2016年の麹の仕込み
今年は17,18日と米麹を仕込んだ。順調に推移している。山田錦を使っている点がいつもと違う。
1、「事前準備」、
麹作りは、仕込み前日に米を洗い水に浸す。水に浸す時間は12~20時間。仕込み当日の早朝、米をザルに上げてしっかりと徹底した水切りを3~10時間行う。水切りはタオルを中に入れるなど十分に行う。蒸しはできるだけ高温で一時間以上、やり過ぎと思う位に行う。
2、「麹菌の植え付け」
麹屋さんによると、冬よりも暖かい時のが作りやすいと言われていた。新聞紙を敷きその上に清潔な布を広げ、その上に蒸しあがった米を広げ、しゃもじでスライスしながら、米粒の表面の水分とあら熱をとばす。米粒はべたべたせず、表面が乾いた状態が望ましい。生の米かと思うようなパラパラした感じに近い。麹菌は水分が好きなので、表面が濡れていると、そこに留まって中に入らない。周りが乾いていて、お米の中心が濡れた状態だと芯まで菌が潜り込んでゆく。良く麹菌が繁殖することが重要である。
3、
一部の米をボールに取り、人肌の36°になるまで撹拌し下げる。麹菌を入れて良く攪拌する。全体のお米は湿気を飛ばすように、パラパラ、サラサラの感じで手で広げて乾かす。お風呂の温度を思い出しながら、熱くない感じになるまで行う。冷めたようでも下が熱いので良く上下を攪拌する。
4、
ボールで菌をまぶした米を、広げた米にパラパラとまき散らす。全体に菌を揉み込むように、かき混ぜてゆく。菌がお米の芯に入るように揉みこむように、力を込めてお米をつぶしながら菌を植え付ける気持ちで押さえつける。充分にかき混ぜたら、布で包み一塊りにする。それを米袋に入れる。一袋で11キロまでやれた。1時間以上移動する場合は、カイロを張り、毛布にくるむ。
5、「温度管理」
袋のまま、米麹の中の温度計で33℃位を目標に保つ。ホットカーペットや電気毛布、あるいは湯たんぽなどを使う。湿気が床にまで行くので、ビニールを敷いて置いた方がいい。乾かないように管理する為に米袋はいい。上と床と接する部分では温度が違うので、袋を静かに裏返す管理もいい。温度管理や手入れについては、かなりの幅があるので、どうやってもできるともいえるが、麹室で作るわけではないので、自分なりの失敗のない方法を見つけること。
6、「1番手入れ」
10~20時間後(時間差がある)になり、全体がひと塊りになった状態で、少し良い香りが出てくる。この時に布を取り去り、米袋にお米を直に空ける。米袋の中でよくほぐしてやる。この時も中の温度は35℃前後を保つ、上がりすぎないように、保温を調整する。アラーム付きで、外で温度が分る温度計は便利である。カバーの木箱があると便利である。中の湿度が高くなる。
7、「2番手入れ」
さらに10時間後には、菌が回り始め麹の香りが強くなる。米袋の中の米麹をほぐして、でできるだけ平らに広げてやる。それでも温度が上がりすぎるようなら、袋を切り開き全体に広げる。この段階では保温は室温にもよるが要らなくなることが多いい。でこぼこの山を作り表面積を大きくする。外側がに温度が低い場所ができるので、外側を高めにする。徐々に温度が上がりすぎるので、この点に注意する。40℃は超えないように管理する。
8、「3番手入れ」
さらに10時間するとさら白い麹菌が回わって、塊りになってくる。温度が上がり易いが、40℃を越えないように、良くほぐし表面積をふやす。保温は止めた方がいい場合が多い。40度を越えたからと言ってすぐ失敗と考えないでいい。麹の淵の方が温度が下がりがちなので、外の麹を中に回すように手入れをする。
9、「4番手入れ」
味噌麹の場合は、少し麹の回りすぎて、黄色あるいは薄緑っぽくなる位が良い。米粒を割ってみて菌がお米の中に浸透している感じになるように。どぶろく麹の場合は少し早目の白い内の方がいい。出来る限り10時間サイクルの発酵を4回ないし、5回繰り返す。温度が上がり過ぎの場合は、6時間でも手入れを行わざるえない。途中で温度が下がってしまったり、発酵が足りないようであれば、保温を強くして再発酵をさせる。割合簡単に戻るので心配いらない。
10、「出麹」
米麹が充分出来上がったら、15℃以下の乾燥した場所で広げたまま、乾燥させる。袋のままにしておかない。20時間すると完成する。完成したら、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存する。
追記、留意点
1、良いお米の蒸しを行うには、十二分に水に浸し、十二分に水切りをすること。その上で、強い蒸気で蒸しあげる。湯気が上に抜けてから、1時間は蒸しやる。蒸し過ぎで失敗という事はない。
2、家庭で行うには、米袋方式はもっとも簡単で、一応のレベルに出来る、優れた方法である。米袋1袋で10キロまで可能と言われるが、私は今回11キロまでやった。
3、麹菌が良く回るには、湿度の維持が重要。段ボール箱のカバーなどで覆えば、さらに良い。温度にむらがあるときは、袋ごと裏返すのも良い。
4、米麹は4,5回の手入れで出来上がるが、菌の活動をしっかりと終わりにして、保存しないと、袋の中で再発酵をはじめておかしくなる。
5、保存は案外に難しい。充分に乾燥し、冷やし、その後酸素に触れないように保存している。味噌に使う場合は、塩を出来上がったものに混ぜてしまい、保存しておくという方法もある。
6.麹菌は手入れを行う都度繁殖を休止しているので、出来るだけ手入れの回数は減らし、10時間くらい静かに繁殖を継続させる。固まると酸素が行かなくなるので、ほぐす必要が出てくる。このあたりの状態を観察しての管理が良い麹を作るコツのようだ。
7、全体としては白い塊のようになるのが目標。あれは最終段階でほぐさずに、枯らす。乾燥させることを枯らすという。これは面白い名称だと思う。
8、袋方式では、手入れ後裏返すことが出来る。保温が下側からだけとかの場合、片面だけ暖かくなれば、裏返して温度調整が出来る。
9、出来た麹の断面を観察し、菌が中に食い込んでいるかを研究する。大切なのことや麹菌の出来上がり量。山田錦は中に菌が入りやすいようだ。玄米でやる場合、菌が米の中には食い込めない場合がある。少しでも玄米に傷をつけてやると菌が入りやすくなる。
真夜中に、温度の管理をしながらこれを書いた。