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ソンさんは健康が許す限り、観光客のガイドを続けるつもりだ。

2013-09-12 | 大韓民国
釜山~対馬を行き来する85歳、韓国人最高齢ガイド
2013年09月12日 中央日報日本語版



 韓国人観光客に、日本の対馬の「李王家宗伯爵家御結婚奉祝記念碑」を説明するソン・ヤンスンさん。彼女は「政略結婚をした徳恵翁主が1931年、婚家である対馬を訪問した際に朝鮮人労働者たちがたてた碑石で亡国の恨(ハン、恨み)がこもっている」と語った。

 日本専門の観光ガイドのソン・ヤンスンさん(85、釜山アジュ観光)は今でも毎月3、4回は対馬の案内に出向く。彼女は韓国観光公社に登録された観光通訳案内士約2万人の中で現役の最高齢者だ。1974年に当時の交通部長官から「日本語通訳案内士」の資格をもらってガイドになり、今年で40年目。数年前まで釜山から日本に行く韓国の観光客や釜山に来る日本人たちの韓国案内を主に担当していた。しかし少しずつ手に余るようになり、今は釜山から航路で対馬を訪れる観光客だけを案内している。

若いガイドたちでも船に乗るのを大変がるが、ソンさんは今まで乗物酔いをしたことがない。対馬の烏帽子岳の展望台に若い観光客よりはやくのぼり、揺れるバスの中ではまっすぐ立って説明をするほど元気だ。ソンさんは「『お客さまは神さま』と思って常に緊張しているから」と話す。

1928年忠清南道論山(チュンチョンナムド・ノンサン)で大地主の娘として生まれたソンさんは、46年3月に京城女子師範学校を卒業した。師範学校を卒業後、女子高の教師として4年間働き、結婚して夫について釜山に来た。日本語学院を運営して日本語を学びに来た旅行会社役員の勧めでガイドを始めた。

これまでに日本の大物政治家も案内し、韓国や日本での常連客もたくさんできた。

10年ほど前には細川護煕元首相や岩国哲人・民主党国会議員を含む日本の政治家たちを慶州(キョンジュ)観光に案内した。ソウルのある旅行会社が、ソウルでの会議を終えて慶州観光に向かう細川首相一行を案内する人を探していたところソンさんの名声を聞き、要請をしたという。ソンさんは「慶州観光を終えた後、細川首相が『どうしてそんなに韓国と日本の歴史を見通した説明ができるのか』と言ったのを思い出す」と話した。

一度でもソンさんの案内を受けた日本人たちは、彼女をずっと訪ねてくる。日本の歴史研究会が代表的だ。日本国内の歴史研究学者や愛好者らで構成されたこの集まりは、30年前に始めた韓国内の壬辰倭乱(文禄の役)遺跡の案内を今でもソンさんに依頼している。ソンさんの博識と誠実な案内を高く評価しているためだ。ソンさんの自宅には日本人たちから送られてきた感謝の手紙が数百通もある。この団体は学術誌『歴史研究』2000年6月号でソンさんを優秀な通訳案内員として紹介もした。

「日本の歴史研究会員が韓国の歴史についてこつこつ勉強しているのを見ると、その堅実さは怖いほどです。私たちも日本の悪い点だけを見て一時的に興奮せずに、日本を冷静に知る平凡な人々が多くいるべきです」。

ソンさんは韓国人観光客の日本旅行への引率も数多くこなした。

95年から2005年まで約10年間、地域の報道機関などが主管した「釜山少年の船」の案内も担当した。韓国の青少年に韓国と日本の歴史を理解してもらい、日本の伝統文化を体験してもらう行事だった。ソンさんは帰国の際には必ず対馬の厳原港の常連書店に立ち寄り、日本の時事雑誌を購入する。日本国内の最新の流れを把握して観光客案内に活用するためだ。

ソンさんの「ガイド原則」は厳格だ。船が来る2時間30分前から釜山国際旅客ターミナルで引率する観光客を待つ。顧客のオーダーメイド型案内のために前日に名簿をもらって年齢・職業などを把握する。旅行が終わった後は観光客に電話して不便な点がなかったかを必ず尋ねる。次の案内の時の参考にするためだ。

数十人を引率する際、ソンさんは必ず旗を持っている。「近頃の若いガイドは面倒だといって旗を掲げずに観光客にバッジをつけさせていますが、それは違います。旗を掲げるのが具合悪くても観光客がガイドを簡単に探せるように当然揚げなければなりません」。ソンさんは若い時期にはスーツ姿でガイドをしていたが、今は派手ではない端正な身なりをしている。アウトドア風のかっこうをした後輩ガイドを見たら叱る。後輩ガイドが間違っていたら、その場ですぐに指摘するのだ。釜山~日本を行き来するガイドたちが彼女を「女王ガイド姉さん」と呼ぶ理由だ。

「観光ガイドの仕事は簡単なようだが、民間の外交官の役割をするほど難しい。外国人観光客はガイドの話や品格を見てその国の文化レベルを評価する。この世で最後のガイドをうまくやり終えて、何日か後に死ぬのが夢だ。その次は天国でガイドをしなくてはね。ハハハ」。

ソンさんの座右の銘は「閑禍動福、名不虚伝」だ。「暇になると災いが及び、動けば福がくる。名声や名誉はただ広がったのではない、必ず理由がある」という意だ。舞台で死にたいというあるフランス俳優の夢のように、ソンさんは健康が許す限り、観光客のガイドを続けるつもりだ。