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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Rock Of Ages ~The Definitive Collection~ / Def Leppard (Pt. 2)

2012-05-20 | Hard Rock
 この2枚組CD のディスク1が1995年にリリースされたベスト盤「ヴォールト」と選曲・曲順がほぼ同じという “ヒット曲集” なのに対し、ディスク2はさながら “裏ベスト” 的な様相を呈している。選曲に関して言えば、「ナウ」や「ワーク・イット・アウト」を入れるぐらいなら「カミン・アンダー・ファイアー」や「デモリッション・マン」を、カヴァーなら「ノー・マター・ホワット」なんかよりも絶対に「アクション」を入れろよ!とは思うが、こればっかりは個人的な嗜好の問題なので自家製ベストを CD-R に焼いて楽しんでいる。ということで、今日はディスク2からお気に入りのナンバー5曲をピックアップ;

②「レット・イット・ロック」
 彼らの 2ndアルバム「ハイ・アンド・ドライ」からはこのベスト盤に6曲も収録されているのだが、その “隠れ名盤” の1曲目を飾っていたのがこの「レット・イット・ロック」だ。バンドが頂点に向かって駆け上がっていく勢いを感じさせるハイスピード・チューンで、プロデューサーが同じロバート・ジョン・マット・ラングということもあって、ラフで荒々しいヴォーカル、ソリッドなギター、パワフルなドラムスから武骨なバック・コーラスに至るまで、同時期に大ヒットしていた AC/DC の「バック・イン・ブラック」を彷彿とさせるものがある。マット・ラングが徹底的に贅肉を削ぎ落としてガチガチに磨き上げたその硬質なサウンドは実にスリリングだ。
Def Leppard - Let It Go


③「ハイ・アンド・ドライ」
 2nd アルバムのタイトル曲「ハイ・アンド・ドライ」は、そのヘヴィーな曲想といい、シャープな音作りといい、「バック・イン・ブラック」(1980)に続いてマット・ラングがプロデュースした AC/DC の全米№1アルバム「悪魔の招待状」(1981)に入れたらぴったりハマりそうなタテノリ・ロックだ。古い音源ほどリマスターによる音質向上が目覚ましいのは理の当然だが、手持ちの「ハイ・アンド・ドライ」旧規格CDでは情けないぐらいの薄っぺらい音しか聴けなかっただけに、②③と立て続けに聴いてみてまるで違うテイクを聴いているかのような錯覚に陥ってしまった。ホンマにテクノロジーの進化は凄いわ... (≧▽≦)
Def Leppard - High 'N' Dry #Saturday Night# #HQ#


①「ロック・ロック」
 名作「パイロメニア」の1曲目を堂々と飾っていたのがこの「ロック・ロック」という曲。私は一連のビデオ・クリップでレップスを知り、「フォトグラフ」、「ロック・オブ・エイジズ」、「フーリン」といったシングル曲目当てで「パイロメニア」を買ったのだが、いきなり予想もしていなかったこの曲のパワーに圧倒されてブッ飛んだのを今でもよく覚えている。何と言ってもイントロのシンセを切り裂くように炸裂するギラギラしたギターがめちゃくちゃカッコイイし、若き日のジョー・エリオットのハイトーン・シャウトも生々しい。ノリ一発でガンガン攻める姿勢が名演を生んだのだろう。どこを切っても熱いロック・スピリットが迸り出るような、タイトル通りのストレートアヘッドな疾走系ロックンロールだ。
Def Leppard Rock! Rock! Till You Drop Music video


⑧「ウィミン」
 この曲は「パイロメニア」の大ヒットを受けて4年ぶりにリリースされた待望のアルバム「ヒステリア」からの 1st シングルということで期待も大きかったのだが、全米チャートでは全くの不発(←何と80位までしか上がらんかった...)に終わってしまい、そのせいか過小評価されているキライがある。まぁ一般ピープルにとってはサウンドが余りにもヘヴィーすぎるし、 “女、女、女なしでは生きられない~♪” などというこっ恥ずかしい歌詞(笑)もラジオではかかりにくいのでシングルには向かないとは思うが、綿密に練り上げられた重厚でスケールのデカいサウンド・プロダクションといい、ブリティッシュ・ロックらしいエモーショナルなギター・ソロといい、私にとっては「ヒステリア」の中で5指に入る愛聴曲。特に後半部の盛り上がりようは凄まじく、幾重にも重なっていくリフレインのヘヴィーネスは痛快無比だ。
Def Leppard - Women


⑩「スラング」
 1996年にリリースされたアルバム「スラング」は当時の音楽界を席巻していたグランジ/オルタナ・ロックに迎合したかのようなダークな作風や、収録曲のクオリティーが過去の作品群と比べて遥かに落ちるせいもあってあんまり好きになれないが、このタイトル曲だけは別。最初、ファンキーなリズム・カッティングが生み出すモダンなビートに乗ってジョー・エリオットのラップ調ヴォーカルが飛び出してきた時は “何じゃいコレは...(゜o゜)” と思ったが、何度も聴くうちに脳内リフレインを起こし、 “コレはコレでめっちゃオモロイやん!” とすっかり気に入ってしまった。ラップ/ヒップホップは私が生理的に受け付けない音楽ジャンルの一つなのだが、レップスの手にかかると楽しく聴けてしまうのだからあら不思議... 彼らならではのポップなメロディー・センスと美麗コーラス・ワーク、そして息もつかせぬパワー・コードの波状攻撃が、有象無象の凡百ヒップホップ・ロックとは激しく一線を画すカッコ良いダンサブル・ロック・ナンバーに仕上げているのだ。とにかく騙されたと思ってこの曲をリピート再生してみて下さい... 絶対にハマりまっせ(^o^)丿
Def Leppard - Slang Official Music Video 潤・1996

Rock Of Ages ~The Definitive Collection~ / Def Leppard (Pt. 1)

2012-05-17 | Hard Rock
 前回に続いて今日もデフ・レパードだ。実は先月あたりからモット・ザ・フープルやT.レックス、スウィートといった70年代前半のグラム系ブリティッシュ・ロックにどっぷりとハマっており、そこからデフ・レパードによる70'sトリビュート盤「Yeah!」へと繋がっていったのだが、「Yeah!」をヘビロテで聴いているうちに旧作も聴きたくなり、三部作の中でも最高傑作と信ずる「パイロメニア」のCDを久々に取り出して聴いてみるとコレが実に貧弱極まりない音でガッカリ(>_<) よくよく考えてみると私の手持ちの盤はCDがまだ3,200円もした80年代に作られた “CD黎明期” のモノなので音がショボイのも当然だ。
 そこでビートルズやクイーンのように最新の再発盤ならきっとリマスターされて音が良いだろうと考え色々調べてみると、日本盤は例のSHMとかいう “自称” 高音質CD(笑)で3,000円近いボッタクリ価格なので論外、どうやら2005年に北米エリアのみでリリースされた「ロック・オブ・エイジズ ~ザ・デフィニティヴ・コレクション~」という2枚組ベスト盤の音が抜群に良さそうだ。早速ゲットして聴いてみると、コレがもう凄いの一言!!! ギターの鋭い切れ込みやドラムスの強烈なアタック音なんかもう雲泥の差で、それまで小さくまとまっていたサウンドがドーンと目の前に屹立するような感じがする。しかもサウンドはラウドでありながらどこまでもクリアー&クリスプで、そのリマスター効果は歴然だ。
 ということでブログでもこの2枚組ベストをディスク1と2の2回に分けて大特集。今日はまずヒット曲満載のディスク1から、特に思い入れの深い5曲をピックアップしてみた。

②「フォトグラフ」
 この「フォトグラフ」こそが私がレップスと出会った運命の1曲で、「ベスト・ヒットUSA」の Star Of The Week のコーナーで初めてこの曲のビデオ・クリップを見た時の衝撃は忘れられない。特にジョー・エリオットが着ていた鮮やかなユニオン・ジャック・シャツのインパクトは強烈だったし、マリリン・モンローを扱ったサイド・ストーリーも印象的だった。エッジの効いたギター・リフ、キャッチーなメロディー、アグレッシヴな演奏の中に不思議なくらいぴったりハマる見事なコーラス・ハーモニーと、レップスの魅力をギュッと凝縮したようなキラー・チューンだ。
Def Leppard - Photograph


⑬「ロック・オブ・エイジズ」
 アルバム「パイロメニア」から「フォトグラフ」に続く 2nd シングルで、ノリの良い「フォトグラフ」とは又違った魅力に溢れたパワフルなメタル・チューン。私が生まれて初めてヘッド・バンギングした記念すべき1曲だ(笑)。この曲の一番の聴き所は何と言ってもリック・アレンの爆裂ドラミングだと思うが、平板な音がトホホな旧規格 CD から大きくパワー・アップしたこのリマスター盤のサウンドは凄まじく、まるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波の直撃を食らったような感じである。ハードロック・ファン冥利に尽きるトラックと言えるだろう。
Def Leppard - Rock of Ages 1983 Video stereo widescreen


①「ポァ・サム・シュガー・オン・ミー」
 アルバム「ヒステリア」は最初のうちは売り上げもスロー・ペースで前作「パイロメニア」にも届かないような情勢だったように記憶しているが、3rd シングルであるこの曲が突如として大ブレイク。それが停滞気味だったアルバム・セールスに火をつけ、結局この曲が全米2位にまで上がった7月にアルバムの方もリリース後1年経って(!)ついに悲願の全米№1に輝いた。「ヒステリア」が “ハードロック界の「スリラー」” 的なモンスター・アルバムになったのは一にも二にもこの曲に負うところが大きいと言えるだろう。クイーンの「ウィー・ウィル・ロック・ユー」を想わせるヘヴィーーなリズムが支配するこの曲は、サビに向かってテンションが上がっていくスリリングな展開がたまらなくカッコイイ(^o^)丿 
Def Leppard - Pour Some Sugar On Me


