津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

各代々様御所在

2013-12-10 11:50:00 | 史料

山本博文氏の「江戸城の宮廷政治」をみると、忠興・忠利・光尚等の所在を表示したグラフ状の年表がある。
いつの時代、誰がどこにいたかを簡単に知ることが出来るが、これは忠興公・忠利公の往復書状から作成されており、慶長十九年から寛永十八年に及んでいる。

わがブログでも「御代々様御参勤御帰国」を11回に亘り御紹介した。忠興公から齊護公までが網羅されている。
第一回の忠興公では「慶長五年十一月二日豊前国御拝領 十二月廿六日御入国 仲津御居城」から始まっている。
但しこれは表にはなっていないから、一目瞭然とはいかない。

ここでご紹介しているのは、芦屋在住の畏友MT氏からお贈りいただいた、「舞鶴地方史研究・第44号」(2013.4.28発行)に掲載されている、廣瀬邦彦氏の労作「細川幽齋、丹後拝領期居所表」である。解説とも9ページに及ぶものだがその内の2ページ目(表のトップページ)のみをご紹介するが、よくぞこのような物を作られたと感心するとともに敬意を表する次第である。
天正七年から慶長六年に及ぶもので、「織豊期主要人物居所集成」「細川丹後能番組」「兼見卿記」「宮津市史史料編」その他の資料を読破されてのことである。御苦労の程がしのばれる。
座右において存分に活用させていただこうと思っている。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

源蔵の徳利をかくす吹雪かな

2013-12-10 07:47:06 | 俳句

                                         

                                     源蔵の 徳利をかくす 吹雪かな  夏目漱石

 12月14日深夜(15日未明)赤穂浪士が吉良上野介の屋敷に討入り、見事主君の仇を討った。その中に赤埴源蔵がいたが、有名な「徳利の分れ」を主題とした夏目漱石の詠史句である。赤垣と呼ばれることがあるが、赤埴が本当である。

不在の兄(実際は妹聟)の代わりに羽織を借りて話しかけるあのシーンは、涙もろい私は何度となくほろりと涙した思い出がある。
内蔵助の南部坂の別れと双璧と言えるだろう。赤埴源蔵は討入り後、細川家に同志16人と共に預けられた。
介錯役は中村角大夫だが、この人物については勉強不足で詳細を知らないでいる。

                赤埴重賢           芳野 金陵
 赤埴重賢、通稱源藏、鹽山氏。世仕龍野侯、出爲赤穂赤埴某義子。補馬廻、食祿二百石。爲人勇毅忠直、嗜酒。
元祿中、赤穂侯傷吉良義央于幕府、以大不敬、即日賜死封除。命侯弟長廣屏居、尋収城。闔藩恇擾、鳥竄獸走。其刺血而誓、終始一節、執義不變者四十七人。重賢其一也。各自變姓名、四散韜晦、以待官處措長廣及義央焉。重賢則改高畑源野右衞門、縱飲賭博、蕩然無檢束。蓬髪敝衣、數就兄乞貸。比鄰指笑、毫無恥色也。
 後久不來。一日提酒一壜來問。糟氣蓬勃。時雨雪、身穿赤紙油衣。謂嫂氏曰、久不拜晤伯兄。今將有遠行。因欲對斟爲別。嫂曰、歳將改、公事如襲。今朝奉命使各方。還必晩矣。重賢曰、上程有期、不得再過。暫竢其歸。時時問漏刻。已而曰、晩甚。請分一壜、半以奉之伯兄、半以温之賜重賢。聊以擬獻酬。乃喫徐徐、傾耳屐聲數矣。曰、重賢往矣、不得謁也。煩嫂氏。爲善致意。顧望踟蹰而去。兄歸聞之曰、噫、彼猶且然乎。嘆吁久之。
 重賢已去、抵堀部金丸之家、與同盟訣飲。改爲救火裝、約曰、不幸事不成、皆自屠而死。良雄執之節度、抵義央邸。斫前後門而齊入、踴躍力戰。間光興槍義央殪之。衆欣舞、帛裹其首、懸之槍竿。重賢與矢田助武留、灌水竈爐、戒火而去。共赴泉岳寺、獻首侯墓前、拜跪報状、請罪監察。官分拘之四藩。明年二月四日、賜自刃。重賢年三十五。
 其兄嘆曰、彼成此大事。所以沈湎自晦也。予不察、屢辱之。彼必以我爲痴呆。不面而死別、豈徒吾弟之遺憾。壜是吾弟之遺念也。抱以泣。龍野侯聞之、取而視之、感激之餘、椅桐製匣、親書忠義利四字與之。邦人稱壜曰利。所謂貧乏利者是也。
 又傳、重賢從事之前、乘雪問妹夫某、對酌盡懽。與小刀于其子、陰以爲遺念。今不知其所在也。
嗟、爲遺念者埋沒、而所倒棄者則存。物亦有幸不幸歟。當時傳聞、來觀其壜者、撫摩或至泣下。今寳藏于家。今之主人曰勘之助云。
 野史氏曰、天下之遺屨、可以埋澤矣、天下之棄壜、可以成山矣。而天祥之屨、重賢之壜、後世韜櫝珍襲、使人感激揮涙者何也。非以有其精忠鴻義之祗異哉。今也郡縣制立、四海一君、匹夫匹婦、皆其臣民。則斯道也、不可不以講明也。赤穗遺臣之事、誠足以敦薄俗、振民風焉。雖一磁壜之微、予惜其湮沒。因縷記而表之。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする