自治会の組長の仕事も、残すところあと3ヶ月となった。
実はあれからも細かいイザコザが何度かあったのだが
あまりにも馬鹿馬鹿しくて面倒なので書かなかった。
かいつまんで言うと、問題が起こるたびに
Sじじい一味は人数を減らし、最終的には2人になった。
Sじじいに荷担し、自治会を牛耳ろうとたくらむ最後の友…
飲み仲間のOじじいは
下品な巻き舌で、我々役員に精一杯の威嚇を試みていた。
しかし元ヤンの若妻たちと
“日常会話オール喧嘩腰”の義父に慣れきっている私のこと…
そんなのは痛くもかゆくもない。
いくらワーワー言ってもこたえないので
Oじじい、そのうち疲れたのか病気になってしまった。
近所どころか、この世の住人でなくなる日も近いと思われる。
ひとりぼっちになったSじじい、仲間がいないとチュン太郎。
共に戦った役員仲間や近隣住民は、今回のことで一層親しく結束し
静かな日々が続いていた。
さてそんな年末のある日、面白い出来事があった。
なんと、Sじじいが社交ダンスのクラブに入会しているというのだ。
あのツラと、優雅な社交ダンスがマッチしない驚きもあったが
入会したのが義母ヨシコと同じ、公民館のものであったことにも驚いた。
クラブは高齢化で存続の危機に瀕しているという。
そこで、町内の経験者に片っ端から声をかけているそうだ。
やはり平均寿命の差であろうか、男性が不足しているということで
Sじじいにも声がかかったらしい。
去年の夏から、ヨシコがよくこぼしていた。
「誰が誘ったのか、小汚いへたくそなおっさんが入会した」
「みんな、誘った人の人間性まで疑ってんの」
それがSじじいのことだとは、夢にも思っていなかった。
ステップを間違えてはヤケになって投げ出す…
汚れた作業着のまま平気で来る常識知らず…
会話のキャッチボールが成立しないトンマ…
昔は一流店の板前だったなどと大ボラを吹く…
「あんれまあ、うちの近所の変なおっさんとそっくり!」
私もそう言ったものだが
それが同一人物と立証されたのは
社交ダンスクラブの忘年会であった。
忘年会で、くじ引きにより
ヨシコとSじじいは隣り合って座った。
そこでヨシコの胸の名札を見たSじじいは
「うちの近所にも同じ名字の悪魔みたいな女がいてなぁ」
と話し始めたそうである。
背がやたら高くてオカマみたいな女…
年下のくせに目上の自分の言うことを聞かん…
旦那までデカい図体してワシを見下ろしやがって
にらみつけやがるから住みにくい…
うちの名字は、この地方では珍しい。
市内で同じ名字を名乗る者は一族のみである。
ヨシコは着火した。
「あんたっ!そりゃうちの息子と嫁だがねっ!」
「ええっ?!」
Sじじいは顔を真っ赤にして絶句したという。
ヨシコは追撃する。
「あの子たちが何したって言うのよっ!
こんな所で人に悪く言われるような夫婦じゃないわよっ!
あんたが悪いんじゃないのっ?」
Sじじい…そこでどうしたかというと
「あ~、酔った酔った」
と席を立ち、逃げようとしたという。
いかにもヤツらしい。
「待てっ!卑怯者!言ったことの責任取れ!」
ヨシコはSじじいをふんづかまえ
回りにいた人たちも加勢して
Sじじいにさんざん文句を言いまくったそうだ。
「これであの人はもう、クラブには来られないわっ!」
ヨシコは私にすべてを報告し終えると、勝利の笑みを浮かべた。
それにしても…と、再びキッと宙を見つめるヨシコ。
ヒロシのことまで言うなんて!
何がヒロシの図体がデカいよっ!
あの人がチビなんじゃないのっ!
嫁のアクマもオカマも聞き流すが
息子の悪口は許せないヨシコであった。
でかした!ヨシコ!
