魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

物の価値

2020年09月04日 | 日記・エッセイ・コラム
百均で、200円で買ったボーンチャイナのマグカップが気に入っていた。以前から、100円で買ったボーンチャイナのマグを使っていたが、200円のは400ccで、50cc大きい。また、100円のものより、取っ手が大きく、指3本がしっかり入って安定感がある。
初め、100円のボーンチャイナは信じられなかったが、使ってみると確かにボーンチャイナらしい。極めて薄いが簡単には割れない。ボーンチャイナと言っても、色々製法があるのだろう。

このカップで、コーヒーを一日5杯は飲むので、愛用していたのだが、先日ふとした弾みで落としてしまった。
これまでも何度か落としたが、割れなかった。やはり、ボーンチャイナだ!とますます愛着がわいたのだが、先日は、不運にも下に鉄鍋が置いてあり、カーンと縁と縁が当たった。
あわてて拾い上げると、元の形は保っているが、縁が少し欠けている。虫眼鏡で詳細に見ると、大きくひびが入っているが、それでも原形を保っている。なにか、不沈艦、大和の最後のように神々しく、少しウルッときた。

ヒビを確かめるため縁を引っ張ると、取っ手の横が三角片になって外れた。『やっぱり、ダメか』と思ったが、これがまだ百均にあるとは限らない。そのまま残して、その後、10件以上の百均を回ったが、もうどこにも無い。ネットで探しても無いし、数千円のボーンチャイナにも、これに類似するものは無い。
何がそんなに気に入っているのかと言えば、大きさと軽さ薄さ、円筒型の安定性、たいていのカップは底を絞ってあるので転びやすい。そして、何よりも、無地のシンプルさがいい。ネットで売られている高価なものは、必ず着色や絵柄がある。

百均の商品は、基本「間に合わせ」だから、耐久性など考えていない。百均も、常に目新しい商品を出して、「ちょっと買ってみよう」と、思わせる。何か気に入った物があって、しばらくして、同じ物を買いに行っても、無いことが多い。このボーンチャイナも商品リストから外れたのだろう。
こうなると、もう、修理するしかない。また百均に行った。

百均の瞬間接着剤がどの程度か不安ながら、三角片を元の位置に付けてみた。割れ目が分からないほどピッタリと納まったが、スジになった大きなヒビには流し込みようがなかった。縁のカケは何とかしなければ口を切るし、洗う時もあぶないので、これも百均で近頃流行の、レジンで固めた。乾くと、思った以上に、滑らかな仕上げになったので、水を注いでみた。やっぱり漏れる!
点検してみると、取っての裏側にやや大きめのヒビがあり、おそらくそこから染み出しているのだろう。もう一度、裏から接着剤を塗り、引き伸ばしてコーテイングし、紙やすりをかけた。今度は漏れない。
おそらく他のヒビの部分も水分は浸みるだろうが、使っているうちに、コーヒーが浸み込んで目をふさぐだろう。使い込むことができるオリジナルカップになったわけだ。
金継ぎのように豪奢ではないが、百均がまさに唯一無二に変身した。今ではコーヒーが浸み込んで茶色のスジ模様を描いている。この先、同じ製品をどこかで発見しても、この愛器は捨てられない。
200円+100円+100円=400円(カップ+接着剤+レジン)


P.S. なんのこっちゃ!
この記事を上げた直後、出かけた先で、百均を見かけたので、無いのは承知で、念のため入ってみると、
何と!ズラリと並んでいるではないか!おそらく、まとまって入荷したのだろう。取りあえず購入したが、この先、無かった店にも大量に出回るかも知れない。何とも複雑な気分だ。