冷戦の始まりは1947年の、トルーマン・ドクトリンだった。
そして、事の起こりは、その42年前のロシア革命だった。
天王星の84年周期と、その折り返し点の42年目は、歴史の現在と未来に大きな示唆を与える。(天王星の84年周期)
現在の中国の行動の、意味と将来を考える場合、42年前と84年前の状況を振り返ってみる必要がある。
記憶に新しい42年前は、文化大革命であり、84年前は毛沢東の武力政権の決意だ。
42年前、1967~8年は、現在の惑星とまったく逆の位置で、土星が牡羊座で、天王星と木星が天秤座に入った時だ。
84年前、1927年は、今年と同じで、天王星と木星が牡羊座だった。
共産党軍事政権の始まりは、この1927年、蒋介石の共産党弾圧から、毛沢東が軍事政権樹立の意志を固めたことに始まる。
その後、共産党軍事政権の樹立に成功したものの、政権運営に失敗し、革命の夢よもう一度と、試みたのが文化大革命だ。
一つの方式がターニングポイントを迎えるのが、42年目であり、その方式が完全に潰えるには、さらに42年かかる。
ということは、今回の中国の暴走は、毛沢東共産党軍方式84年目の、最後の悪あがきということになる。
同時に、文化革命によって、逆に芽生えた民主化と開放政策の意志が、ピークを迎える時でもある。
軍一党独裁が終わると共に、開放政策も行き詰まり、次の方式が芽生え始める。
当然、軍一党独裁がスッと消えて無くなるわけではない。断末魔の大暴れをして、結果的に無くなるということだ。
最も参考になるのは、ソ連邦崩壊だ。軍拡の果ての経済破綻によって、いわば内部崩壊したわけだが、中国の場合はむしろ、経済はうまくいっている。(ように見える)
つまり、ここが、中国のアキレス腱になりそうだ。
軍事国家の経済拡大は自動的に軍拡につながる。だから、経済力の発露も、軍事的な脅しという軍事パフォーマンスをともなう。
しかし、中国人の価値観は金であり、世界経済支配が究極の目的だ。
飯のため金のためなら、共産主義も資本主義も軍国主義も関係ない。
ネズミを捕る猫が発言権を持つ。
軍の存在が、経済活動にじゃまになれば、軍は内部で自滅する。
中国の時代
軍拡抑制の意味でも、中国を経済的に追い込む必要がある。
軍事力誇示により、世界的な信用を落とし、商売ができなくなれば、内部で、軍が立場を失うから、体制が変わることになる。
しかし、どうすれば中国を経済的に追い込むことができるのだろう。
アメリカのように、圧力をかければ、むしろ、軍の発言力を高めてしまうだろう。アメリカ自身の軍事力がちらつくからだ。
強制すれば、長子のプライドの中国は意地になる。かと言って、露骨に仲間はずれ宣言をしても意地になる。
中国を相手にせず、交易を進めればいいのだが、すでに、世界はすっかり中国に入り込まれて、打つ手がない・・・
かのように思えるが、そうでもない。
中国自身が露呈させたチャイナリスクによって、世界は静かに引いていく。それによって軍事国家の経済が衰退すれば、軍事一党独裁が崩れ、新しい体制が生まれることになる。
大転換の時代、軍事力に軍事力で対抗するのは下の下だ。
逆説的に言えば、中国が軍事独裁を捨てる時、本当の意味で中国の時代が来る。
孫子「上兵は謀を伐つ」とは、現代においては経済戦略のことであり、核戦争が不可能になった時代であればこそ、中国自身が「城を伐」ちたがる軍と、縁を切りたがっているのではなかろうか。
中国の時代が来るとすれば、軍政を克服した後だ。
先見の明とは、100年後の軍抜きの中国を見据える目であり、その過程を含めて、先読みをして対処していく智恵だ。