⑪「アーマゲドン」
 「ヒステリア」からの6枚目のシングルで全米3位まで上がった大ヒット曲で、1分30秒から始まる “海女 下痢で 海に出れねぇ 今朝も下痢で~♪” はタモリの空耳アワー史上屈指の傑作だ。今回のリマスターで音圧が飛躍的にアップ、我が家のアルテック・ヴァレンシアの38cmウーファーから迸り出るリック・アレンのドラミングの迫力はまさに圧巻の一言で、部屋全体が地鳴り鳴動する中でレップスの美麗コーラス・ハーモニーを聴く快感は筆舌に尽くし難い。
Def Leppard - Armageddon It Official Music Video・1988


⑨「ロケット」
 「ヒステリア」からの7枚目のシングルで、アルバム・リリースからすでに1年半以上が経っていたにもかかわらず全米12位まで上がったのだから当時のレップスの勢いが分かろうというモノだ。やや冗長だったアルバム・ヴァージョンを絶妙に編集した Lunar Mix をシングル・ヴァージョンにしたのも功を奏したのだろう。彼らがリスペクトするT.レックスやスウィート、デビッド・ボウイといったブリティッシュ・ロックのスーパースター達が多数フィーチャーされたビデオ・クリップも見所満載で、何度見ても飽きない。尚、ここに収録されている Visualize video edit はシングル・ヴァージョンの間奏を20秒ほどカットしてスッキリさせたものだ。
Def Leppard - Rocket

Yeah ! / Def Leppard

2012-05-13 | Hard Rock
 前回の「ロックンロール黄金時代」つながりで、今日は大好きなデフレパさんだ。私は彼らの大ファンで、リアルタイムで聴いて大きな衝撃を受け80年代ハードロックの理想形と確信した「パイロメニア」、1枚のアルバムから7曲ものシングル・ヒットを出して全米だけで1,300万枚を売り上げた “ハードロック界の「スリラー」” 的存在の「ヒステリア」、80'sデフレパ・サウンドの集大成とも言える「アドレナライズ」の3部作は私にとって “超” の付く愛聴盤なんである。
 しかし残念なことに、90年代に入ってB面曲&未発表曲集「レトロ・アクティヴ」とベスト盤「ヴォールト」という2枚の企画物アルバムで過去を総括した後にリリースされた一連の作品からはそれまでのマジックがすっかり消え失せていた。「ユーフォリア」にはまだ随所に “らしさ” が感じられて結構好きなのだが、それとて上記3部作を超えるようなものではなかったし、「スラング」と「Ⅹ」に至っては、収録曲のクオリティーといい、サウンド・プロダクションの方向性といい、私が夢中になったデフ・レパードの面影はそこにはなく、 “やっぱりマット・ラングがプロデュースせなアカンのか...” “スティーヴ・クラークがおらんとエエ曲が書けへんのか...” とガッカリさせられたものだった。
 しかし2006年にリリースされた彼ら初のカヴァー・アルバム「Yeah!」で往年のサウンドが見事に復活! それまで10年間の停滞がウソのように溌剌としたサウンドを聴かせてくれているのだ。メロディーの大切さを忘れたかのような無味乾燥な楽曲が大手を振ってバッコした90年代以降の不毛のロック・シーンの中で自らが進むべき方向性を見失いかけていたデフ・レパードだったが、若い頃に聴いて育ったブリティッシュ・ロックの名曲たちをカヴァーすることによって迷いが吹っ切れ、蘇生したのかもしれない。
 そのせいだろうか、このアルバムには “悩みに悩み、考えに考えた末に作り上げました感” があった最近の3作とは違って音楽を演る悦びがストレートに伝わってくるような名演が目白押しで、そのことは「Yeah!」という肯定的なアルバム・タイトルからも伝わってくる。まぁ「イエーイ!」などというアホ丸出しのカタカナ邦題(←Yeah の正しい発音は「ィエー」か「ィヤー」でしょ?)を平気で付ける日本のレコード会社のバカさ加減には呆れてモノも言えないが、中身の方はレップス会心のカヴァー集に仕上がっている。
 楽曲は1970年代前半のグラム・ロック・ナンバーを中心に幅広く選ばれており、この時代のブリティッシュ・ロックが大好きな私のような人間にとっては言うことナシの選曲だ。しかも「ゲット・イット・オン」ではなく「20thセンチュリー・ボーイ」、「すべての若き野郎ども」ではなく「ロックンロール黄金時代」、「フォックス・オン・ザ・ラン」ではなく「ヘル・レイザー」というように、敢えて№1ヒットや超有名曲を避けながらもロック・スピリットに溢れた隠れ名曲を選んでいるあたりに彼らの拘りとロックへの深い愛情が感じられる。
 ボートラも含めた全16曲中、私が最も気に入っているのがスウィートの⑤「ヘル・レイザー」だ。彼らは筋金入りのスウィート・ファンで、「レトロ・アクティヴ」でも「アクション」をカヴァーしていたが、この「ヘル・レイザー」はそれをも上回るスリリングな展開で、いきなり “Look out!” というジョーのシャウトからパワー全開で一気に突っ走る痛快無比なロック・チューンに仕上がっている。エッジの効いたギター・リフも聴く者をロックな衝動に駆り立てる超カッコ良いトラックだ。
Hellrasier- Def Leppard


 モット・ザ・フープルの⑩「ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・ロックンロール」も最高だ。オリジナルの持っていたグルーヴ感を活かしながら、彼らの十八番であるあの重厚で美しいコーラス・ハーモニーで “デフレパ印” の刻印を押す... 何という見事なカヴァーだろう!!! ⑤と同様にエッジの効いたギター・リフがこの名曲に更なるドライヴ感を与えているし、中間部の簡潔にして明瞭なギター・ソロも最高だ。尚、有名なイントロの語りの部分は何とイアン・ハンター本人がやってくれたらしい(゜o゜)
The Golden Age of Rock & Roll


 このアルバムの中で最も意表を突かれた選曲がブロンディーの③「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」だ。最初に曲名を見た時は “何でデフレパがブロンディーを?” と不思議に思ったが、聴いてみるとこれがめちゃくちゃエエのだ。もちろんブロンディーはブリティッシュ・ロック・バンドではないが、そんなことはどうでもよくなるぐらいにこのトラックは素晴らしい!!! ポップな原曲をデフレパ流の分厚いサウンド・プロダクションによって切れ味抜群のロックンロールに仕上げているあたりはもうさすがという他ない。ハードロック・バンドでありながら大衆の圧倒的な支持を勝ち取った彼らのポップ・センスが最良の形で活かされたキラー・チューンだ。
Hanging on the Telephone- Def Leppard


 上記が私的トップ3で、コレ以外ではマーク・ボランのグルーヴを21世紀に蘇らせた感のあるT.レックスの①「20thセンチュリー・ボーイ」、グラム色の強い選曲の中で異彩を放つフリーの⑨「リトル・ビット・オブ・ラヴ」、名曲「ロケット」の元ネタとなったジョン・コンゴスの⑫「ヒーズ・ゴナ・ステップ・オン・ユー・アゲイン」、アグレッシヴなギター・リフが唸りを上げるシン・リジィの⑬「ドント・ビリーヴ・ア・ワード」、ノリ一発の快感がたまらないイギー・ポップ&ザ・ストゥージズの⑯「サーチ・アンド・デストロイ」あたりが気に入っている。
 CDブックレットには、リック・サヴェージが「クイーンⅡ」、ヴィヴィアン・キャンベルがT.レックスの「エレクトリック・ウォリアー」、ジョー・エリオットがデビッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」の裏ジャケ(!)、リック・アレンがルー・リードの「トランスフォーマー」、フィル・コリンがイギー・ポップ&ストゥージズの「ロー・パワー」というように、70's名盤ジャケットのコスプレで得意げに(?)ポーズをとる各メンバーの写真が載っており、ご丁寧にリング・ウェアー(←アナログ・レコード・ジャケットの円形擦れ)処理まで施してあるという徹底した拘りように唸ってしまうが、このあたりにも彼らのルーツ・ミュージックへの深い愛情とそのユーモアのセンスがよく表れているし、CDを取り出したら現れる三角形のデフレパ・ロゴとプリズム光線がピンフロ「狂気」のパロディーになっているところにも彼らの遊び心が感じられて実に微笑ましい。とにかくメンバー自身が楽しんで作ったというのが手に取るようにわかるこのアルバム、デフ・レパード・ファンだけでなく70年代ロック・ファンにも超オススメの傑作カヴァー集だ。
20th Century Boy Def Leppard with Brian May Queen Live in 2006

