(前の、『悲しきワルツ』の文章を書いてから既に一週間経っていた。
本当に驚いた。体感では2日くらいだと思っていた。
以下、とりあえず、その後の報告事項として。)
1月27日(土)のポゴレリチの東京公演には、私は行っていない。
チケットは実は持っていたのだが、前後の土日が神社行事でいっぱいで、
とてもじゃないが出られない状況になり、
サントリーホールの前に予定していた歌舞伎座・新国立劇場の切符とともに、
一切合切、都内在住の友人に譲った。
ポゴ氏のリサイタルだけでもなんとかならないかと、随分考えたが、
前も書いた通り、広島―東京の移動時間がどうしても捻出できなかったのだ。
首都圏に住んでいないために、私は実に多くのものを逃し、
失っていることを改めて痛感した。
残念だが致し方ない。ほかに選択の余地が無かった。
そのポゴレリチが、東京の前の北京公演のときから、
下肢をどうかしたらしく、杖を使って歩くようになった、
……と心配する書き込みが、複数のSNSに出ていたのだが、
その真相が、サントリーホールの開演前リハーサルのときにわかった。
私がチケットを譲った友人が、開演直前に、
「ポゴさん、北京で滑って転んで膝を傷めたんだって」
と知らせてくれたのだ。
最初、私は彼女が誰か情報通の人から聞いてきたのかと思ったのだが、
なんと、これはポゴ氏本人の説明により、わかったことだった。
ほかの会場でもそうなのだが、ポゴ氏は開場してお客さんが入って来ても
ステージ上でリハーサルを続けていることが多い。
客席が埋まって行く途上での響きの変化を、彼は弾きながら聴いている。
この日は、そのリハーサルの終わり頃、夫人が彼の旧知の人を案内してきた。
それでポゴレリチは、おもむろに弾くのをやめて立ち上がり、
挨拶をし、舞台上から、脚の件を自分で説明し始めたのであった。
「北京に着いたら気温マイナス7度で、空港の前の道が凍っていて、
そこで滑って転んでしまった(と彼はジェスチャーをした)。
それで両膝を傷めて、手は片方だけ手首に近い部分がちょっと腫れているが、
ダメージは大きくなかった、ラッキーだった、云々」。
ポゴ氏は主に、そのステージ下にいる御友人に向かって話していたのだが、
既に開演時間が迫っていて、着席している人達が大勢いたので、
期せずして、皆にむかって舞台で発表するような格好になり(^_^;、
私の友人もそれで事態を知って、知らせてくれたのだった。
ポゴ氏は東京でも杖を使っていたそうだが、
杖にすがっている状態でもなく、要るとなったら使う感じで、
カーテンコールの動画でも、杖は楽譜と一緒に手に持っているだけだった。
通常、ポゴ氏は演奏するとき、予定曲目の譜面をまとめて持って出てきて、
今すぐ要らない楽譜は「ぺし」と無造作に床に放り出すのだが、
今回は杖も一緒に捨てていたとのことであった(^_^;。
次回から王笏を持って来ればいい、と別の友人がSNSで書いていた(笑)。
気を付けていても転倒するときはどうしようもないものではあるが、
ポゴ氏も65歳、いろいろ関節にクる年齢だろうから、
このあとは暖かくして、よく養生して貰いたいものだと思った。
御本人の言じゃないが、今回は実に幸運であったと言うべきだろう。
あれだけの長身で、相応に体重もあるのだから、
手や指の怪我も怖いし、万が一打ちどころが悪かったりしたら、
演奏会キャンセルどころか、おおごとになりかねなかった(大汗)。
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