「マフィアのようなトランプの同盟観…防衛費6倍引き上げは常軌を逸している」
登録:2019-11-22 08:47 修正:2019-11-22 12:24
登録:2019-11-22 08:47 修正:2019-11-22 12:24
[米国の朝鮮半島専門家5人に緊急アンケート調査]
口をそろえて分担金引き上げの圧力を批判
「米国の要求、過渡で韓米同盟を損なう」
「算定方法の了解もなく数字を提示」
「現行の協定を延長した後、漸進的な引き上げを」
「同盟の価値はドルでは図れない」
ドナルド・トランプ米大統領が19日(現地時間)、ホワイトハウスで開かれた国務会議中に何か不満があるように顔をしかめている=ワシントン/AP・聯合ニュース
「5倍(ドル基準、ウォン基準では6倍)要求は常軌を逸している」。「同盟をマフィアのように取引関係としか見ていない」。「同盟の価値はドルで図れるものではない」
米国の朝鮮半島専門家たちは19日(現地時間)、ドナルド・トランプ行政府の在韓米軍防衛費分担金の大幅引き上げ要求に対し、口をそろえて批判の声をあげた。今月18~19日、ソウルで第11次韓米防衛費分担特別協定(SMA)の締結に向けて開かれた第3回会議は、米国代表団の突然の中断宣言で決裂した。同期間中、ハンギョレがワシントンの主要シンクタンク関係者5人に急遽アンケート調査を行った結果、彼らは機関の路線に関係なく「米国の要求が行き過ぎであり、これは韓米同盟を損なっている」という見解を示した。トランプ大統領が在韓米軍削減カードを取り出す可能性があるという懸念も示した。
専門家たちは、韓国の経済力と軍事力を考慮し、防衛費分担金の引き上げの必要性は認めながらも、トランプ政府が今年韓国が負担する金額の5倍を要求するのはやりすぎだと口をそろえた。米国は今回、50億ドル(約5兆8千万ウォン)近くを要求しているとされる。
ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上級研究員は「韓国はすでに能力や独自の防衛費、分担金で、米国の最高同盟国の一つ」だとしたうえで、「駐屯国に防衛費分担金5倍(引き揚げ)を要求するのは常軌を逸している」と述べた。米平和研究所のフランク・オム上級研究員は、「(分担金算定のための)算定方法(フォーミュラ)に対する相互了解もなく、金額数字を提示することは話にならない」と指摘した。現行の防衛費分担特別協定は在韓米軍の韓国人雇用員の賃金や軍事建設費、軍需支援費を韓国の分担項目として規定しているが、米国は今回、軍務員および家族支援の費用や米軍の朝鮮半島循環配置費用、域外訓練費用など、新しい項目を突きつけて大幅引き上げを要求しているという。
米国の要求は同盟を「金のやり取り」の観点でしか見ないトランプ大統領の認識を反映しており、これは数十年間続いた米国の戦略の変化につながりかねないという点については、批判の声が一層高まった。アトランティック・カウンシルのロバート・マニング先任研究院は「韓米同盟を危うくする緊張が続いているのは、トランプ大統領が同盟を無視していることに起因する」とし、「彼は同盟を不動産取引のように見ている。すべてがマフィアのような取引関係だ」と皮肉った。ヘリテージ財団のブルース・クリングナー先任研究員は、「同盟は取引関係ではなく、共有された価値と目標に基づくものだ」としたうえで、「同盟の価値はドルとセントでは測れない。朝鮮戦争で血で結ばれた韓米同盟の継続的なモットーは『共に歩もう』であって、『金をたくさんくれるなら、共に歩んであげる』ではない」と批判した。民主主義防衛基金(FDD)のデービッド・マックスウェル上級研究員は、「米国が共有された利益や価値、戦略に基づいた同盟構造を維持していこうとするのか、それとも駐留国の資金水準だけに基づく取引的同盟システムに切り替えようとするのか、というのが根本的な質問だ」と分析した。
同盟に対するトランプ大統領のこのような認識は、在韓米軍の削減につながるという見通しも示された。マニング上級研究員は、ジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官が最近、トランプ大統領が再選されれば、北大西洋条約機構(NATO)を脱退できると話した点を挙げ、トランプ大統領の在韓米軍防衛費分担金の大幅引き上げ要求は、二期目の任期で「海外駐留米軍の帰還」を正当化するためである可能性があると指摘した。クリングナー上級研究員は「防衛費の交渉が難航すれば、トランプは『100%補償を受けられなければ、在韓米軍を削減しうる』とした大統領選挙の際の発言を実行に移しかねない」とし、「北朝鮮の脅威が減っていないのに、米軍を減らしてはならない」と述べた。
専門家たちは、「漸進的な引き上げ」が解決策だとして、具体的な代案を提案した。オム上級研究員は「分担(金の算定方法を)急激に変える問題は、1、2カ月で解決できる問題ではない」とし、「まずは、現行の1年の協定を延長し、両者が収容できる新しい算定方法を決めるための交渉を開始すべきだ」と指摘した。マックスウェル上級研究員は「支援項目を新たに作るためには、まず在韓米軍地位協定(SOFA)を改正する必要がある。それによって公正かつ同等な分担金の合意が実現する」と述べた。米国の現在の要求は駐留軍地位協定第5条に規定された「在韓米軍の維持に伴う経費の分担」を超えるという意味と解釈される。マニング上級研究員は「韓米の状況は12カ月ごとに大きく変わるわけではない。毎年費用分担を再交渉するのはナンセンス」だとしたうえで、「3年または5年の合意にするべきだ。韓国が1年に何%ずつ引き上げるというなどの公式を提案することも考えられる」と述べた。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)