The Razor's Edge / AC/DC

2010-12-21 | Hard Rock
 一昨日から我が朋友のサムは2週間のタイ旅行に出かけた。長いこと海外旅行に行っていない私としてはホンマに羨ましい限りだが、今日はそんな彼女の旅の安全を祈って(?)オーストラリアが生んだ最強のロックバンド、 AC/DC にしよう。
 私は洋楽を聴き始めてすぐにレッド・ゼッペリンやディープ・パープルの洗礼を受け、70年代はキッスやエアロスミス、80年代に入ってもデフ・レパードやモトリー・クルーといったハードロック・バンドを聴きながら過ごしてきたのだが、AC/DC はそんな中でも特別な存在だった。ジャズに “スイング” が必須なようにロックに “ノリ” は欠かせない。十年一日のごとくヘビメタ特有の “様式美” に拘るバンドが多い中、AC/DC は原始的とも言える激しいタテノリ・グルーヴでロックの初期衝動を感じさせてくれる稀有なバンドなのだ。
 彼らはロバート・ジョン・マット・ラングがプロデュースした「バック・イン・ブラック」(1980年)と「悪魔の招待状」(81年)という2枚の大ヒット・アルバムで80年代初頭に頂点を極めた感があったが、続く「征服者」(83年)と「フライ・オン・ザ・ウォール」(85年)はセルフ・プロデュースが裏目に出たのかキャッチーさに欠けるへヴィーな内容でセールス的にも苦戦した。しかし80年代後半に入ってバンドは不振を脱し、88年の「ブロウ・アップ・ユア・ビデオ」では70年代の彼らを想わせるような疾走系ロックンロールが復活、まだプロデュースに甘さは残るものの、シングル・カットされた「ヒートシーカー」と「ザッツ・ザ・ウェイ・アイ・ウォナ・ロックンロール」の2曲は私のロック魂のスイート・スポットを直撃し、私は久々の快作に大喜びしたものだった。
 そうこうしているうちに80年代も終わり、1990年の9月にいきなりドッカーン!と登場したのがこの「ザ・レイザーズ・エッジ」だった。一聴して感じたのはライヴ感溢れる骨太な音作りがAC/DC の持ち味を巧く引き出しているということで、ボン・ジョヴィをスターダムに押し上げエアロスミスを復活させた必殺仕事人、ブルース・フェアバーンのプロデュースによってゴージャスでキャッチーなアルバムに仕上がっている。
 個々の楽曲では何と言ってもアルバム冒頭に置かれた①「サンダーストラック」である。イントロの “テロレロテロレロ テロレロテロレロ~♪” という一度聴いたら忘れられないようなリフに “アァァア~アァ♪” というコーラスが被さり、 “サンダー!!!” の雄叫びが炸裂する時の快感を何と表現しよう! この風雲急を告げるムード、ワクワクするような高揚感、ただならぬ殺気を身体全体で感じ、その凄まじいグルーヴに身を委ねれば自然と頭が上下動してしまうという最高のヘッドバンギング・ナンバーだ。初めてこのアルバムを聴いた時、いきなりこの「サンダーストラック」にカンプなきまでに打ちのめされたのを今でもハッキリと覚えている。
 ②「ファイアー・ユア・ガンズ」もめっちゃスリリング。 “ジャララ ジャラララ ジャッジャジャッ♪” という超カッコ良いリフにシビレる痛快無比なロックンロールで、メロディアスに疾走するという一見誰にでも出来そうで中々出来ないことをやっているのが凄い。最高傑作アルバム「バック・イン・ブラック」に入っていた「シェイク・ア・レッグ」や「ギヴン・ザ・ドッグ・ア・ボーン」を彷彿とさせるようなテンションの高さもハンパではない。やっぱり AC/DC はこうでなくっちゃ(^o^)丿
 ①②のインパクトが強烈過ぎてどうしても残りの曲がやや地味に聞こえてしまうのだが、そんな中では⑥「ロック・ユア・ハート・アウト」がお気に入り。 “ジャンジャンジャン ジャッ ジャッ ジャッジャ♪” というリフと闊達なベースラインが印象的で、AC/DC らしさ全開の1曲だ。ミディアム・テンポの⑦「アー・ユー・レディ」は90年代の「悪魔の招待状」的なロック・アンセムでライヴでの大合唱にピッタリだし、⑨「ショット・オブ・ラヴ」もその後の「スティッフ・アッパー・リフ」へと繋がるようなグルーヴを持った佳曲だと思う。
 90年代に入って完全に低迷期を脱した AC/DC はその後まさにロック・アイコンとして時代を超越した存在になっていくのだが、この「ザ・レイザーズ・エッジ」はそんな彼らの復活を強く印象付けた1枚なのだ。

AC/DC - Thunderstruck [HQ]


AC/DC - Fire your Guns (HQ)


AC/DC Rock Your Heart Out Music Video (Semi-Rare Video)

Enter Sandman / Metallica

2010-04-25 | Hard Rock
 4月に入って3週間以上が過ぎ、何とか新しい環境にも慣れてきた。仕事自体はチョロイのだが、何せ1日で往復60kmを通勤せねばならない。最近は超早起きして道が混む前に京奈和道に乗り、鬼神のような走りでタイムアタック、当初は片道75分かかっていたものをコンスタントに50分を切るまで時間短縮するのに成功した。毎日がモナコ・グランプリみたいなモンである(笑) 私はただでさえバラッドよりもアップテンポの曲が好きなのだが、高速ドライヴィング時の BGM は絶対にノリの良いロックンロールと決めているので、毎日2時間近くイケイケ・オラオラ系ロックを聴いている計算になる。昭和歌謡も太田裕美3連発で一段落したので、今日は大好きな胸毛系ハードロックに戻ってメタリカでいこう(←姐さん、ごめんなさい...笑)。
 一見同じように見える胸毛系ロックでも、私はキャッチーなハードロックが大好きで、ただウルサイだけのヘヴィーメタルが嫌いである。こんなことに拘ってるのは自分だけかなぁと思っていたら、モトリー・クルーやシンデレラのメンバー達がインタビューの中で “ヘビメタと呼ばないでくれ。俺たちはロック・バンドなんだ!” と言っているのを聞いて我が意を得たりと思ったものだ。ましてや嫌いなヘビメタの中でも特に粗野で、メロディーもヘッタクレもないスラッシュ・メタル系のバンドなんか全くもって論外で、世間で “スラッシュ・メタル四天王” と呼ばれるメガデス、アンスラックス、スレイヤー、そしてこのメタリカも嫌いだった。
 しかしそんなスラッシュ・メタル嫌い、メタリカ嫌いの私を屈服させた名曲名演が1991年にリリースされたこの「エンター・サンドマン」だ。初めて聞いたのは確かラジオのトップ40番組でDJのスコット・シャノンが “メタリカの新曲、めちゃくちゃカッコイイぜ~” みたいなことを言ってこの曲をかけた時だったと思う。あのメタリカがトップ40ってか?そんなアホな!と思って聞いてみてビックリ(゜o゜)  スリリングなイントロのバスドラ、凄まじいグルーヴを生み出すギター・リフ、強烈無比なフックを持ったメロディー、ただ叫んだりがなったりするしか能のない凡百のスラッシュ・メタルとは激しく一線を画すエモーショナルなヴォーカルと、それまでの私が彼らに対して抱いていたネガティヴなイメージを木端微塵に打ち砕くようなカッコ良さ(≧▽≦) とことんヘヴィーでありながらもメロディアスでグルーヴィーという、まさに非の打ち所のないロック曲に仕上がっており、その殺気すら感じさせるアグレッシヴで重量感に満ちたサウンドが私はいっぺんに気に入ってしまった。
 タイトルに出てくる “サンドマン” というのは “おとぎ話の中で子供の目に砂をまき眠りを誘う(←眠くなると目をこするでしょ?)という眠りの精” 、つまり睡魔のことで、要するにこれは “メタリカ版子守唄”(←こんなん聴いて寝れるかよ...笑)なのだ。現に3分26秒あたりから挿入されている小さな子供の就寝前のお祈りなんか実にぴったりハマッているし、サビの最後の “We’re off to never never land” (ネヴァー・ランド=夢の国へ行くんだよ)というのも面白い。それと、歌詞とは全然関係ないが、タモリの空耳アワーでやってた “千代田生命に行こう~♪” (←CDでは1分22秒あたり)にはワロタ(^o^)丿
 その後、アルバムの他の曲も色々聴いてはみたものの正直言ってイマイチ楽しめず、結局メタリカはこのCDシングル1枚しか持っていない。メタリカのサウンドでビートルズ・ナンバーをカヴァーするというパロディー・バンド、ビータリカは大好きなので、音楽のジャンルや演奏スタイルの問題ではなく、やはり “名曲が名演を呼ぶ” のだなぁ...と実感した。

METALLICA - Enter sandman live


【おまけ・その①】ビータリカ(←大ファンです!)による「タックスマン」のパロディーをどうぞ
Beatallica - Sandman


【おまけ・その②】タモリの空耳アワーでジャンパーを取ったメタリカ関連のネタをどうぞ


Who Made Who / AC/DC

2010-04-05 | Hard Rock
 4月に入ってすっかりロック色が濃くなってきたこのブログだが、やっぱり物心ついて以来ずぅ~っと聴き続けてきた音楽というのは耳に心地良い。私の場合、ビートルズとハードロック一色の10代を過ごしたこともあって、この歳になっても未だにハードロックから抜け出せない。ということで今日は胸毛系の中でも異色の “半ズボン&ランドセル系(笑)” バンド、AC/DC である。
 私が初めて AC/DC というバンドの存在を知ったのは高校時代に愛読していた「音楽専科」という雑誌でヘビメタ評論家の伊藤政則氏のレビューを読んだのが最初だったと思う。NWOBHM (New Wave Of British Heavy Metal) に心酔する氏が絶賛しているのを見て、私は聴いてもいないのに彼らをアイアン・メイデンやジューダス・プリーストと同列のヘビメタ・バンドと思い込んで敬遠するようになり、当時アメリカで大ヒットを飛ばしていた「バック・イン・ブラック」や「悪魔の招待状」も結局リアルタイムでは聴かずじまいだった。
 そんな私の聴かず嫌いな偏見を木端微塵に打ち砕いたのが「ベスト・ヒット・USA」で見た「フー・メイド・フー」のビデオ・クリップだった。それは半ズボン&ランドセルのスクールボーイ・スタイルでチャック・ベリーみたいに弾きまくる看板ギタリスト、アンガス・ヤングのクローンが一杯登場してヘッド・バンギングしまくる光景がめっちゃ笑える楽しいビデオ・クリップで、番組を録画したテープを何度も繰り返し見るうちにすっかり彼らのグルーヴにハマッてしまった。彼らのサウンドはただウルサイだけのヘビメタとは激しく一線を画すブルース・ルーツのタテノリ・ロックで、一緒に口ずさめるキャッチーさも兼ね備えているところが何よりも素晴らしい。 “一体コレのどこがヘビメタやねん!” と思った私は慌ててタワレコへ走り、この曲が入っているCDを買った。それがこの「フー・メイド・フー」である。
 このアルバムは元々「マキシマム・オーヴァードライヴ」という映画のサントラとして1986年にリリースされたもので、全9曲中アルバム・タイトル曲の「フー・メイド・フー」を含め新曲が3曲と既発曲が6曲という中途半端な構成のためファンの間での評価は低いようだが、私にとっては初めて買った彼らのアルバムと言う思い入れもあるし、何よりも “ヘッドバンガー達のアンセム” ①「フー・メイド・フー」と “踊れるハードロック” ⑦「シェイク・ユア・ファウンデイションズ」という大好きな2曲が入っているだけでもう十分に大名盤だ。2曲とも、 “ソナー・ドラムの鬼” と呼ばれるサイモン・ライトが生み出す熱いビートに乗ってノリノリのギター・リフ攻撃が炸裂、聴いてて思わず身体が動いてしまうキラー・チューンだ。このプリミティヴなエネルギーの奔流がタマランなぁ...(≧▽≦) ①の “フメイフゥ~♪” 、⑦の “アイヤイヤァ~♪” と一緒に歌いたくなるような理屈抜きの楽しさも嬉しい。やっぱりロックはこーでなくちゃね(^o^)丿

