5年前の今日歩いた、熊野古道伊勢路歩きの最終日は、難路、
大雲取越えと、熊野三山の最後、熊野速玉大社参拝の模様です。
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2003年10月20日(月) 第6日
大雲取越え、熊野那智大社、熊野速玉大社
=無事、大雲取を越える=
最終日は、八鬼山と並ぶ熊野古道の難所といわれる大雲取越
えである。今日は荷物も全部持ち、時間もかかりそうなので、朝食
は5時50分と早い。
体操後、バスで向かうOさんとWさんに見送られ、濃い朝もやの
中、19人が小口自然の家を出た。まだ明け切らず、ひんやりした
空気が気を引き締めてくれる。
小口川の支流、東川に沿った小集落の途中から、道標に従い石
段を上がって大雲取道に入る。
「熊野古道(大雲取越え)1」の道標が立ち、以後、500mおきに
ある。陽が差し込まない杉木立の下、薄暗い苔むす石段を上って
円座石に出た。
大岩に、丸で囲まれた梵字(ぼんじ)が3文字記されていた。
小雲取道と同様、この道にもところどころに歌碑が立つていた。
ガスが晴れ、木の間から青空が見えてきた。苔むす石畳が続き、
水のある休憩舎や柿の久保旅籠跡(290m)を過ぎる。
土屋文明の歌碑の先、胴切坂で道はヘアピン状に折れた。3人
は並べるほどの幅広い石畳の急坂、りっぱな杉木立の中を、歩一
歩とゆっくり上り、今回の最高点、越前峠(870m)に着いた。
杉木立の下に歌碑と説明板がある。小口自然の家に同宿してい
た若い女性2人が追いついてきたので、シャッターを押してもらう。
緩やかな下りの後、階段状の急な石畳を下りると流れが現れ、
長塚 節の歌碑があった。歌碑の最初「虎杖の…」は何と読むの
か?、
Nさんが「イタドリ」と言われ、少し先の沢沿いに生えていたのを
教えてもらう。子どものころ、若芽の茎をしゃぶったスカンポだった。
こちらは、斎藤茂吉の歌碑である。
沢を離れて再び上りとなる。左に緩くカーブする辺りで西側の展
望が開け、大台ヶ原方面だろうか、高い山並みが遠望された。
石倉峠(805m)を越えて、杉落ち葉が一杯で苔むす石畳の急坂
を下り、林道の横切る地蔵茶屋跡(702m)に着く。
小さいお堂があり、赤布をまとった石の地蔵さんがたくさん並ん
でいた。
1㎞余り、アザミや白い野菊の咲く沢沿いの車道を進む。岩壁
にはリンドウがたくさん咲いている。
再び山道に入り、粥餅茶屋跡を過ぎる。この先、古道と車道は
何か所かで交差を繰り返す。緩い上り下りを経て、やや急坂を上
り、無線塔横を通過すると、舟見峠(868m)である。
勝浦辺りの海が見えるらしいが、霞んでいて確認は出来ない。
その海の方からの風が冷たい。風を避けて道路際に腰を下ろし、
自然の家のおにぎりを食べた。
少し先の舟見茶屋跡を過ぎると、砂混じりの歩きやすい道とな
った。左手にススキの大群などが見え、冷たい風がやや強まる。
上りも多少はあるが次第に高度を下げ、登立茶屋跡を通過し、
1㎞ほどで広い駐車場のある広場に出た。
もう山道は終わった。ススキや色づいたツツジなど、秋色の彩
りを見せる自然公園を抜け(上の写真・Kさん撮影)、杉木立下の
石段をどんどん下って、待望の熊野那智大社に着いた。
展望広場からは、朱塗りの三重塔の向こうに、山腹を落下する
那智大滝が見える。
バスで回ってきたOさんとWさんが、皆を待っていた。
色鮮やかな朱塗りの熊野那智大社に参拝し、無事到着出来た
ことに感謝する。
そばの西国三十三番札所第1番 青岸渡寺(せいがんとじ)にも参
拝。檜皮葺(ひわだぶき)の古い本堂が、長い信仰の歴史を伝えて
いる。
