shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト / アニー・ロス

2010-04-29 | Standard Songs
 テレビドラマを見ていてたまたま自分の好きな曲が印象的なシーンで効果的に使われていたりすると嬉しいものである。だから大好きなスタートレック・シリーズの中でも一番のお気に入りである「スタートレック・ディープ・スペース・ナイン」にジェームズ・ダーレンがヴィック・フォンテーンというホログラム・シンガー・キャラで登場し、ストーリー展開にピッタリ合ったスタンダード・ナンバーをチョイスして次から次へと歌ってくれた時は大喜びしたものだ。さすがアメリカのドラマ作りは奥が深いわいと感心したものである。そんなヴィックの数々の名唱の中でも一番印象に残っているのが最終回に宇宙ステーションのクルーの別れの宴で歌われた「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト(邦題:今宵の君は)」である。
 この曲は元々1936年のミュージカル映画「有頂天時代」の中で “今宵の君を愛せるなら他には何もいらない” とフレッド・アステアが歌い、アカデミー賞を受賞したバラッドの逸品だが、私は蕩けるようなアニー・ロスのヴァージョンを聴いてその優しさ溢れる旋律と愛情がヒシヒシと伝わってくる歌詞をすっかり気に入り、それ以降この曲が入った盤はすべて買うようになった。流れるようなメロディーとコード進行のせいか、モダン・ジャズのインストではスタン・ゲッツ、アート・ペッパー、ジョニー・グリフィン、ロリンズ&モンクなど、アップテンポで快調に飛ばす名演が多いが、今日は敢えてヴォーカル物で、しかも多分私しか選ばないであろう極私的愛聴盤を5つご紹介;

①Annie Ross
 アニー・ロスの初録音で、22才という若さのせいか、とにかく初々しくて可愛いところがいい。その甘~い歌声は聴いてるこっちがフニャフニャと腰砕けになっちゃいそうなくらい魅力的。後年の姐御肌のロスとは別人のようだ。バックがジョン・ルイスの代わりにブロッサム・ディアリーが入ったMJQというのも珍しいし、何よりミルト・ジャクソンの歌伴というのが貴重だと思う。
アニー・ロス


②June Christy
 ジューン・クリスティーのケントン楽団退団直後の SP 音源を集めたCD「デイ・ドリームズ」収録のこのヴァージョン、何とスキャットのみで歌い切ってしまうという大胆さ、40年代においてここまでやってしまう斬新さに改めて彼女のモダンなジャズ・フィーリングを実感させられる。スイングせずに何のジューン・クリスティーか、と言いたくなるようなカッコ良さだ。
ジューン・クリスティ


③The Dinning Sisters
 癒し系女性コーラス・グループで愛聴しているのがこのディニング・シスターズ。綴りにnが2個あるので決して “ダイニング” ではない(←食堂じゃあるまいし...笑) コレは43年録音のSP音源で、ピッタリ息のあったコーラス・ハーモニーが生み出すノスタルジックな響きにウットリ聴き入ってしまう。寝る前に聴くと安眠できそうな名唱だ。
ディニング・シスターズ


④Sara Lazarus
 以前このブログでも取り上げたサラ・ラザラス盤の中でも一番好きなトラックがコレ。もちろんサラのヴォーカルもエエのだが、それに輪をかけて素晴らしいのがバックに回って歌心溢れるプレイを聴かせるビレリ・ラグレーンだ。特に1分35秒から始まる変幻自在のソロは何度聴いても鳥肌モノ。ここまできたらもうジャンルもヘッタクレもない、音楽ってホンマにエエよなぁ...と思わせてくれる至福の3分16秒である。
サラ・ラザラス with ビレリ・ラグレーン


⑤James Darren (Vic Fontaine)
 筋金入りのスタートレック・ファンとしては、「今宵の君は」と言えばやはりジェームズ・ダーレンのクルーナーぶり(←ホンマに渋いッ!!)が存分に発揮されたこのシーンを忘れることはできない。特に鼻筋に独特の皺があるという設定のベイジョー人、キラ少佐(赤い軍服の女性)に向かってさりげなく And that laugh that wrinkles your nose と歌うくだり(3分50秒あたり)なんか、テレビを見ていて思わず唸ってしまった。バックのトランペットもエエ味出してるなぁ...(≧▽≦)
DS9 - The Way You Look Tonight
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