AC/DC - Who Made Who


AC/DC - Shake Your Foundations

We're Not Gonna Take It / Twisted Sister

2010-04-04 | Hard Rock
 やっと土曜日だ。転勤してまだ2日というのに、3月までの遊び放題な生活が祟ったのか結構疲れた。仕事そのものはめちゃくちゃラクチンやし職場の雰囲気も段違いにエエのだが、やはり通勤がネックで、一車線の道でミラー見てないオバちゃんや走るシケイン状態の枯葉マークの後ろについてしまうともう最悪、何台もの車がまるでカルガモ親子のように数珠つなぎになってチンタラ走るハメになる。モナコGPで遅い車に前を塞がれてイライラするF1ドライバーの気持ちを痛感させられているのだが、私は車に乗っている時は必ず音楽を聴いているのでそんな時の選曲は重要だ。これまでの経験からイライラした時に最適なのは、怒るのもアホらしくなるような脱力系音楽が一番で、最近ではこの前取り上げた小山ルミの「グット,, がまんして!!」が効果テキメン、 “早よ行けよ、このタコ!!!” とイラついていたのが何だかバカバカしくなってきて、“まぁエエか...” と思えてくるから不思議である。私と同じイラチの方は是非お試し下さい(笑)
 で、彼らが消えて目の前がクリアになったら遅れを取り戻そうとアクセル全開である。そんな時はやっぱりアップテンポなロックンロールがいい。ということで今日はツイステッド・シスター、バリバリの胸毛系(笑)である。1984年にリリースされ、全米だけで300万枚を売り上げた大ヒット・アルバム「ステイ・ハングリー」は、バカ丸出しのヘビメタ・ファッションに身を包み生肉にかぶり付こうとするケバいメイクの大男のジャケットは大概にせい!といいたくなるような代物だが、中身は理屈抜きの楽しさが満載のストレートアヘッドなアメリカン・ロックンロール。ナメてかかると痛い目に会う1枚だ。
 アルバムからの 1st シングルになった「ウィアー・ノット・ゴナ・テイク・イット」はめちゃくちゃキャッチーでノリの良いナンバーで、一度聴いたらそのサビのメロディーが頭から離れなくなり、気がつけばいつの間にか口ずさんでしまっていること請け合いのロックンロール・アンセムだ。クワイエット・ライオットのスレイド・カヴァー「カモン・フィール・ザ・ノイズ」を想わせるイントロのドラムから一気に突っ走る曲想は痛快そのものだし、思わず一緒に大合唱したくなるメロディーも秀逸でサビの盛り上がり方はハンパではない。私は80'sロックの名曲の一つだと思っている。
 又、この曲のビデオ・クリップも笑撃のケッサクで、いかにも MTV ウケしそうな単純で分かりやすいベタなストーリー展開がめっちゃ楽しい(^.^) まぁどう見てもアホな外見(←失礼!)からついつい冷笑・軽視・敬遠されがちなバンドだが、ロックンロールの本質を見事に突いた歌詞といい、呆れるほど覚えやすいサビのメロディーといい、シンプルの極みのようなギター・ソロといい、私のようにポップなハードロックが好きな人間にとっては座右の名曲だと思う。

Twisted Sister - We're Not Gonna Take It

Adrenalize / Def Leppard

2010-04-01 | Hard Rock
 最初にお知らせです: 実はこの4月から転勤で奈良県を北西から南東まで斜めに縦断して通勤することになりました。まぁ職場環境的には雲泥の差というか、ずっと良くなるんで、この数日はちょうどフェラーリに移籍したフェルナンド・アロンソみたいにルンルン気分ヽ(^o^)丿の毎日なんですが、ただ、通勤にかなり時間を取られそうなので、今までみたいに毎日ダラダラと駄文を書き続けるっちゅーのはさすがに無理っぽいです。ということで、自分の音楽日記のつもりで始めて毎日更新してきたこのブログも、新しい環境に慣れるまでは更新ペースがガタッと落ちると思いますが、これからも出来るだけ細~く長~く続けていくつもりですので、よろしければこれまで通りお付き合いくださいm(__)m

 ということで3月も昨日でおしまい、ガールズ歌謡に身も心もドップリ浸かってユルユル状態の精神にカツを入れようということで、今日はいきなりのハードロックである。よくよく考えると今年に入って ちあきなおみ→イエイエ→テケテケ→ガールズ歌謡と、やりたい放題の音楽ライフを送ってきた(笑)が、そろそろ私の洋楽DNAが疼き出したのである。ロックが聴きたい...それもとびきり活きの良いノリノリのヤツを...(>_<) で、イの一番に頭に浮かんだのがキャッチーなメロディーと美しいハーモニーを武器に80年代を席巻したブリティッシュ・ハードロック・バンド、デフ・レパードだ。この「アドレナライズ」は以前に取り上げた「パイロメニア」、「ヒステリア」と並んで “デフ・レパード3部作” と呼ばれており、文字通りアドレナリンが出まくってライヴで盛り上がりそうなアップテンポなナンバーが多い快作だ。
 このアルバムは何と言っても冒頭を飾る 1st シングル①「レッツ・ゲット・ロックト」、コレに尽きる。前作「ヒステリア」は大ブレイクするまで1年を要したが、今回はこのストレートなロックンロールでいきなり勝負に出た感がアリアリだ。ウキウキワクワクするようなポップなメロディーとソリッドでへヴィーなビートが織りなす黄金のレップス・サウンドがタマランのだが、この曲が何よりも素晴らしいのはそのポジティヴな歌詞だ。それまでの彼らの曲名や歌詞と言うのは正直???なモノが多かった(「アニマル」=動物 とか、「シュガー・オン・ミー」=砂糖をかけてくれ、とか...)が、この曲には “ロックに浸ろうぜ!” というシンプルで力強いメッセージが込められている。まさに今の私の気分にピッタリの曲で、特に0分58秒からの “芝を刈れ... このオレが?” “犬を散歩させろ... オレのやるこっちゃない” “ゴミを出せ... ヤなこった” “部屋を掃除しろ... ジョーダンだろ?” というバック・コーラスとの絶妙な掛け合いや、2分16秒から始まる“ショパン、モーツァルト、ベートーヴェン... バッハ、チャイコフスキー、ヴァイオリン... もうやめてくれ!” のラインなんかもう最高だ。
 残りの9曲も完成度はかなり高い。確かに②「ヘヴン・イズ」は「アニマル」の、③「メイク・ラヴ・ライク・ア・マン」は「シュガー・オン・ミー」の、④「トゥナイト」は「ラヴ・バイツ」の、⑥「スタンド・アップ」は「ヒステリア」の焼き直しと言えなくもないが、それがどーしたソー・ホワット? ハードロック・バンドがサウンドをコロコロ変えてどないすんねん? AC/DCを、エアロスミスを、ストーンズを見よ! 偉大なるワン・パターンこそロックの美学ではないか! ドラマチックな⑤「ホワイト・ライトニング」は7分を超える大作ながら、中だるみせずに一気呵成に聴かせるところが凄いし、ボン・ジョヴィ風の泣きのロック・バラッド⑧「ハヴ・ユー・エヴァー・ニーディド・サムワン・ソー・バッド」では十八番の美麗コーラスに涙ちょちょぎれる。練りに練って構築された盤石のデフレパ・サウンドが圧巻だ。
 “デフ・レパード3部作” の中ではどうしても「パイロメニア」や「ヒステリア」の陰に隠れがちだが、1曲1曲のクオリティーが高く、ポジティヴな空気に満ち溢れ、聴く度に元気をくれる「アドレナライズ」... コレはちょっとアナドレナイゾ(^.^)

