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電気柵事故(裸電線事故)

2015-07-28 04:25:14 | 自給

電気柵は長年使っている。現に今も養鶏場でも畑でも使っている。電気柵で2名の方が感電死したという事故で、驚いた。私自身何度も確認のために触ってみた。これでイノシシが入らないということが不思議なくらいの、気持ちが悪い程度のものである。何故電気柵で事故が起きたのかわからなかった。報道は電気柵に触れて死亡という表現を使っていた。詳細が分かってきたら、裸電線に人が触れて死んだ事故だ。裸電線を人が近づくところに張っているなどという行為自体が許されるものではない。裸電線を電気柵と呼ぶ報道も、ひどい知識不足だ。電気柵で獣害を防いでいる一人としてははなはだ迷惑なことだ。裸電線を張り巡らせているのでは、事故が起こるのを待っているようなものだ。今回の事故と電気柵を関連付けられては困る。市販の電気柵には、漏電遮断装置が付いている。電気もごく短い時間パルスで流れるようになっている。裸電線を張るのとは全く考え方が違う。初めて電気柵を設置した時には、何度も自分で握ってみて試してみた。気持ち悪いぐらいで、痛いということもない。ところが、イノシシなどには、この気持ちの悪さが応えるらしく近づかなくなる。

もし裸電線を張り巡らせれ漏電を続ければ、電気代だってばかにならない。電気柵はそもそも電気代はほぼかからないものだ。電圧は上げるが、電流は下げる装置もついている。自作出来るようなものではない。電気柵の装置を購入して専門家に頼むのが当たり前のことだ。それほど高いものではない。1万円程度である。電気柵のプラス端子は張り巡らせる線に接続されており、発生したパルス電流は電牧線に伝わる。一方マイナス端子はしっかりと地中にアースする。動物が触れたとき、電線のプラスともう一つマイナス線があったほうが確実である。たとえば、空中でその線に触っても電機は流れない。動物が2本のプラスマイナスの線に触れたとき、気持ちの悪いショックを受け、電気柵に近寄らなくなる。以前、電気柵を危ないから取り除いてほしいと言われて、せっかく設置したのに、取り外したことがある。電気柵が別に危険なものではないということが、その時も理解されなかった。今回のように裸電線を張り巡らしてあるものと同じ扱いを受けることがある。今回の事故でそうした電気柵の誤解がさらに広がることになったのだろう。その責任は報道にある。

裸電線の違法張り巡らし事故と表現すべきだった。私は養鶏をやってきたから、獣害対策には本気で取り組んできた。電気柵はもっとも有効な対策法である。電気柵がなければ今の増えている獣害に対策はないとまで言える。一夜にして、何ヶ月かの耕作の結果をふいにした経験がある。多くの人がそれで耕作をやめることにつながる。今回の感電事故で、電気柵への誤解が広がり、間違いなく耕作放棄地がさらに増えることだろう。電気の知識がいくらかある人で、この電気柵の原理を誤解している人が結構多いい。私はマイナス線と、プラス線を両方張るのが効果が高いと考えている。それは地面が絶縁状態であれば動物に電気が流れないからだ。触れたとしても人体には安全なものでなければ、電気柵とは言えない。人が触れて感電死するようなものと電気柵が考えられるようになれば、大きなダメージだ。

以前も、鳥インフルエンザでは、政府の出した一方的な情報が、鶏を飼うという文化全体の衰退に導いた。鳥インルルエンザの人感染が10年間でどういう経過をしているか、きちっと報道すべきだ。私が当初予測した通り、人人感染は起きていない。これは世界の製薬大企業が、営業のために政府や、国連を動かしているとおもわれる。報道が、科学的な知識を十分に発揮しなければだめだ。安易な報道が社会を変えてゆく。そういえば24時間ぶろというのも、結局なくなった。あれはサルモネラ菌に対する誤解だった。今小学校などで鶏飼育をしているところは少ないだろう。日本鶏は天然記念物であり、日本の江戸時代が作り出した、庶民文化なのだ。今回の事故は電気柵事故ではない。裸電線事故である。その違いを明確にしないと、相当の山の中でも電気柵が使えなくなるだろう。報道は無知というか、無神経さから、さんざ電気柵の誤解を振りまいている責任がある。電気柵が人体には安全なものだということを、伝える義務がある。


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3 コメント

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Unknown (Take)
2015-07-28 08:39:26
倉本聡さんのTVドラマの中に「風のガーデン」という作品があります。
この中でも不用意に電気柵に触れた主人公が気絶するシーンがあるので強い電流が流れていると思ったので、笹鶏さんのこのトピックスの内容は意外でした。間違って触れる事故もあるので「死」に直結するほどではないとは思っていましたが、それでも触れば危険なものだとばかり思っていました
テレビ報道では今回の電気柵は法律に定められた漏電遮断装置などのないもの、と報じられていましたし、川の中にこの電線が落ちての事故とのことでしたので、この事件で直ちに電気柵はやめろという話にはならないのではないでしょうか?
Unknown (Unknown)
2015-07-28 19:38:45
私も無農薬の稲作をしていて、いつも、ブログを読ませて頂き、凄く勉強になります。ありがとうございます。
電柵の事故は、毎度のことながらマスコミの報道にマックス腹がたちます!
毎度のことながら、超過剰にテレビや新聞を通し不安を煽っているのでしょう。
その方が無駄に人が動き規制が厳しくなり何より無駄に経済がが動くからと思っています。

中山間地での農業なので電柵は必需品です。私も年に何度も不注意で触ります。今日も触れました。ビリッとするだけです。

この普通の電柵で人が死ぬなどありえないし、ケガもありえないでしょう。
でも今回の事故はほぼ即死状態だったそうです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150723-00000047-at_s-l22

でも、テレビ報道で、普通の電柵は全く安全で、今回の改造電柵とは全く別物的な報道はほぼない感じです。
多くの一般の方に『電柵イコール超超超危険!』という洗脳に成功したのでしょう。

本当に毎回のことながら、マスコミ報道にうんざりしています。

話は変わりますが、よく笹村さんのブログを見て批判するコメントがありますが、その中に自給的な農的な生き方をする人は皆無だと思います!!

でも俺はいま、マスコミ報道を批判している。俺はブログを批判する人はブログを読まなければ良いと思っている。
だから、俺もマスコミ報道を見ない方が良いのかもしれないです。

変なコメントですいません。
これからも楽しみにしています☆


電気柵のこと (笹村 出)
2015-07-29 05:03:27
電気柵を取り外せとか、危険だから注意しろと言われる意味を、
タケさんのコメントで、むしろ知りました。
そんな風に電気柵を考えている人が多いいとすると、無理もないですね。

電気柵もなれると、効果がなくなるという話も聞きます。
小田原で効果が高いのは、めったに電気柵がないので、あえて嫌なところに近づかないのでしょう。

先日房総に行ったら、もう電気柵のない畑はないほどでした。

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