実はあれからも細かいイザコザが何度かあったのだが
あまりにも馬鹿馬鹿しくて面倒なので書かなかった。
かいつまんで言うと、問題が起こるたびに
Sじじい一味は人数を減らし、最終的には2人になった。
Sじじいに荷担し、自治会を牛耳ろうとたくらむ最後の友…
飲み仲間のOじじいは
下品な巻き舌で、我々役員に精一杯の威嚇を試みていた。
しかし元ヤンの若妻たちと
“日常会話オール喧嘩腰”の義父に慣れきっている私のこと…
そんなのは痛くもかゆくもない。
いくらワーワー言ってもこたえないので
Oじじい、そのうち疲れたのか病気になってしまった。
近所どころか、この世の住人でなくなる日も近いと思われる。
ひとりぼっちになったSじじい、仲間がいないとチュン太郎。
共に戦った役員仲間や近隣住民は、今回のことで一層親しく結束し
静かな日々が続いていた。
さてそんな年末のある日、面白い出来事があった。
なんと、Sじじいが社交ダンスのクラブに入会しているというのだ。
あのツラと、優雅な社交ダンスがマッチしない驚きもあったが
入会したのが義母ヨシコと同じ、公民館のものであったことにも驚いた。
クラブは高齢化で存続の危機に瀕しているという。
そこで、町内の経験者に片っ端から声をかけているそうだ。
やはり平均寿命の差であろうか、男性が不足しているということで
Sじじいにも声がかかったらしい。
去年の夏から、ヨシコがよくこぼしていた。
「誰が誘ったのか、小汚いへたくそなおっさんが入会した」
「みんな、誘った人の人間性まで疑ってんの」
それがSじじいのことだとは、夢にも思っていなかった。
ステップを間違えてはヤケになって投げ出す…
汚れた作業着のまま平気で来る常識知らず…
会話のキャッチボールが成立しないトンマ…
昔は一流店の板前だったなどと大ボラを吹く…
「あんれまあ、うちの近所の変なおっさんとそっくり!」
私もそう言ったものだが
それが同一人物と立証されたのは
社交ダンスクラブの忘年会であった。
忘年会で、くじ引きにより
ヨシコとSじじいは隣り合って座った。
そこでヨシコの胸の名札を見たSじじいは
「うちの近所にも同じ名字の悪魔みたいな女がいてなぁ」
と話し始めたそうである。
背がやたら高くてオカマみたいな女…
年下のくせに目上の自分の言うことを聞かん…
旦那までデカい図体してワシを見下ろしやがって
にらみつけやがるから住みにくい…
うちの名字は、この地方では珍しい。
市内で同じ名字を名乗る者は一族のみである。
ヨシコは着火した。
「あんたっ!そりゃうちの息子と嫁だがねっ!」
「ええっ?!」
Sじじいは顔を真っ赤にして絶句したという。
ヨシコは追撃する。
「あの子たちが何したって言うのよっ!
こんな所で人に悪く言われるような夫婦じゃないわよっ!
あんたが悪いんじゃないのっ?」
Sじじい…そこでどうしたかというと
「あ~、酔った酔った」
と席を立ち、逃げようとしたという。
いかにもヤツらしい。
「待てっ!卑怯者!言ったことの責任取れ!」
ヨシコはSじじいをふんづかまえ
回りにいた人たちも加勢して
Sじじいにさんざん文句を言いまくったそうだ。
「これであの人はもう、クラブには来られないわっ!」
ヨシコは私にすべてを報告し終えると、勝利の笑みを浮かべた。
それにしても…と、再びキッと宙を見つめるヨシコ。
ヒロシのことまで言うなんて!
何がヒロシの図体がデカいよっ!
あの人がチビなんじゃないのっ!
嫁のアクマもオカマも聞き流すが
息子の悪口は許せないヨシコであった。
でかした!ヨシコ!