Def Leppard - Let's Get Rocked


Def Leppard - Make Love Like A Man


Def Leppard - Have You Ever Needed Someone So Bad

1984 / Van Halen

2010-02-14 | Hard Rock
 YouTube を見ていると右横に “関連動画一覧” が表示される。アマゾンの関連商品表示には的外れなモノが多いが、YouTube の方はめっちゃ重宝している。私の場合、ほとんどが音楽関係の映像なのだが、そのアーティストの映像はもちろんのこと、他では見れないようなトリビュート・バンドや、以前このブログでも取り上げた “トトロック” や “メタル姫” のように素人さんによる面白カヴァーなんかも見れるのが楽しい。実は昨日もハードロック関係の映像を色々見まくっていて、一つめっちゃ面白そうなバンドを見つけた。あのヴァン・ヘイレンのトリビュート・バンドで、その名もファン・ヘイレンである。
 ハードロック系のトリビュート・バンドといえば、ジミー・ペイジ公認(?)の Led Zepagain や名古屋が誇る完コピ・バンド Cinnamon を始め、去年取り上げたガールズ・バンド Lez Zeppelin などゼッペリン系が断トツに多いが、LA 周辺にはモトリー・クルーやポイズンのような地元出身のヒーローのトリビュート・バンドが数多く存在しているらしく、中でもこのファン・ヘイレンは大人気のようだ。YouTube の映像を見たらヴォーカルのデイヴがホンモノそっくりの動きで大いに笑える。やっぱりトリビュート・バンドはこうでなくてはいけない。
 ということで今日は本家のヴァン・ヘイレンである。 VH といえば避けて通れないのがデイヴ時代とサミー時代、どっちの VH を支持するかの二者択一論争なのだが、私的にはどっちでも大した違いはない。要は “ヴォーカルが誰か” ではなく、 “エディーのギターが思う存分楽しめるか否か” を基準に VH を聴いているのであって、そういう意味では前にも書いたように 1st アルバムが一番好きだ。売り上げとか、チャート成績とかに関係なく、あのアルバムほどエディーが野放図に暴れまわっている盤はない。ただ、そーいった個人的な趣味を横に置いて考えれば、Big V の名を満天下に知らしめた大ヒット曲②「ジャンプ」を含むこの「1984」こそが彼らの代表作と言えるだろう。
 このアルバムからのリード・シングル②を初めて聴いた時、いきなり飛び出してくるシンセの音に “ホンマにこれがあの VH なん?” と信じられない気分で、思いっ切り抵抗があった。シンセの音が本質的に嫌いというのもあったが、それ以上にアメリカン・ハードロックの代名詞とも言うべき VH までが何でシンセなんかに手を染めたのか理解できなかったのだ。しかしこの曲は変な拘りや思い入れのない一般大衆に受け入れられ5週連続全米№1の大ヒットになった。確かに楽曲そのものは非常によくできたポップスで、あの爽やかなイントロだけでもう名曲の殿堂入り決定だし、中間部のギターソロの何とカッコイイことよ!わずか15秒の間にこれだけ起承転結のハッキリしたソロを弾ききるエディーはホンマに凄い。私はシンセに関しては時代の流れと諦め、カラフルなポップ・ロックとして楽しむことにした。
 全米13位まで上がった 2nd シングル⑦「アイル・ウェイト」もやはりシンセ主体なのが玉にキズだが、メロディー展開はよく練られていて、聴きこめば聴きこむほど味が出るスルメ・タイプの1曲だ。同じく全米13位の 3rd シングル③「パナマ」はまさにノリ一発、バンドが一体となって突っ走るような楽しさいっぱいの曲で、おバカキャラのノーテンキ野郎、デイヴのヴォーカルが気持ち良いぐらいこの曲に合っている。とにかく元気が欲しい時とか、ドライヴで思い切り飛ばしたい時なんかに聴くとピッタリのナンバーだ。
 私がこのアルバムで一番好きなのは⑥「ホット・フォー・ティーチャー」で、アレックス渾身のバスドラ・ソロがドコドコ鳴ってるところへエディー必殺のタッピングが入ってくるイントロ、あれだけでもう昇天モノだし、疾走感溢れる曲想、ワイルドなギター・リフ、VH に不可欠なマイケルのコーラス、底抜けにおバカなビデオクリップと、まさに VH の魅力を凝縮したような痛快なナンバーだ。やっぱり VH はギターが唸る疾走系ハードロックが最高によく似合う。もう二度とこんな凄いバンドは出てけぇへんやろなぁ... (≧▽≦)

Van Halen - Jump(Music Video)


↓そのユーモアのセンスが笑えるファン・ヘイレン
Fan Halen plays Eddie Van Halen's 'Ain't Talking 'Bout Love'


↓メタル姫ことへたれくん、相変わらず上手いなー
メタル布教活動としてHot For Teacherのギターを弾いてみた
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The Best Of Rainbow

2010-02-13 | Hard Rock
 初めて聴いた盤がたまたま自分の好みに合わなかったがためにそのアーティストに対してネガティヴなイメージを持ってしまうという不幸な出会いをしたケースが少なからずある。ちあきさんのように1年も経たないうちに誤解が解けてその真の魅力に気がつけばまだ救われるが、そういう状態が何年も続くというのは後から振り返るとめっちゃ損したような気分だ。私の場合、聴く順番を間違ってしまったがために入門が遅れてしまったアーティストの一つがリッチー・ブラックモア御大率いるレインボーである。
 彼がディープ・パープルを脱退してレインボーを結成したのが1975年、当時の私はちょうど洋楽を聴き始めたばっかりでビートルズを追うのに忙しく、ハードロックと言えばゼッペリンとエアロスミスで手一杯、とてもじゃないがレインボーまでフォローする時間的余裕などなかった。そんなある日、たまたま友人から貸してもらったのがレインボーの 1st アルバム「銀嶺の覇者」で、パープル直系のハイスピードなハードロックを期待して聴いた私には地味すぎて “何じゃいコレは?” とガッカリしてしまった。更に悪いことに次に耳にしたのが79年にリリースされた「ダウン・トゥ・アース」からの1st シングル2-①「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」。たまたまラジオから流れてきたのだが、とてもブリティッシュ・ロックとは思えないアメリカナイズされた底の浅いポップ・メタル(←ファンの方、ごめんなさい...)にしか聞こえず、コレがあのリッチーなん?と失望を通り越して呆れ果て、 “リッチーはパープル時代で終わったんや...” と勝手に決め付けてしまった。
 そんな私の眼を開いてくれたのが B-⑦「キャント・ハプン・ヒア」という曲だった。この曲からレインボーに入門した奴なんて私ぐらいのもんだろうが、とにかく初めて聴いた時に後頭部をガツン!とやられたようなショックを受けた。私はこういう疾走系ハードロックを待っていたのだ。御大のギターソロもめっちゃクラシカルで、パープルを彷彿とさせるノリノリのサウンドがたまらない(≧▽≦) この曲はスタジオ録音ヴァージョンも良いのだが、更にハイスピードで演奏されるライヴ・ヴァージョンはもっと凄いので、そっちがオススメだ。衝撃を受けた私は “コレはいかん、ひょっとすると他のアルバムにもこんな曲が入っとったらエライコッチャ(>_<)” とばかりにレインボーのCDを買いに走り、今はなきミナミの名店ビッグ・ピンクでこの2枚組ベストを1,200円でゲット、レインボーのファンにベスト盤は人気がないのか定価5,800円のブツを格安で買えて超ラッキーだった(^.^) 
 このベスト盤はデビュー盤以降6枚のアルバムから16曲をセレクト、私の大好きな「キャント・ハプン・ヒア」に勝るとも劣らないカッコ良いハードロック・ナンバーが満載だ。まずは何と言ってもA-⑤「ロング・リヴ・ロックンロール」である。ハードロックのお手本のようなロニー・ジェイムズ・ディオ(←顔がアンドレ・ザ・ジャイアントそっくりです...)のヴォーカルはこの曲にピッタリだし、コージー・パウエル怒涛のドラミングも快感の一言に尽きる。リッチー御大のギターソロも涙ちょちょぎれる素晴らしさだ。とにかくコレはキャッチーなメロディーとへヴィーなサウンドが見事に両立したレインボー屈指の名曲名演だと思う。
 A-①「オールナイト・ロング」も大好きだ。2代目ヴォーカリスト、グラハム・ボネット(←横山のやっさんみたいなリーゼントにスーツ姿がいつ見ても笑えます...)のガナりたてるような歌声がポップなメロディーを持ったこの曲をヤクザなハードロックに昇華させているところが凄い。御大の力強いリフ攻撃にも圧倒されまくりのキラー・チューンだ。コージーの凄まじいドラミングで始まるA-③「ロスト・イン・ハリウッド」は疾走系ハードロックかくあるべしと言いたくなるようなカッコイイ曲。やっさん、じゃなかったグラハム・ボネットの暑苦しい声が曲にピッタリ合っているし、コージー渾身のドラミングも圧巻だ。2人に主役の座を奪われた感のある御大だが、キーボード・ソロに続いて飛び出してくるギターソロは絶品だ。
 A-⑦「キル・ザ・キング」ははクルクル目が回るようなギターが鳥肌モノで、ハードロックの様式美ここに極まれり、と言いたくなるスリリングなナンバー。レインボー版「バーン」みたいなハイスピード・チューンだ。A-⑧「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」は「ハイウェイ・スター」の面影が宿るパープル直系ナンバーで、唯我独尊コージーのくってかかるような爆裂ドラミングに対し、オレがオレがオレがのリッチー御大がケンカ・リフで応戦する様は血湧き肉躍る凄まじさ。私が御大に求めているのはまさしくコレなのだと改めて実感した。やっぱりハードロックはエエなぁ... (≧▽≦)

