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京都市の龍谷大・深草キャンパスで、講演会:排外主義的なデモが各地で繰り返されるなど未だ多くの課題を残している。

2017-04-27 | ヘイトスピーチは、絶対許せない
排外主義根絶の課題探す/
講演会「ヨーロッパにけるポピュリズムとヘイトスピーチ規制」


講演会のようす

9日、京都市の龍谷大・深草キャンパスで、講演会「ヨーロッパにおけるポピュリズムとヘイトスピーチ規制」が行われた。

昨年6月、日本ではヘイトスピーチ対策法が施行され、差別扇動行為を禁止する法律がようやく法制化されたが、排外主義的なデモが各地で繰り返されるなど未だ多くの課題を残している。

講演会では、1960年にドイツのヘイトスピーチ対策法ともいえる刑法130条(民衆扇動罪が制定されて以降、差別扇動行為を厳しく規制してきた同国におけるヘイトスピーチ規制の現状についてハノーファー大学研究助手のマーティン・ザイファート氏が、近年旧東ドイツ地域を中心に反イスラムを訴える過激デモを組織する右翼団体「PEGIDA」についてベルリン自由大学研究助手のマルクス・ベルナーの両氏が報告。

日本における排外主義の流れと共通するヨーロッパの現状から、今後取り組むべき課題に迫った。

「民衆扇動罪―憲法と集会法に照らして」というテーマで報告したザイファート氏は、第二次大戦後、日本の憲法に値するドイツ連邦共和国基本法で、「人間の尊厳」を根本に規定したドイツにおいて、基本法5条で保護されている「表現の自由」と、ヘイトスピーチ規制法(刑法130条(民衆扇動罪)・集会法・国際刑法6条(民族虐殺))との関連から基本権がどのように制限されるのかを検討した。

またベルナー氏は、「ドイツにおけるポピュリズムと排外主義」というテーマで報告を行った。同氏は、「ドイツ人のための新たな選択」をうたい国内の反イスラム化を掲げた団体「PEGIDA」(西欧のイスラム化に反対する欧州愛国主義者)について、「現在ドレスデンやライプツィヒでは約3千人ほどの参加者たちが、毎週おさんぽと称して夕方に集まりデモをしている。規制する法律は存在するものの、ドイツでもポピュリズムに関する問題が深刻化している」として近年勢力を増す右翼団体へ警鐘を鳴らした。

講演後には全体討論が行われ、参加者たちは、日本でのヘイト煽動についての対策や課題について議論を交わした。

この日、司会・進行を務めた龍谷大の金尚均教授は、「今日の講演会は、ヘイトスピーチ規制が存在しながらも苦労するドイツと、規制法が施行された今もいまだ根強いヘイトスピーチが跋扈する日本の相違点と共通点はなにか、またどのような対処法があるのかを共有することが目的だった」とし、「現在横暴化している排外主義は、一定社会や未来に対する見通しのなさへの不安から、『美しい日本、美しいドイツ』が強調され、その不安をうずめるものとして外国への排他があるとみている。日本社会における排他的な攻撃がいかに問題があるかを今後もつきつめていきたい」と感想を述べた。

(韓賢珠)



日本と共通する排外主義の現状と対策/講演会「ヨーロッパにおけるポピュリズムとヘイトスピーチ規制」より

9日、龍谷大で行われた講演会「ヨーロッパにおけるポピュリズムとヘイトスピーチ規制」では、ドイツにおけるヘイトスピーチ規制の現状と、同国で近年排外デモを盛んに行い「新たな右翼」として注目される右翼団体「PEGIDA」についての報告があった。マーティン・ザイファート、マルクス・ベルナー各氏による講演の内容を紹介する。

