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m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

天満教会

2008-03-23 | 建築巡り・街歩き【大阪】



泉布観の一般公開の前に近くの天満教会とフジワラビルへ寄ってから行くことに。

天満教会を見つけ外観の写真を撮っている時、偶然、この天満教会の牧師さんの奥様からお声を掛けられ、礼拝堂も見せていただけることになった。
そして建物について詳しくお話を伺うことができた。
一見、この教会らしくない地味な造りの建物には実は驚くほど設計者により細かい配慮がなされており造りも頑強であるようだ。

この建物は今から80年前にキリスト教徒でもあった中村鎮の設計により建てられた。
中村式コンクリートブロックというL字形ブロックを用いて造りのしっかりとしたいいものを安価に、そして信者の立場に立って細かいところにも神経が行き届いた設計になっているという。





礼拝堂は聖書が中心であるというプロテスタントの教会のため、説教が一番後ろまでよく聞こえるように音響効果もよく考えられているという。
建物を頑強にするためでもあるアーチは音響効果のために穴がくりぬかれている。









ほっとするような落ち着くこの礼拝堂は全てのもののサイズが25cmの倍数となるような設計がされており、このドアの窓の四角に、ステンドグラス、そして床板、椅子などあらゆるところに25cmの倍数の長さを繰り返し使うことによって人が不思議と安らげるような空間を作り出している。





レトロでかわいいストーブが礼拝堂内に何箇所か置かれていた。
このストーブの蓋の中で焼き芋を作ると美味しいのだとか・・





1階の教会学校は以前は講壇が置かれていたことから緩やかな傾斜がつけられている。





椅子も当初からのものがよく残っており、子供から大人用まで大きさの違う三種類の椅子が揃えられている。





2階のドアから外へ案内される。
造りを頑強にするためには左右対称が一番よいそうで、もともと両側ともこのような階段になっていて左右対称になっていたところ、途中で左側の方は階段をつぶして事務所を建て増しした為現在は左右対称にはなっていないという。

お話頂いた牧師さんの奥様は以前、福岡のやはり中村鎮の建てた教会におられたそうだが地震の時、周りの建物がダメージを受ける中、彼の建てた教会は全く痛手を受けることがなかったことから、彼の教会の頑丈さを実感されたのだそう。
又阪神淡路大震災の時に活断層上にあった建物はほとんどが倒壊してしまった中、同じく活断層上の中村鎮設計の須磨教会だけはびくともせずに残っていたという。
その頃からこの建築家中村鎮の建てた建物に急に注目が集まるようになったのだそう。

この天満教会も古くなり建替えを考えられていたそうだが、この建築家の細やかな思いのこもった建物の素晴らしさ、貴重さを知った今はできるだけ今の状態を残しつつ補修することで大切に使っていきたい、と語られていた。

突然の見学にも快く対応して頂き、貴重なお話を聞かせて頂けて感激したと共に、この教会ができてから5年後の43歳で他界したという中村鎮という建築家にも興味を抱いてしまった。

コメント (7)
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