はリード・ヴォーカルは暑苦しくて鬱陶しいが、例の弦楽四重奏をアカペラで再現している所は面白い。⑮「アイ・アム・ザ・ウォルラス」もデリカシーに欠けるリード・ヴォーカには興ざめだが、例のイントロを含むサイケなサウンド・プロダクションを絶妙なコーラス・ワークで表現しているところは聞き物だ。逆に⑤「ノーウェジアン・ウッド」、⑦「レディ・マドンナ」、⑩「ドライヴ・マイ・カー」、⑬「フール・オン・ザ・ヒル」、⑭「オール・マイ・ラヴィング」あたりはアレンジが私的にはイマイチ。まぁコレは好みの問題なので、人それぞれだろう。⑯「グッドナイト」は普通すぎて可もなし不可もなしといったところか。
 ビートルズの名曲をアカペラで、という企画のアルバムとしては他にキングス・シンガーズの「ビートルズ・コレクション」やアカペラ・トリビュート・コンピ「カム・トゥゲザー」などがあるが、そんな中で一番 CD プレイヤーに収まる機会が多いのがこの盤だ。ただし全曲聴くとさすがに胃にもたれるので、その時の気分で2~3曲選んで聴くのが極意だと思う。

ペニーレイン


ホエン・アイム 64


ブラックバード~アイ・ウィル
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