昨日、正月に行われた夫の同窓会の写真が届いた。
パッパと写真を見ると、夫はそれを私に手渡して
散歩に出てしまった。
「んまあ!伊達メガネなんかしちゃって!」
どこで調達したのか、夫はこじゃれたメガネなんてかけてんの。
視力2・0を誇っていた夫も
ここ1~2年は新聞を読む時に老眼鏡をかける。
しかし鍋をつつく場で、わざわざメガネはないだろう。
「下心ありと見たね」
長男はニヤリと笑う。
「おばさんばっかりだから、不発に終わったかもね」
次男もほくそ笑む。
夫は、メガネをかけると自分が知的に見えると
昔から信じているのだ。
でも、そこに写っているのは
皆と同じ、ただのメガネのおじさん。
「あ!」
長男が叫んだ。
「なんか変…」
集合写真2枚とスナップ2枚で、計4枚。
その集合写真の2枚に、あるものが写っていた。
オーブというらしい。
白くて丸くて、透けている。
そしてそれぞれに、ラーメンのドンブリの底にあるような
細密で美しい模様がある。
大中小、合計3個。
一番大きいのは、夫の胸のあたりにある。
その写真がこれ。
夫は紺色のジャンパーを着ていたので
コントラストがはっきりして、肉眼で見ると模様がもう少し鮮明だ。
直に写したのでなく、写真を写真に撮ったので
私の実力の問題もあり、この程度のものになってしまった。
こういうことに、とりわけ興味のあるほうではないし
意味を考えて悦に入るつもりもない。
ただ、悪いものではないような気がする。
心霊写真と呼ぶには、ほのぼの過ぎる雰囲気が漂っている。
デジカメだと、こういうものが映り込みやすいそうだ。
心当たりがあるとすれば、今回の同窓会で
すでに他界した3人のクラスメイトも、写真と位牌で参加した。
早いうちに鬼籍に入った同級生は、本当はもっと多い。
しかし今回、家族に連絡が取れ
なおかつ写真と位牌を貸してもらえたのが、この3人であった。
3人の家族は喜び「息子の分です」「娘の分です」と
会費まで払おうとしたという。
集合写真を撮る前に、僧侶の同級生がお経を上げて
皆で供養したそうだ。
同級生がその遺影を持って写っている2枚の集合写真のうち
1枚に2個、もう1枚に1個、オーブが現われている。
こじつけがましいが、二人分の遺影が一緒に写っている集合写真には
夫の胸と、壁に大小2個のオーブがあり
遺影がもうひとつ加わって3人分ある集合写真には
天井あたりに中くらいのオーブが1個写っている。
つい遺影とオーブが無関係ではないような気がしてしまう。
帰って来た夫に見せる。
「老眼鏡、老眼鏡…」
と夫は探す。
「この写真に写ってるメガネかけりゃいいじゃん」
「あれは伊達メガネじゃ!」
はいはい、静かに、静かに…
長男が手を叩いて言う。
「これを検証しましょう…3人の亡くなった友達が出席していた…
僕はそう思うのですが」
「はい、そうだと思います」
「もし違っていたとしても、そう思いたいです」
「なんてすてきな同窓会なんでしょう」
各自うなづく。
亡くなった友達に声を掛ける友情…
会費まで払おうとする親心…
これが真心というものであろう。
ここまでされて、参加せずにおらりょうか。
そう考えるほうが、この写真には似合っているように思う。
なんだかしみじみとした夜であった。
パッパと写真を見ると、夫はそれを私に手渡して
散歩に出てしまった。
「んまあ!伊達メガネなんかしちゃって!」
どこで調達したのか、夫はこじゃれたメガネなんてかけてんの。
視力2・0を誇っていた夫も
ここ1~2年は新聞を読む時に老眼鏡をかける。
しかし鍋をつつく場で、わざわざメガネはないだろう。
「下心ありと見たね」
長男はニヤリと笑う。
「おばさんばっかりだから、不発に終わったかもね」
次男もほくそ笑む。
夫は、メガネをかけると自分が知的に見えると
昔から信じているのだ。
でも、そこに写っているのは
皆と同じ、ただのメガネのおじさん。
「あ!」
長男が叫んだ。
「なんか変…」
集合写真2枚とスナップ2枚で、計4枚。
その集合写真の2枚に、あるものが写っていた。
オーブというらしい。
白くて丸くて、透けている。
そしてそれぞれに、ラーメンのドンブリの底にあるような
細密で美しい模様がある。
大中小、合計3個。
一番大きいのは、夫の胸のあたりにある。
その写真がこれ。
夫は紺色のジャンパーを着ていたので
コントラストがはっきりして、肉眼で見ると模様がもう少し鮮明だ。
直に写したのでなく、写真を写真に撮ったので
私の実力の問題もあり、この程度のものになってしまった。
こういうことに、とりわけ興味のあるほうではないし
意味を考えて悦に入るつもりもない。
ただ、悪いものではないような気がする。
心霊写真と呼ぶには、ほのぼの過ぎる雰囲気が漂っている。
デジカメだと、こういうものが映り込みやすいそうだ。
心当たりがあるとすれば、今回の同窓会で
すでに他界した3人のクラスメイトも、写真と位牌で参加した。
早いうちに鬼籍に入った同級生は、本当はもっと多い。
しかし今回、家族に連絡が取れ
なおかつ写真と位牌を貸してもらえたのが、この3人であった。
3人の家族は喜び「息子の分です」「娘の分です」と
会費まで払おうとしたという。
集合写真を撮る前に、僧侶の同級生がお経を上げて
皆で供養したそうだ。
同級生がその遺影を持って写っている2枚の集合写真のうち
1枚に2個、もう1枚に1個、オーブが現われている。
こじつけがましいが、二人分の遺影が一緒に写っている集合写真には
夫の胸と、壁に大小2個のオーブがあり
遺影がもうひとつ加わって3人分ある集合写真には
天井あたりに中くらいのオーブが1個写っている。
つい遺影とオーブが無関係ではないような気がしてしまう。
帰って来た夫に見せる。
「老眼鏡、老眼鏡…」
と夫は探す。
「この写真に写ってるメガネかけりゃいいじゃん」
「あれは伊達メガネじゃ!」
はいはい、静かに、静かに…
長男が手を叩いて言う。
「これを検証しましょう…3人の亡くなった友達が出席していた…
僕はそう思うのですが」
「はい、そうだと思います」
「もし違っていたとしても、そう思いたいです」
「なんてすてきな同窓会なんでしょう」
各自うなづく。
亡くなった友達に声を掛ける友情…
会費まで払おうとする親心…
これが真心というものであろう。
ここまでされて、参加せずにおらりょうか。
そう考えるほうが、この写真には似合っているように思う。
なんだかしみじみとした夜であった。