転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



このところ低調だったので、なんぞ楽しいことをせねばと、
きょうはアステール・プラザ中ホールにて文楽を観た。演目は、
『艶姿女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)』より「酒屋の段」、
『義経千本桜』より「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」。

どちらも面白かったし、見応えがあったが、
中でも「酒屋の段」の中語りをした豊竹睦大夫の至芸に聞き惚れた。
義太夫は、例えば声優さんのように声を変えるというのではないのに、
瞬時にそれぞれの語り口に変化し、そのことになんの違和感もなく、
人形それぞれの台詞として完全に自然に聴かせていて、
これがたったひとりの、しかも男性による語りだということを、
私は途中ではっと意識して、俄に畏れ入ってしまった
(勿論、このあとに登場した、切語りの豊竹嶋大夫による、
お園のクドキは大変素晴らしかった)。

終わって出てきたら、どこかのテレビ局が取材に来ていて、
「いかがでしたか?」
と観客を呼び止めて感想を訊いていた。
十年前の私だったら呼び止められるよう努力したものだが(!)
今は大人になったので(?)、カメラに入らないよう遠回りして
そそくさと帰った(^_^;。

ところで、きょう義太夫を聞いていて、改めて思い出したのだが、
私は相変わらず長唄だの常磐津だの清元だのの区別が
全然と言っていいほど出来ない。
そのほうに詳しい方によれば、
ローソンとセブンイレブンとファミリーマートの違い、
みたいなものだそうだが。
うちの亡くなった祖父は(例のピアノマニアの)、
ちょっと聞いたらどんぴしゃりでこれらが識別できていたが、
今更ながら彼が天才のように思える(爆)。

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