Rainbow-Can't Happen Here


Rainbow - Long Live Rock And Roll


Rainbow All Night Long High Quality

Pyromania / Def Leppard

2009-08-29 | Hard Rock
 私はジャズでもロックでも、とにかくメロディーの分かり易い音楽が好きで、メロディーの分かりにくい音楽は嫌いである。これは私が音楽を聴き始めてかれこれ35年間、そしてこれからも未来永劫変わることのないガチガチの鉄板なのだ。音楽ファンなら誰しもその人の音楽的ルーツのようなものがあり、それによって音楽的嗜好が決まってしまうことが多いが、私の場合はご存知のようにビートルズがすべての原点なので、ロックンロールであれスローバラッドであれ、メロディアスでないと受け入れられない。逆にどんなにアップテンポで疾走しようが、ギターが速弾きでソロをブチかまそうが、ドラムが激しいビートを刻もうが、メロディーさえしっかりしておれば大歓迎だ。
 ハードロックに関して言うと、70年代の私はレッド・ゼッペリン、ディープ・パープル、エアロスミス、ヴァン・ヘイレンなどが大好きで、それこそレコードが擦り切れるほど聴きまくったものだったが、いわゆるハードロックやヘヴィー・メタルというジャンルに属する他のバンドにはあまり関心を持てなかった。別に嫌って避けていたわけでもないのだが、たまにジューダス・プリーストやアイアン・メイデンなんかをFMのハードロック特集番組で耳にしてもただウルサイだけでピンとくるものがなかった。そんな私に “ハードロックってめっちゃエエやん!!!” と思わせてくれたのがこのデフ・レパードであり、彼らのこの「パイロメニア(炎のターゲット)」に出会っていなければ、ひょっとするとモトリー・クルー、ボン・ジョヴィ、シンデレラ、ガンズ&ローゼズ、ポイズンといった、いわゆる80'sハードロック・バンドたちとの付き合いも変わっていたかもしれないのだ。そしてそのようなロック・ファンはきっと私だけではなかったと思う。そういう意味で私は以前彼らの「ヒステリア」を取り上げた時に、この「パイロメニア」を “シーンを築き上げたアルバム” と表現したのだ。
 このアルバムがリリースされた1983年は第2次ブリティッシュ・インベイジョン、すなわちデュラン・デュランやカルチャー・クラブの大ブレイクで幕を明け、マイコーが「ビリー・ジーン」と「ビート・イット」で世界中のチャートを席捲し、「フラッシュダンス」が80'sサントラ・ブームの先鞭をつけようとしていた。ハードロックのハの字もない。唯一「ビート・イット」の間奏で聴けるエディー・ヴァン・ヘイレンの爆裂ギター・ソロだけというお寒い状況だった。そんな中、突然全米チャートに登場し、ぐんぐん上昇していったのが 1st シングルの②「フォトグラフ」だった。この曲を初めて聴いたのはTVの「ベスト・ヒット・USA」で、躍動感あふれるストレートなサウンド、哀愁舞い散るサビのメロディー、ハードロック・バンドとはとても思えないような清涼感溢れるコーラス・ハーモニー、ビデオクリップでジョー・エリオットが着ていたシャツの鮮やかなユニオンジャックと、そのすべてが衝撃的で、録画したビデオクリップを何度も見返したものだった。あくまでも曲は親しみやすく、演奏はハード&ノリノリ... 私の一番好きなパターンである。とにかくこの曲を聴いて私の中のロック魂が目覚めたことだけは確かだった。
 サビのコーラス・ハーモニーとズッシリ響くドラムのビートが耳に残る 2nd シングル⑦「ロック・オブ・エイジズ」が出た頃、私は大学の長い休みを利用して生まれて初めてのアメリカ横断旅行中でフロリダの友人宅に2週間ほど泊めてもらっていたのだが、ユーリズミックス「スウィート・ドリームス」、マイケル・ジャクソン「ワナ・ビー・スターティン・サムシン」、スティーヴィー・ニックス「スタンド・バック」らと共にヘヴィー・ローテーションでカーラジオから流れて来たのがこの曲だった。アメリカのラジオ局は音楽ジャンルで細かく分かれており、まだこの頃ハードロックはトップ40局では滅多にかからなかったのだが、レップスだけは違っていた。つまりこの時点で大衆は彼らを “ハードロック・バンド” ではなく “ロック・バンド” として認識していたということだろう。ハイウェイをカッ飛ばしながらまるで映画「デス・プルーフ」みたいに助手席でヘッド・バンギングをしたのが忘れられない。
 私は帰国してすぐレコ屋に直行し、このアルバムを買った。初めて全曲聴き終えた時、そのあまりの素晴らしさに圧倒されたのを覚えている。冒頭を飾る①「ロック!ロック!」はギターが唸りを上げて疾走するカッコイイ曲で、プロデュースが同じロバート・ジョン・マット・ラングということもあってか、徹底的に贅肉を削ぎ落としてガチガチに磨き上げた AC/DC みたいなサウンドがたまらない(≧▽≦) ③「ステージフライト」は初期レップスを彷彿とさせる疾走系のラフでハードなナンバーで、ライブでめちゃくちゃ盛り上がれそうな1曲だ。「ヒステリア」以降はこーゆーの無くなっちゃったなぁ... まぁしゃーないか。④「トゥー・レイト・フォー・ラヴ」は心にビンビン響くパワー・バラッドで、哀愁舞い散るメロディーに涙ちょちょぎれる。そのドラマチックな曲想とエモーショナルなヴォーカルはボン・ジョヴィの原型そのものだ。⑤「ダイ・ハード・ザ・ハンター」はイントロの不気味なヘリコプターのSEからギター・アルペジオへとつなぎ、ドラムのフィルインと共に疾走を開始する1分22秒でガツンとやられ、何とかカウント8ぐらいで起き上がろうとするとやってくるのが中間部の緊張感溢れるツイン・リード。全編を通して炸裂する見事なコーラス・ハーモニーも他のバンドにない大きな武器で、この曲をよりドラマチックなものにしている。
 ⑥「フーリン」は⑤と同じく静と動のコントラストが見事なヘヴィー・ナンバーで、ジョーの “フッフッフッフーレェン♪” が耳について離れない。ただ、この曲のPVはもうちょっと何とかならんかったんか...(>_<) ユニオンジャックのパンツ一丁で頑張るリック・アレンの姿は笑えるけど。イントロのギター・リフから名曲の薫りが横溢する⑧「カミン・アンダー・ファイアー」は何と言っても激しいギター・サウンドと美しいコーラス・ハーモニーのコントラストの妙に唸らされるキラー・チューンで、個人的には名曲揃いのこのアルバム中でも一ニを争う隠れ名曲だと思う。⑨「アクション」は後の「アニマル」や「アーマゲドン」の源流というべきキャッチーなナンバーだが④⑤⑥⑦⑧と続くアルバムの流れの中で聴くとどうしても急に軽くなったような感じは否めない。コーラスもやや不発気味だ。⑩「ビリーズ・ガット・ア・ガン」は最初聴いた時はイマイチだったが、今から聴くと「ホワイト・ライトニング」の原型ともいうべきドラマチックな大作で、時代を切り開いた歴史的大傑作のシメに相応しい1曲だと思う。
 キャッチーでメロディアスな曲をワン&オンリーなコーラス・ハーモニーでコーティングし、ハード&ヘヴィーに演奏したこのアルバムは “美しきハードロック・アルバム” の最高峰として屹立する、捨て曲なしのスーパー・ウルトラ大名盤なのだ。

Def Leppard - Photograph


Def Leppard - Rock of Ages 1983 Video stereo widescreen


Def Leppard - Coming under fire

5150 / Van Halen

2009-08-26 | Hard Rock
 バンド内の人間関係悪化による分裂・解散というのは洋の東西を問わずよくあることだが、この傾向は特にハードロック系のバンドに顕著で、パープルを始めとしてエアロ、キッス、モトリー、ガンズ、ポイズンetc 、狭い世界の中で離れたりくっついたりを繰り返してきた。ロック・バンドではどちらかというと裏方的存在のベーシストやドラマーといったリズム隊にメンバー・チェンジがあっても余程のことがない限りバンド全体の音がガラリと変わってしまうなんてことは滅多にないが、バンドの顔ともいえるヴォーカリストの交代は一大事である。ハッキリ言って全く別のバンドに変わってしまうようなものだ。そうなると大抵の場合、ファンの支持を失ってバンドは失速していくものだが、このヴァン・ヘイレンはそのようなヴォーカリスト交代劇を乗り越えて更にパワー・アップしていった稀有なバンドである。
 彼らはアメリカのバンドでありながらそのデビュー・アルバムはまるでバリバリのブリティッシュ・ハードロックのようなテンションの高さを誇っていた。しかしアルバムを出すごとにアメリカナイズされていき、5枚目の「ダイヴァー・ダウン」に至っては人気は高かったものの、「ダンシング・イン・ザ・ストリート」や「ビッグ・バッド・ビル」、「ハッピー・トレイルズ」みたいな、とてもハードロック・バンド向きではないカヴァー曲(←デイヴの趣味で、エディは演りたくなかったらしい...)が入っていた。6枚目の「1984」からは「ジャンプ」が5週連続全米№1という大ヒットを記録したが、 “一緒にビッグ・ロックを楽しもうぜ、ワォー!!!” みたいなノリのノーテンキなアルバムで、初期のアルバムが持っていた緊張感が大好きだった私も “まぁアメリカのバンドやからしゃあないか...” と半ば割り切って「1984」を楽しんでいた。
 そんなヴァン・ヘイレンの余興演芸部門担当(?)というべき “腰振りデイヴ” が出したBB5のカヴァー「カリフォルニア・ガールズ」が元曲の良さとお色気ビデオのおかげもあって大ヒットしてしまい、ソロで十分やっていけるとふんだデイヴはついにバンドを脱退、エンターテイメント部門を失ったヴァン・ヘイレンはその後釜として正統派のロック・ヴォーカリスト、サミー・ヘイガーを迎え入れ、絵に描いたような “胸毛系のバンド(笑)”から “アメリカン・ロックの王道バンド” へと見事な変貌を遂げることになる。そんな新生ヴァン・ヘイレンの名刺代わりの1枚がこの「5150」なのだ。
 旧ヴァン・ヘイレンのアルバムにはオリジナル、カヴァー、そしてノヴェルティー・ソングという奇妙な構成のものもあり、それが中途半端な印象を与えていたが、この「5150」は全曲オリジナルでビシッとキメている。サミーの加入によって4人の目指すベクトルの方向性がピッタリ一致し、バンドとして進化・深化した証だろう。サウンド面でも「1984」から強まりつつあったメロディアスなハードロック路線を更に推し進め、そこにサミーのエモーショナルで力強い歌声が見事にハマッて素晴らしいニュー・ビッグ・V・サウンドが生まれたというわけだ。
 ①「グッド・イナフ」はサミーの “ヘッロウ ベイ~ベッ!” という第一声から始まる、いかにもヴァン・ヘイレンらしい攻撃性を持ったハードなナンバーで、バンドが一体となって突っ走る様がビンビン伝わってくる。アルバム冒頭から超ド級のパワーが全開だ。ファースト・シングル②「ホワイ・キャント・ジス・ビー・ラヴ」は全米3位まで上がった新生ヴァン・ヘイレンの大ヒット曲で、デイヴ時代のようなハチャメチャな派手さはないものの、逆に演奏の重心が下がってバランスの取れたサウンドになっており、ポップでもありヘヴィでもあるという二面性をホットなグルーヴ感で見事にまとめ上げている。このあたりのセンスの良さはさすがと言う他ない。③「ゲット・アップ」は「ホット・フォー・ティーチャー」を彷彿とさせる疾走系のナンバーで、エディのトリッキーなプレイが堪能できる。ドラムのアレックスもエエ仕事しとります(^.^) 
 カラッと晴れ上がったカリフォルニアの青空が似合いそうな④「ドリームス」は聴いてて爽快な気分になれるキャッチーな曲で、サミーのハイトーン・ヴォイスが炸裂し、エディのギターが暴れまわるという、ニュー・ヴァン・ヘイレンの充実ぶりを象徴するナンバーだ。⑤「サマー・ナイツ」はエディの変幻自在なテクニックが全開で、サミーのタメの効いたヴォーカルがめちゃくちゃカッコイイ。サビのメロディーといい、マイケル・アンソニーのバック・コーラスといい、これはたまらんなぁ... (≧▽≦) 尚、B'zの「リアル・シング・シェイクス」はこの曲への松本さんなりのオマージュだろう。
 ミディアム・テンポで単純なリフの繰り返しが快感を呼ぶ⑥「ベスト・オブ・ボス・ワールズ」はライブで最高に活きるノリを持った曲で、私はこのヘヴィーなグルーヴ感が大好きだ。聴けば聴くほどクセになるスルメ・チューンだと思う。⑦「ラヴ・ウォークス・イン」はプロデューサーであるフォリナーのミック・ジョーンズ(←この人選は納得いかへん!)の色が非常に濃いバラッドで、良い曲だとは思うが何もヴァン・ヘイレンがやらんでも...と思う。こーゆーのはフォリナーでやってくれ(>_<) ⑧「5150」はまずイントロの軽快なリフにウキウキワクワクさせられる。他のギタリストにはとても弾けないような独創的なフレーズのアメアラレ攻撃がたまらない。④と共にドライヴの BGM に最適なノリノリのナンバーで、まさにアメリカン・ロックの王道を行く1曲だ。⑨「インサイド」はあまりよく分からんのでパスです(笑)
 このように素晴らしい曲が一杯詰まった大傑作アルバムなのだが、唯一の不満はシンセサイザーを多用しすぎなこと。私はジャズでもロックでもシンセの軽薄な音が肌に合わないので、大ヒット曲「ジャンプ」の影を引きずっているのか、あるいはプロデューサーの趣味なのかは知らないが、できることならこのメンツでシンセ抜き、 1st アルバムみたいなバリバリのギター・サウンドを聴かせてほしかった... というのは贅沢な望みだろうか?