観光バスやマイカーで来た参詣人が多い。この6日間、自動販売
機やコンビニなど、近代文明から隔絶していた世界から、急に現世
に引き戻されたことを実感する。
土産店などの並ぶ車道まで下り、太い杉木立に覆われた石段を
下って飛滝神社に参拝。祭神は眼前を垂直に落下する那智大滝で
ある。
(鳥居付近と滝とではコントラスト差が大きく、滝の色が飛んでしま
いお見苦しいですが、ご勘弁を…)
土産店の間を抜けて、バスの始発地、那智山神社お寺前の駐車
場まで行き、バスでJR那智勝浦駅に出た。最近は、マイカーと観
光バス利用が主で、電車で来る人はわずかなのか、温泉を併設し
た神殿造りの駅は無人だった。
普通電車で新宮駅まで行き、熊野三山の最後、熊野速玉(はや
たま)大社に向かう。
踏切を越えて駅の西側に回り、1㎞余りで熊野速玉神社に着く。
全員無事、全行程を歩き終えた御礼の参拝をする。
この6日間、ご親族や知人の方々を含め、大変お世話になったN
さんからご挨拶があり、全行程が終わった。
ほとんどの皆さんは市内のビジネスホテルに向かい、私を含め5
人が新宮駅から列車や高速バスで帰途についた。
〈コースタイム〉小口自然の家6・37ー円座石7・00ー休憩舎(水場)
7・20~27ー柿の久保旅籠跡7・49ー胴切坂8・04ー越前峠9・02
~08ー石倉峠9・37ー地蔵茶屋(WC)9・50~10・02ー古道・車道
分岐10・26ー舟見峠(昼食)11・15~35ー登立茶屋跡12・09ー駐車
場(WC)12・33~40ー熊野那智大社・青岸渡寺13・01~11ー飛滝神
社(那智の滝)13・40~50ー那智山神社前バス停(WC)14・00~15=
那智勝浦駅15・23=新宮駅15・44ー熊野速玉神社16・11~25(完)
(天気 晴、距離 17㎞+3㎞(新宮市内)、地図 本宮、紀伊大野、
新宮、紀伊勝浦、歩行地 熊野川町、那智勝浦町、新宮市)
大雲取越えと、熊野三山の最後、熊野速玉大社参拝の模様です。
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2003年10月20日(月) 第6日
大雲取越え、熊野那智大社、熊野速玉大社
=無事、大雲取を越える=
最終日は、八鬼山と並ぶ熊野古道の難所といわれる大雲取越
えである。今日は荷物も全部持ち、時間もかかりそうなので、朝食
は5時50分と早い。
体操後、バスで向かうOさんとWさんに見送られ、濃い朝もやの
中、19人が小口自然の家を出た。まだ明け切らず、ひんやりした
空気が気を引き締めてくれる。
小口川の支流、東川に沿った小集落の途中から、道標に従い石
段を上がって大雲取道に入る。
「熊野古道(大雲取越え)1」の道標が立ち、以後、500mおきに
ある。陽が差し込まない杉木立の下、薄暗い苔むす石段を上って
円座石に出た。
大岩に、丸で囲まれた梵字(ぼんじ)が3文字記されていた。
小雲取道と同様、この道にもところどころに歌碑が立つていた。
ガスが晴れ、木の間から青空が見えてきた。苔むす石畳が続き、
水のある休憩舎や柿の久保旅籠跡(290m)を過ぎる。
土屋文明の歌碑の先、胴切坂で道はヘアピン状に折れた。3人
は並べるほどの幅広い石畳の急坂、りっぱな杉木立の中を、歩一
歩とゆっくり上り、今回の最高点、越前峠(870m)に着いた。
杉木立の下に歌碑と説明板がある。小口自然の家に同宿してい
た若い女性2人が追いついてきたので、シャッターを押してもらう。
緩やかな下りの後、階段状の急な石畳を下りると流れが現れ、
長塚 節の歌碑があった。歌碑の最初「虎杖の…」は何と読むの
か?、
Nさんが「イタドリ」と言われ、少し先の沢沿いに生えていたのを