最長で5年の刑事罰/マーティン・ザイファート・ハノーファー大学研究助手

ザイファート氏

ザイファート氏は、ドイツのヘイトスピーチ法ともいえる刑法130条(民衆扇動罪)の役割と、基本法5条で保護される「表現の自由」との関係について報告した。

世界でもヘイトスピーチを厳しく取り締まる国の一つとしてあげられるドイツでは、ナチス賛美やホロコースト否定のみならず、国籍、民族、宗教などを理由に特定の人々に対する憎悪の扇動、尊厳を傷つける行為をした者に対し、刑法130条(民族扇動罪(Volksverhetzung))が適用される。

「1960年、反ユダヤ主義再発防止のため制定された同法は、現在ヘイトスピーチを防ぐ防波堤として機能しており、最長で5年の刑事罰を課すことが可能である」と同氏はいう。

報告では、ドイツ基本法5条(表現の自由)について「『自由で民主的な基本秩序』に敵対する場合、言論の自由は『喪失』する」として、あくまでも保障される自由は、「民主的な基本秩序」に基づいたものであることに言及した。

また日本各地で組織されるヘイトデモとの関連から、基本法8条(集会の自由)についても触れ、「基本法『共通認識のもとに集まり、人々のコミュニケーションに依拠した運動ないし展開を示すもの』として集会を定義づけているが、重要なのは自由で民主的な秩序における集会、これに限り集会の自由が厚く保護される」と強調した。

しかし一方で、ドイツ基本法において広義に解釈される「表現(意見)」のなかには、「ドイツの政治的な秩序を破壊しようとする見解」や、「ナチス時代の思想を広めようとする見解」も、基本法の保護のなかに含まれてしまう現状がある。それを踏まえ同氏は、「既に明らかになっているナチスの暴力的な支配や大量殺人などを否定することは、明らかに不当である。意識して不法な事実を述べているため、表現の自由として評価されない」と断じた。

「集会法と基本法(表現の自由)、そして刑法(民衆煽動罪)は、非常に尊重に値すべき価値としてドイツでは存在する。日本の現状とは逆に、これにより政治的な議論のなかでも憲法に敵対的な見解を下火にならせる」
「新右翼」は典型的中流層/マルクス・ベルナー・ベルリン自由大学研究助手

ベルナー氏

ベルナー氏は、「ドイツにおけるポピュリズムと排外主義」をテーマに報告した。近年ドイツでは、「ドイツ人のための新たな選択肢」という党が躍進を続けるなか、東ドイツを中心にPEGIDAと称する「西欧イスラム化に反対する欧州愛国主義者」による運動が盛んに行われている。

過去への反省から政治的迫害を受けた難民を保護する義務を基本法に規定しているドイツは、難民を積極的に受け入れてきたが、近年イスラム国やテロ組織の活発化を受け、ドイツの一部の人々が、難民受け入れに批判的であり反イスラムの意識を強めている。その典型として上げられるのが、PEGIDAの台頭だ。

ベルナー氏は、14年10月、東ドイツの都市・ドレスデンでPEGIDAによる最初のデモが行われ、創始者ルーツ・バッハマンの呼びかけに当時300人以上が呼応し、以降支持者が拡大している現状について指摘した。

ドレスデンでは、PEGIDAによるデモが開催されて以降、ドイツの新保守主義系シンクタンク「国家政策のための研究所」の主宰を務めるクビツェック(Gotz KUBITSCHEK)がPEGIDAの参加者たちの理論的先導者として影響力を高めている。

同氏は、クビツェックの思想が「保守革命・新右翼」というイデオロギー的な拠りどころからきていると指摘。「クビツェックは、主たる敵をドイツにやってくる人々に向けているのではなく政治システムや民主主義に向け、デモの参加者たちに、大物政治家たちを侮辱することでこのような見方により引き寄せようとしている」と非難した。

さらに、日本の排外デモとも似通った様相を持つデモの参加者たちについて「新たな右翼」だと同氏は指摘しながら、「PEGIDAの支持者は、高い給料をもらい且つ学齢のある40代から60代の男性が大半を占めるドイツの典型的中流層だ。彼らは、学歴が低く若年層の暴力的な過激派の層とは異なる存在で年々勢力を増していっている」と述べた。

(韓賢珠)


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