殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ペアドッグ

2010年01月21日 13時16分43秒 | みりこんぐらし
同じ親から生まれた子犬を

愛の証としてそれぞれの家庭で飼っている

ダブル不倫のカップルがいる。


ペアリングならぬ、ペアドッグ。

夕方になると散歩がてら二人で落ち合い、仲良く歩く。

散歩は数年続いており、子犬も成犬になっていった。


二人とも私と同年代で、女のほうは古い知り合いだ。

人ゴミに紛れたら、探索はまず困難であろうと思われる平凡なお母さん。

男のほうも同じく、ごく普通の小柄なお父さん。

見た目を松竹梅で言うと、梅の上くらいの二人だ。

その意味ではお似合いといえよう。


昔は男も女も、いかにも…な人が中心となって

華やかな噂を散布していたものだが

最近は、まさかのタイプが席巻している。

しかも、まさかのタイプのほうが大胆なことをする。

慣れぬ興奮に舞い上がってしまって

噂になったら…子供が知ったら…というところまで考えが及ばないようだ。


まさかのタイプというのは、この方面では「地味期」が長かったもんで

ひとたび開花すると始末に負えない。

ひっそりと喜んでいればいいものを

必ず人に知らせるように持って行く。


その気は無くても、一度はやってみたかったほうを選択していくと

どうしてもそっちへ行ってしまうようだ。

ごく若い頃に卒業してしまうことを

年を取ってから初めてやろうとするので、無理が生じる。


さらに自分のしていることを人にしゃべりたがる。

地味期が長かった分、恋バナとやらも聞くばっかりだった。

そこで制御不能になるのだと思う。

相手構わず、すぐに「実は私ね…」とニヤケて告白開始。

話し慣れてないので、その内容も面白くない。


これには苦い経験がある。

高校の同級生が近くに住んでいることがわかり

よく遊びに来るようになった。

同級生といっても、人数の多い高校のこと

同じ女子として顔ぐらいは知っていたが

おとなしくてほとんど口をきいたことのない子である。


妻子持ちの男性に交際を申し込まれたとかで

その話ばかりするのに辟易した。

「こう言われたんだけど、私、愛されてるのかなぁ…」

細い目はうるみ、乾燥肌で粉を吹く頬は紅潮する。

…見苦しい。

私のことが懐かしかったのではなく

この話がしたいばっかりに、懐かしさを装って近付いてきたのだ。


私は言いたい…そりゃあ言いたい。

バツイチで子供も巣立ち、現在一人暮らし…

ホテル代がいらないから言い寄られたのだと。


現に男の質を問わないなら、一人暮らしをしてみるといい。

一人だと知れれば、必ず男は現われる。

しかし、そんなことを言っても地味期が長い者にはわからない。

うらやましがって水を差そうとしているとしか、思わないのだ。


結局その男性とは、2~3度遊ばれただけで終了。

別れた途端にうちへ来なくなり、ホッとした。


前出の犬女と私は、長らく疎遠だったが

これも偶然の再会をきっかけに

一時期おノロケ聞かされ隊の一員にされてしまった。

聞くほうは最初びっくりして食いつくが

それは「おめぇ、なんでそのツラで?」のびっくりだ。


そりゃ、顔は関係ないっすよ。

でもね…美しくないヒロインは、観客にとってキワモノでしかないのよ。

長時間の鑑賞には向いてないのよ。


いつも似たような堂々巡りの話なので、何回も続くと飽きてくる。

「へぇ…」「ほお…」「ふ~ん…」の他に

どんな反応の仕方があるというのだ。

話をそらしても無駄。

いつの間にか元の話に戻る魔法の話術。

聞いてるこっちがバカに思えてくる。


いや、本当にバカにされているのだ。

話さえ聞いてくれたら、目の前の相手じゃなくても誰でもいいからだ。

自分のノロケ…つまり自慢のために、他人の貴重な時間を平気で食いつぶす。


私は問いたい。

何が悲しくて、あんな小汚いおっさんと寝にゃあならん?

…問いたいが、やはり妬まれていると思われたら心外なので黙っている。


ノロケも尽きてくると、必ず旦那の悪口になる。

「こうなのよ…だから無理もないでしょ」

という方向へ持って行く。

「よその旦那の前でパンツ脱ぐのが好きです」

と言ってくれたほうが、よっぽどさっぱりする。


バレるきっかけすらわからないので

秘密の関係と思い込んでいるのは自分たち二人だけ。

聞くところによると、男の妻も早くからこの事実を知っているそうだ。

子供への影響を考えて、ひたすら忍の一字だという。

元々細身だったのに、ますます痩せて痛々しい。


家族が知っているとなれば、周囲からだんだん人はいなくなる。

この手の人間は、自分がかわいいばっかりだ。

いざとなったら必ず人を裏切るのを

皆、本能で知っている。

深入りは禁物なのだ。

遠くで眺めるぶんには、なかなか滑稽で楽しめる。


ところで最近、彼らが連れて歩く犬の種類が変わったのじゃ。

シーズー?

なんか、毛が長い小さいの。

やはりペアだ。

前の犬はどうなったのであろうか…

聞いてみたいが、またエロ話のゴミ箱にされてはたまらないので

このまま放置する。
コメント (31)
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