教えてもらう。子どものころ、若芽の茎をしゃぶったスカンポだった。
こちらは、斎藤茂吉の歌碑である。
沢を離れて再び上りとなる。左に緩くカーブする辺りで西側の展
望が開け、大台ヶ原方面だろうか、高い山並みが遠望された。
石倉峠(805m)を越えて、杉落ち葉が一杯で苔むす石畳の急坂
を下り、林道の横切る地蔵茶屋跡(702m)に着く。
小さいお堂があり、赤布をまとった石の地蔵さんがたくさん並ん
でいた。
1㎞余り、アザミや白い野菊の咲く沢沿いの車道を進む。岩壁
にはリンドウがたくさん咲いている。
再び山道に入り、粥餅茶屋跡を過ぎる。この先、古道と車道は
何か所かで交差を繰り返す。緩い上り下りを経て、やや急坂を上
り、無線塔横を通過すると、舟見峠(868m)である。
勝浦辺りの海が見えるらしいが、霞んでいて確認は出来ない。
その海の方からの風が冷たい。風を避けて道路際に腰を下ろし、
自然の家のおにぎりを食べた。
少し先の舟見茶屋跡を過ぎると、砂混じりの歩きやすい道とな
った。左手にススキの大群などが見え、冷たい風がやや強まる。
上りも多少はあるが次第に高度を下げ、登立茶屋跡を通過し、
1㎞ほどで広い駐車場のある広場に出た。
もう山道は終わった。ススキや色づいたツツジなど、秋色の彩
りを見せる自然公園を抜け(上の写真・Kさん撮影)、杉木立下の
石段をどんどん下って、待望の熊野那智大社に着いた。
展望広場からは、朱塗りの三重塔の向こうに、山腹を落下する
那智大滝が見える。
バスで回ってきたOさんとWさんが、皆を待っていた。
色鮮やかな朱塗りの熊野那智大社に参拝し、無事到着出来た
ことに感謝する。
そばの西国三十三番札所第1番 青岸渡寺(せいがんとじ)にも参
拝。檜皮葺(ひわだぶき)の古い本堂が、長い信仰の歴史を伝えて
いる。
観光バスやマイカーで来た参詣人が多い。この6日間、自動販売
機やコンビニなど、近代文明から隔絶していた世界から、急に現世
に引き戻されたことを実感する。
土産店などの並ぶ車道まで下り、太い杉木立に覆われた石段を
下って飛滝神社に参拝。祭神は眼前を垂直に落下する那智大滝で
ある。
(鳥居付近と滝とではコントラスト差が大きく、滝の色が飛んでしま
いお見苦しいですが、ご勘弁を…)
土産店の間を抜けて、バスの始発地、那智山神社お寺前の駐車
場まで行き、バスでJR那智勝浦駅に出た。最近は、マイカーと観
光バス利用が主で、電車で来る人はわずかなのか、温泉を併設し
た神殿造りの駅は無人だった。
普通電車で新宮駅まで行き、熊野三山の最後、熊野速玉(はや
たま)大社に向かう。
踏切を越えて駅の西側に回り、1㎞余りで熊野速玉神社に着く。
全員無事、全行程を歩き終えた御礼の参拝をする。
この6日間、ご親族や知人の方々を含め、大変お世話になったN
さんからご挨拶があり、全行程が終わった。
ほとんどの皆さんは市内のビジネスホテルに向かい、私を含め5
人が新宮駅から列車や高速バスで帰途についた。
〈コースタイム〉小口自然の家6・37ー円座石7・00ー休憩舎(水場)
7・20~27ー柿の久保旅籠跡7・49ー胴切坂8・04ー越前峠9・02
~08ー石倉峠9・37ー地蔵茶屋(WC)9・50~10・02ー古道・車道
分岐10・26ー舟見峠(昼食)11・15~35ー登立茶屋跡12・09ー駐車
場(WC)12・33~40ー熊野那智大社・青岸渡寺13・01~11ー飛滝神
社(那智の滝)13・40~50ー那智山神社前バス停(WC)14・00~15=
那智勝浦駅15・23=新宮駅15・44ー熊野速玉神社16・11~25(完)
(天気 晴、距離 17㎞+3㎞(新宮市内)、地図 本宮、紀伊大野、
新宮、紀伊勝浦、歩行地 熊野川町、那智勝浦町、新宮市)