Van Halen - LIVE - "Best Of Both Worlds'

Appetite For Destruction / Guns N' Roses

2009-08-15 | Hard Rock
 ガンズ & ローゼズといえば昨年オリジナル・スタジオ・アルバムとしては17年ぶりの新作「チャイニーズ・デモクラシー」を発表、待ちに待った80'sハードロック・アイコンの復活、そして例のドクター・ペッパー騒動(ガンズがもし年内に新作を発表したら全米国民にドクター・ペッパーを無料プレゼントというアホな飲料会社の大風呂敷キャンペーン、結局賭けに負け、しかもバンドから訴えられるというトホホな結果に...笑)という派手な話題も手伝って全米でミリオンセラーを記録したばかりだ。私も大いなる期待を持って聴いたのだが、最初の数曲はまあまあ良かったものの、その後は楽曲の魅力に乏しく、全然心に残るものが無かった。ハードでアグレッシヴな印象の曲でも歌やギターはメロディアスというのがガンズの大きな魅力だと堅く信ずる私にとって、結局、ガンズ・サウンドの要だったスラッシュもいなければ曲作りにおいて重要な役割を担っていたイジーもいないガンズはもはやあのガンズではなく、「チャイデモ」は実質的にはアクセルのソロ・アルバムとして捉えるべきものだった。今にして思えば私にとってのガンズは80'sで終わっていたのかもしれない。
 彼らの登場はとにかくセンセーショナルだった。健康的なバンドが増えてハードロックが巨大なビジネスとして成立していた80年代の後半に出現したバンドでありながら、彼らには70'sハード・ロックが持っていた危険な匂いが充満していた。そのプリミティヴなパワーが最も見事な形で結実したのが1988年に大ヒットした衝撃のメジャー・デビュー・アルバム「アペタイト・フォー・デストラクション」なのだ。
 ①「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」、まさに衝撃の幕開けである。ゾクゾクするようなイントロからスラッシュの縦横無尽なギターが炸裂、シンプルなリフ攻撃がえも言えぬ快感を呼ぶ。アクセルのカメレオン・ヴォイスが一触即発の危険なムードを醸し出し、圧倒的な存在感で迫ってくる。中間部のダフのワイルドなベース・ラインもめっちゃカッコエエし、ホンマに最高、最強のロックンロールだ。続く②「イッツ・ソー・イージー」はパンク・ロック譲りの破壊衝動を内包した野性味溢れるナンバー。それにしてもアクセル、よぉこんな低い声出すよなぁ(>_<)
 ③「ナイトレイン」はノリノリの疾走感がたまらないストレートなロックンロールで、そのライブ感溢れる荒削りなサウンドはエアロスミスもぶっ飛ぶカッコよさ。特にストリートの匂いをプンプンさせながら毒を撒き散らすスラッシュとイジーのギター・ソロが圧巻だ。④「アウタ・ゲット・ミー」も③と同様エアロスミスを源流とするラフで荒削りなバッド・ボーイズ・ロックンロールで、まさに打てるもんなら打ってみろの直球勝負。特にイントロの入り方がめっちゃカッコ良くてシビレるわぁ...(≧▽≦)
 ⑤「ミスター・ブラウンストーン」は一転してウネリまくるギターが生み出すグルーヴがユニークな曲で、テンポはそんなに速くないのに何と言うハイ・テンションなんだろう! エンディングの空耳 “兄貴の位牌... ヤクザ!” にも大笑いしたっけ。⑥「パラダイス・シティ」はスローでメロディアスな前半から徐々に加速していって後半の疾走感溢れる大盛り上がり大会へと繋がる怒涛の展開が凄まじい。そのエネルギーの大爆発に思わず “これがロックだ、文句あるか!” と叫びたくなる衝動に駆られる1曲だ。
 ⑦「マイ・ミシェル」はイントロで “おっ、ついにスロー・バラッドか???” と思わせておいて、一転してラウドなリフが爆裂!いかにもガンズなサビもキャッチーでエエ感じだ。⑧「シンク・アバウト・ユー」は筋金入りの疾走系ロックンロールで、ハードでありながらメロディアス、サビのバックで聞こえるメランコリックなアルペジオが絶妙な隠し味になっている。
 2週連続全米№1を記録したガンズの出世作⑨「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」はもうイントロだけでメシ3杯は食えそうな大名曲で、ポップで甘酸っぱいメロディーもガンズの手にかかるとこの通り、スラッシュの煌くようなギター・ソロといい、アクセルのミャ~ミャ~したヴォーカルといい、実に見事なパワー・バラッドになっている。疾走系ロックンロール満載の本アルバム中でも一ニを争うスピード感がたまらない⑩「ユーアー・クレイジー」、ひたすらラウドに弾きまくるギターの刻みがめちゃくちゃカッコ良いパンキッシュなナンバーだ。
 ⑪「エニシング・ゴーズ」はグルーヴィーなギター・リフが支配する前半部分からリズム・チェンジして後半たたみかけるようなシャッフル・ビートで一気に押し切る構成が面白い。トーキング・モジュレーターを始めとする様々なギミックも効果的に使われている。⑫「ロケット・クイーン」は前半部分はイマイチわけが分からんのだが、転調してからの後半のロッカ・バラッド風展開はこの破天荒なアルバムのシメに相応しいと思う。疾走系ロックンロールのアメアラレで暴走しまくっておいて、このようにドラマティックな大団円を演出する構成力はとてもデビュー・アルバムとは思えない。
 どこを切ってもラフなロックンロールが飛び出してくるこのアルバムはアクセル、スラッシュ、イジー、ダフ、そしてスティーヴンの5人が揃って初めてケミストリーが生まれることを如実に物語っている。スリル満点のサウンド、理屈抜きのカッコ良さ、そして既成概念を寄せ付けないカリスマ性... これはおそらくこの時期の彼らにしか作り出せなかったであろうハードロックの奇跡的名盤なのだ。

