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台中65号の種籾を直播きした。

2024-02-12 04:14:56 | 稲作

 台中65号蓬莱米を直播きにした場所。

 台中65号の種籾を頂いた。長く石垣島でも作られていたお米である。沖縄で30年前の1995年までに奨励品種として作られていた 品種なのだ。今は日本ではほとんど失われてしまった品種のお米である。沖縄では未だに作る農家が残っていたのだ。それを、島根出雲市の台雲酒造会社が酒米として復活させた。

 台湾農業の父と言われ、台湾で勲章を授与された磯永吉博士と末永仁 技師の作出した蓬莱米と呼ばれたお米である。1929年に作出されたとあるから、95年の歴史があるお米である。沖縄では奨励品種として30年前までは普通に作られていた。石垣島の農家の方は大正から昭和50年代まで、多くの農家の方がこのお米を作られていたはずだ。

 蓬莱米と呼ばれ、台湾で広く作られ、沖縄でも作られるようになったお米である。石垣島でこのお米を作られていた方が、今作っているひとめぼれよりもずっと作りやすかったし、多収できたと言われている。西表で8俵採れたという記録があるのは蓬莱米と思われる。

 

 同じ台中65号でもかなり違ってきているらしい。95年の間に品種に変異が生じていると言われている。日本に来て沖縄で作られていたものと、島根で作られているものと、台湾で今に残っているものとは、形質の変化があり、どうも違うらしい。

 一度作ってみたいと考えていたのだが、今回150粒の種籾が入手できた。今回頂いた種籾は遺伝的に、変異のない正しいものと言われていた。種子保存しているものを分けていただくことが出来た。おろそかに出来ない種籾である。慎重に栽培してみたい。

 ともかく作ってみて、味を確認してみたい。自然栽培で作るとお米の味は変るものだ。沖縄の奨励品種としては、味が良くないので売りにくいと言うことで、ひとめぼれに変えられたらしい。実証主義を標榜している者としては、確かめてみないではいられない。


わずか発芽してきたが写真ではよくは見えない。

 評判の高い「ひとめぼれ」という銘柄米なら売れると言うこともあって、沖縄県では奨励品種の変更になった可能性があるのだろう。しかし、ひとめぼれは石垣島では葉が13枚しか出ない、満作にはならないお米の品種と言うことも確かである。これはどの農家の田んぼでも同じ結果が出ている。

 台湾ではミルキーサマーが最近ではコシヒカリよりも人気が出てきたそうだ。多分コシヒカリよりは作りやすくて、味覚が良いからだ。のぼたん農園でも昨年作ってみた。ひとめぼれよりは作りやすいが、13枚しか葉がでなかった点では一緒だった。そこで今年は1月6日田植えならば、何とかなるかも知れないと、現在挑戦している。今のところ順調である。

 そう作ってみて、蓬莱米の生育の観察も行いたい。発芽まで1週間かかった。ゆっくりしている。何枚葉がでるかは健全な生育を判断できる重要な確認の要素である。石垣島の気候に適合している品種であれば、葉は15枚出るはずである。台湾でも稲の葉は何枚でるかを質問したのだが、確認はされていなかった。

 もし台中65号が葉が15枚出れば、磯博士の作出品種が亜熱帯気候に適応した、優れたものであるかが確認できる。まずお米を満作に作ると言うことが私の目標である。満作の作物のお米が一番美味しいし、栄養も豊富で、滋養も深いと考えている。満作であっても、気候と土壌の結果、畝取りできないかも知れない。

 石垣島のお米の収量はかなり低い。だいたい6俵平均である。それは、石垣島の JIRCAS のお米も、県の農研センターのお米も同じに収量は低いはずである。見てそう思った。沖縄のお米の収量が日本で一番低い結果は、農家の栽培が悪いためではない。

 ひとめぼれが亜熱帯の気候に合わないために良く出来ないのだ。沖縄の農家の人はいい加減な捨て作りが多いためだと、主張した人がいたが、それはは全く見当違いだ。見ていて熱心にやられている方が多い。条件に合わないお米をつまり短期間の生育で良くもここまで収穫していると思う。

 東北地方向けの寒さに適合した品種である。夜温が25度以下に下がらない気候の栽培では、東北のお米が出来ないのは当たり前である。それでも良く出来ないでも、売れれば良いというので奨励品種は変えられたと考えられる。まあ採れすぎたら売りにくいというのもあるかも知れない。

 何故、100年も昔のお米である、台中65号を作ってみたいと考えたかと言えば、自然栽培で作れば美味しくなる可能性があるからだ。100年前のお米であれば、当然自然栽培を前提に作られたお米である。化学肥料で作るようになり、まずくなった可能性はあるかもしれない。

 お米の味は栽培法で相当に変るものだ。あしがら農の会では「サトジマン」を長く作っている。サトジマンは神奈川県の奨励品種であった時代がある。所が美味しくないので売れないというので、奨励品種から外された。所が農の会で作るサトジマンは美味しいお米である。何故あんなに美味しいお米をまずいというのか不思議である。

 今も毎日食べているが、サトジマンの味に大満足している。その理由はサトジマンは自然栽培で作ると美味しくなるお米のためだと思われる。化学肥料で作るとまずいお米になってしまう品種なのではないか。お米は栽培法で味が変るのだ。自然栽培で作れば、絶品になるお米もある。

 その意味で、蓬莱米と呼ばれた台中65号は美味しかった可能性は残されている。所が現代の化学肥料時代になり、まずくなってしまい作られなくなった可能性は無いとは言えない。何でも作ってみなければ分からないものだ。もし自然栽培ならば美味しく食べれるお米であれば、復活した方が良い。

 台中65号は1月31日に浸種をした。2月7日に直播きをした。稲刈りは5月末ぐらいになるだろう。まず100株程度実験栽培をした。試食は出来る量採れるはずだ。美味しければ、ひこばえから種籾を収穫して、広げれば良いと考えている。

 種籾は見たところかなり弱い稲に見えた。それでも発芽はした。発芽をすれば、種籾の弱さは問題が無い。遺伝形質的には種に力が無くとも、問題は無い。後は栽培を旨く出来るかだ。大切な種なので、慎重に栽培して行かなければならない。
 
 
 

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