「ベトナム戦争での韓国軍による民間人虐殺資料を公開せよ」
最高裁で最終判決
ベトナム戦争当時に行われた韓国軍の民間人虐殺事件と関連して、国家情報院(国情院)が持つ情報を公開すべきだという最高裁判所(大法院)の最終判断が出た。国情院は判決主旨に従って当該資料を公開すると明らかにした。
最高裁3部(主審=イ・ドンウォン最高裁判事)は25日、イム・ジェソン弁護士が国情院を相手取って起こした情報公開拒否処分無効確認訴訟で、原告勝訴の判決を下した原審を確定したと発表した。これに先立ち、原審はイム弁護士が公開を要求した情報に対し、「大韓民国政府が虐殺事件に関して関係者を調査したかどうかなど、歴史的事実を確認できる史料として意味があり、公開する価値が認められる」と判断した。最高裁判所もこのような判断が正当だと見て、国情院の上告を審理不属行で棄却した。審理不履行とは、原審判断に問題がないとして、本案審理を行わず上告を棄却する制度だ。
イム弁護士は2017年11月に訴訟を起こした後、今回の最高裁の判決まで約4年間、国情院と法廷で争わなければならなかった。イム弁護士が情報公開を要求したのは、1968年2月に韓国軍によって発生したベトナム「フォンニィ・フォンニャット村民間人虐殺」事件の中央情報部(国情院の前身)の調査内容が書かれた文書リストだ。一審と二審は情報公開が正当だと判決を下したが、国情院は「当該資料が公開されれば、国家の重大な利益を著しく害する恐れがある」とし、「調査当事者のプライバシーが侵害される可能性がある」などの理由で公開を拒否してきた。
国情院は今回の判決によって関連情報を公開するという意思を明らかにした。国情院の関係者はこの日、ハンギョレの電話インタビューで「情報公開のための諸般の手続きが進められており、(関連手続きが)完了し次第、確定判決の趣旨に沿って処理する予定だ」と述べた。
これによって、政府がこれまで沈黙してきたベトナム戦争での韓国軍民間人虐殺事件の真相を究明する道も開かれるものとみえる。現在、ソウル中央地裁では「フォンニィ虐殺事件」被害者のグエン・ティ・タンさんが大韓民国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟が進行中だが、政府は「被害の事実は信じられない」として、韓国軍の加害事実を認めていない。「フォンニィ・フォンニャット事件」とは、韓国軍青龍部隊がベトナム中部のフォンニィ・フォンニャット村の住民70人余りを殺害した事件を指す。中央情報部は1969年11月、各小隊長3人など中隊幹部を調査した後、尋問調書や報告書などを残していたことが分かった。イム・ジェソン弁護士は「(中央情報部の)調査文書リストを確認し、実際の文書内容も情報公開請求で明らかにする」と述べた。