Sweet Child O' Mine Music Video

Kingdom Come

2009-08-07 | Hard Rock
 “クローン” と言う言葉はネガティヴなニュアンスを内包している。要するに“本物に似てはいるが、所詮はニセモノ” という否定的なイメージが常につきまとっているのだ。クローン牛しかり、クローン人間しかりである。今から約20年ほど前のこと、バイオテクノロジーの世界でではなく私の大好きなハードロックの世界で “クローン論争” が大いに盛り上がったことがあった。昨日取り上げたゲイリー・ムーアの「レッド・クローンズ」なんかはその最たるものだったが、要するにレッド・ゼッペリンそっくりのスタイル、音作りで大ヒットを飛ばした新人バンド、キングダム・カム(英語で “来世” という意味)が、アホな音楽評論家連中や心の狭いゼッペリン・ファン、そして同業者であるミュージシャンたちをも含めて、周りからボロクソにけなされ徹底的に叩かれ続けた一連の大論争(というかイジメに近いバッシング)のことである。私もFMの音楽番組で初めて彼らの曲「ゲット・イット・オン」を聴いた時はブッ飛んだ。 “これって「カシミール」やん...(゜o゜)” 確かにそのサウンドはゼッペリンのそれに酷似していたし、ヴォーカルのレニー・ウルフのハイトーン・ヴォイスはロバート・プラント唱法そのまんまだったが、何よりも強烈だったのは音楽そのものが放つ凄まじいまでのエネルギーで、この手の音が大好きな私は大コーフンしてCD屋へと走った。で、その時に買ったのが彼らのデビュー・アルバム「キングダム・カム」である。
 アルバムを通して聴いてみてまず思ったのは、 “ゼッペリンが再結成して本気出して作り上げた渾身のアルバム” と言えばそれでまかり通ってしまいそうなほどゼッペリンしてる、ってこと。特にレニー・ウルフは声質といい、歌い方といい、感情移入の仕方といい、往年のロバート・プラントそのものだし、バンドの音の組み立て方や空間の取り方も本家そっくりだ。しかしそのサウンドは決して単なるデッド・コピーではない。ゼッペリン的なブルース・ロックを一度完全に消化し、彼らのオリジナリティーをブレンドした上で、プロデューサーである巨匠ボブ・ロックが硬派なサウンド・プロダクションを施してガチガチに磨き上げた逸品なのだ。否定派のクリティック連中は二言目には “オリジナリティーが...” 云々と御託を並べるが、そんなものクソクラエだ。私は “つまらないオリジナル” よりも “素晴らしいクローン” を聴きたい。オリジナリティーがどーのこーのというのは素直に音楽を愉しめない眠たい連中のタワゴトにしか聞こえない。
 彼らを攻撃したミュージシャン連中だってそうだ。このアルバムは全米でプラチナ・ディスク、つまりミリオンセラーになる大成功を収めたのだが、それはすなわちこの音を渇望していたファンが全米だけで100万人以上いたということだろう。それだけのニーズがあるにもかかわらず誰も手を付けられなかったことを彼らが実践したにすぎない。勝手にゼッペリンを聖域視してやらなかったのか、それともゼッペリン・サウンドを再現するだけの能力がなかったのかは知らないが、とにかく彼らが売れたもんだから嫉妬しているようにしか思えない。みっともないねぇ、男のジェラシーは(笑)
 ということで私はこのアルバムが大好き(^o^)丿 もう何百回聴いたかわからないくらいだが、未だに飽きないどころか聴けば聴くほど好きになる。こんなアルバムは滅多にない。まずは①「リヴィング・アウト・オブ・タッチ」、イントロで骨太ドラムの一撃がビシバシきまるところでもう理性が吹っ飛んでしまうが、哀愁舞い散る泣きのメロディがたまらないキラー・チューンである。3分47秒からの「ホール・ロッタ・ラヴ」なリフは鳥肌モノだ。②「プッシン・ハード」、レニーのエモーショナルなヴォーカルが全開で、2分33秒からの “レッ・ザ・モモモモモモモゥメンツ...” にはゾクゾクする。クローンでも何でもエエもんはエエんじゃい!
 ③「ホワット・ラヴ・キャン・ビー」は「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」へのオマージュで、いきなり “クク、クッ、カム・トゥ・ミー・ナウ...” とレニーさん、完全にプラントが降臨してます(笑) 胸を締め付けられるようなブルージーなバラッドで、ヴォーカルもギターもため息が出るほど素晴らしいし、曲そのものの完成度も抜群に高い。この①②③の流れは完璧だと思う。
 ④「セヴンティーン」はドリフの「ヒゲダンス」のテンポを思い切り落として大仰なドラムの波状攻撃にさらし、ヘヴィーなリフを曲全体にまぶして一丁上がり、みたいな単調な曲展開で、ちょっと間延びする感じは否めない。⑤「シャッフル」は “どこかで聞いたような感じはするがそれが何か思い出せない” 系のメロディーが支配するノリの良い曲。2分32秒から大盤振る舞いされるレニーの追っかけコーラスが「移民の歌」してて思わずニヤリとしてしまう。
 ⑥「ゲット・イット・オン」、衝撃のファースト・シングルである。そう、このイントロ、このリフ、このシャウト、この絶妙な間、この爆裂ドラム... すべてが圧巻だ。私の知る限り最高最強のゼッペリン・オマージュで、死ぬまで聴き続けたい超愛聴曲だ。⑦「ナウ・フォーエヴァー・アフター」はこのアルバム中一番ゼッペリンに似てない曲(笑)で、キャッチーでノリの良いオーソドックスなハードロックに仕上がっている。⑧「ハイダウェイ」はこれまたヘヴィーなリフがカッコ良いナンバーで、ビシバシきまる打ち下ろしドラミングが快感だ。エイジアっぽいシンセを絶妙な隠し味に使っているあたりに彼らの恐るべき音楽的センスの一端が垣間見れる。
 ⑨「ラヴィング・ユー」は「ゼッペリンⅢ」で顕著だったブリティッシュ・トラッド・フレイバーたっぷりの1曲で、彼らのゼッペリン愛がダイレクトに伝わってきて嬉しくなってしまう。レニーのエモーショナルなヴォーカルの吸引力が強烈だ。⑩「シャウト・イット・アウト」は⑦同様あまりゼッペリンに似てない曲で、ストレートなハードロックと言う感じ。どちらもセカンド・アルバムの作風に似ているのでこれが彼らの素のサウンドなのかもしれない。
 あれから20年が経ち、 “クローン論争” も今や懐かしい思い出になってしまったが、私の中でこのアルバムは80'sハードロック名盤10選に必ず入れたいスーパーウルトラ愛聴盤として永遠の輝きを放っているのだ。

Kingdom Come - Get It on

After The War / Gary Moore

2009-08-06 | Hard Rock
 昨日は B'z の新曲にガツンとやられ、アドレナリン出まくりでコーフンしてしまい中々寝付けなかったのだが、久々やなぁこの血沸き肉踊る感じ...(^o^)丿 このブログは自分の音楽日記みたいなモンなのでちょっと最近のエントリーを見てみると B'z の前は、ザ・ピーナッツ、マントラ、麻丘めぐみ、ラバカン、デビッド・ボウイ、リー・ワイリー、ベイ・シティ・ローラーズ... と、もうムチャクチャ(笑)な選盤で何も考えずに手当たり次第聴いてるのがもろバレなのだが、そんな中にハードロックが入っていないことに気が付いた。やっぱり夏はハードロックを聴いて元気を出さねばならない。ということで何故か直感的に頭に浮かんだのがゲイリー・ムーアの「アフター・ザ・ウォー」、久々のブリティッシュ・ハードロックである。
 このゲイリー・ムーアというギタリストは北アイルランド出身で、地元のローカル・バンドでプレイしているところをフリートウッド・マック(当時はまだバリバリのブルース・ロック・バンドだった...)のピーター・グリーンに見い出されて70年代初めにイギリスへと渡り、コロシアムⅡやシン・リジィといったバンドに在籍して独創的な奏法を追求してきた人だ。彼の精神に宿るケルティック魂が土着的な旋律を掘り起こし、実に美しいメロディーのソロを連発してきたのだ。そしてそんな哀愁溢れるソロ(フェリー・エイドの「レット・イット・ビー」で聴けるゲイリー入魂のソロは鳥肌モノ!)と並ぶもう一つのウリが目にもとまらぬハイスピードで弾き切るマシンガン・ピッキングである。この2つが聴けさえすれば私は大満足なのだ。だからアルバムとしての統一感においてはこの前作「ワイルド・フロンティア」の方が遙かに優れていて世評も圧倒的に高いにもかかわらず、私はこの「アフター・ザ・ウォー」の方を愛聴している。
 ①「ダンルース・パート1」はわずか1分強のギター・インストで、 “戦闘開始宣言” のように響くソロだ。②「アフター・ザ・ウォー」は私の大のお気に入りナンバーで、何と言ってもまず楽曲としての出来が素晴らしい。この疾走感こそハードロックの醍醐味だ!!! ゲイリー・ムーアのムラなくハイスピードで弾き切るピッキングといい、アグレッシヴに切り込んでくるコージー・パウエルの重量級ドラミングといい、ハードロックのエッセンスを凝縮したようなカッコ良いナンバーだ (^o^)丿 ②のエンディングと間を置かずにいきなりラウドなイントロが炸裂する③「スピーク・フォー・ユアセルフ」、鬼神の如く弾きまくるマシンガン・ピッキングが凄まじいし、サビの哀愁の旋律にも涙ちょちょぎれる。このヘヴィーで切れ味抜群のリフはちょっと他では聞けない人間国宝級のワザだと思う。それにしても②③と続くこのテンションの高さは何なのだろう?④「リヴィン・オン・ドリームス」はゲイリーにしてはちょっと軽めでキャッチーな感じの曲で、②③との落差に???となるが、このあたりが “統一性に欠ける” と言われてしまうのだろうか?まぁアルバム中では箸休め的な1曲だと思う。
 ⑤「レッド・クローンズ」はタイトルからも分かるようにレッド・ゼッペリンそっくりのサウンドで当時アメリカで爆発的なアルバム・セールスを誇っていた2つのバンド、キングダム・カムとホワイトスネイクを露骨に皮肉った内容で、「カシミール」をベースにゼッペリンそのまんまのリフやストリングスを大量投下、キングダム・カムの「ゲット・イット・オン」(←イントロなんか笑えるほどソックリ!)やホワイトスネイクの「スティル・オブ・ザ・ナイト」を想わせるフレーズも随所に織り込まれているし、何よりも “You've stolen from the houses of the holy” や “You've rolled into the kingdom of the snake”(笑)といった歌詞がすべてを物語っている。まぁここまで徹底すると個人攻撃なのかジョークなのか分からなくなってくるが、こういうパロディ(?)は結構好きなので個人的には大いに楽しんで聴いている。この曲のみヴォーカルはゲストのオジー・オズボーンなのだが、ゲイリー、コージー、そしてオジーと実に豪華な取り合わせだ。コージーのドラミングは墓場からボンゾが蘇ってきたかのよう(4分17秒からの大爆発!)だし、オジーの見事なプラント唱法(2分44秒からの “ウゥ~♪” なんてもうモノマネ大賞をあげたいぐらい...)が聴けるだけでも貴重なナンバーだ。そーいえば昔ロック川柳で “オジーさん、年を取ったら お爺さん” というのがあって大笑いしたっけ(^.^)
 ロイ・ブキャナンの名曲カヴァー⑥「ザ・メシア・ウィル・カム・アゲイン」はブルースのインスト曲で、ゲイリーの泣きのチョーキングが思う存分堪能できるナンバーだ。ギターという楽器でここまでエモーショナルに泣きまくれるゲイリーのプレイは名人芸と呼ぶに相応しい。⑦「ラニング・フロム・ザ・ストーム」は②を裏返しにしたような雰囲気の曲で世間では全く黙殺されているが、私は結構好き。3分20秒からのギターソロは強烈無比のカッコ良さだ。⑧「ディス・シング・コールド・ラヴ」は「ライブ・ワイアー」の頃のモトリー・クルーみたいなアグレッシヴなナンバーだが、曲としてはやや弱いか。⑨「レディ・フォー・ラヴ」はリズムといい、バックのコーラスといい、アメリカンな雰囲気のロックンロールに仕上がっていて決して悪くはないが、何でこれをゲイリーがせなアカンの?というのが正直なところ。⑩「ブラッド・オブ・エメラルズ」は実質的にはアルバムのラストを飾る大作で、ゲイリーの熱きケルティック魂がビンビン伝わってくるドラマチックなナンバーだ。ゲイリーはこのアルバムを最後にハードロックからブルースへと大きく方向転換してしまうので、後から振り返って考えればアイリッシュ・メロディー横溢のこの曲でハードロック・シーンへの別れを告げているように思えてならない。
 これ以降の彼のアルバムは持っていないが、私としては泣きのソロとマシンガン・ピッキングが十分に堪能できるこのアルバムのゲイリーが聴ければそれでいいのだ。

Gary Moore - After the war