ラモス夫人初音さんが突然亡くなった。手遅れになるまで周囲が気づかなかった。
弟妹型ではないなと思ったら、一人っ子だった。
考えてみれば、一人っ子ほど堪えるタイプはないと思う。
苦痛も喜びも、一人っ子は比較する対象が無く育つから、自分の苦痛がどの程度のものなのか分からない。
同じ長子でも、弟妹がいれば、痛みの「事と次第」がわかるから、堪えてはいけないレベルがわかる。
しかし、一人っ子は、せいぜい母親しかいないし、母親は、そうそう子供に苦痛を見せない。
他人に相談したり、苦痛を訴えたりする習慣がないから、むしろ、堪えたり、自分をなだめたりする方法を身につける。例えば、痛みが快感になることを発見したりする。
だから、場合によっては、自分自身のストレス調整や体調管理を身につけて、多少の病気は自分で治してしまう、と言うより、だれにも言わないうちに治ってしまう。
一方、弟妹型の場合、自分で管理するより、問題は全て訴えるから、少しでも異変があると、すぐ病院に行く。
特に、中間児の安全主義はどんな些細なことにも敏感で、自分のみならず、周囲の人の病状も気にかけて、病院漬け、薬漬けにしてしまう場合もある。
一人っ子や、弟妹のある長子は、あまり病気に「なりたがらない」。
中には、口癖のように、あそこが悪いここが変だと言っている長子もいるが、病院や薬を勧めても素直に従わない。人に判断して貰うために訴えているのではなく、自分自身で調整するためのかけ声のような「独り言」だからだ。
ことに、一人っ子の場合、周囲に人がいることを忘れているから、無口なタイプは、極限状態になるまで、苦痛を訴えない。
堪え忍ぶことで、自己調整ができ、自力快復する場合も多いが、手遅れになる可能性は、兄弟のある人より高い。
一人っ子も、弟妹のある長子も、自分の事情を人に相談しないから、人の事情にもあまり関心がない。
長子同士の夫婦などでは、日頃、心配事や病気の心配も少なく、平穏な生活だが、一端、起こったら、手遅れの場合が多い。
末っ子の場合、苦痛は訴えないが、いきなり発症する場合が多く、それでいて、手遅れになることも少ない。これは、一人っ子のまったく逆で、自己調整をしようとしないからだ。
問題も病気も、誰かが何とかしてくれることを前提で行動するから、七転び八起きで、猫のように七つの命の人生になる。
「敏感鈍感(2)」