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第2次安倍政権の歴史修正の動きに対し、厳しい国際的批判が直ちに巻き起こりました。

2014-10-16 | マスコミ報道をそのまま掲載・資料
「河野談話」否定派の系譜(下)
“二枚舌”が信頼損なう



(写真)「河野談話」と「慰安婦」問題での見解を発表する志位和夫委員長=3月14日、参院議員会館

 安倍晋三氏は2012年9月の自民党総裁選で、日本軍「慰安婦」の強制連行を示す証拠はないとして「河野談話」に代わる「新談話」発出への強い意欲を示し、同年末、政権復帰を果たしました。首相就任直後の「産経」インタビュー(12月31日付)では、「河野談話」見直しを示唆するとともに「村山談話」に代わる新談話発表の意思も示しました。

 こうした第2次安倍政権の歴史修正の動きに対し、厳しい国際的批判が直ちに巻き起こりました。

関係傷つく

 米紙ロサンゼルス・タイムズ12月31日付は、「中国と朝鮮半島の反日感情に火をつけ、新政権は隣国との関係悪化から始まる」と指摘。年明け13年1月3日付の米紙ニューヨーク・タイムズ社説も、安倍首相が「朝鮮人その他の女性を性奴隷として使ったことを含む日本の第2次世界大戦での侵略についての謝罪の見直しを求めるかもしれないと示唆している」として、「恥ずべき欲求」だと批判しました。1月29日には米ニューヨーク州議会上院が、「慰安婦」問題を記憶にとどめる決議を全会一致で採択しました。

 こうした国際的批判にもかかわらず、安倍首相は「村山談話をそのまま継承しているわけではない」(4月22日、参院予算委)、「侵略の定義は、学界的にも国際的にも定まっていない」(4月23日、同)と無反省な発言を繰り返しました。

 そのため、5月1日には、米議会報告書が「慰安婦」問題について、安倍首相の見直し発言が「地域の国々から批判されてきた」と指摘。「これは韓国や他の国々と日本の関係を必ず傷つける動きだ」と強調しました。

 さらに同年末、安倍首相がアジア諸国や米国の批判や警告を無視して、侵略戦争美化の宣伝センターの役割を果たしている靖国神社への参拝を強行すると、米政府は「ディスアポインテッド(幻滅した)」と公式にコメント。中国、韓国はもちろん世界中からの批判が起きました。

 それにもかかわらず、安倍政権は2014年2月、日本維新の会が「河野談話」の検証をけしかけると、維新に「感謝」を表明し、「検証」に着手しました。

 こうした動きに対して、日本共産党の志位和夫委員長は3月14日、「歴史の偽造は許されない―『河野談話』と日本軍『慰安婦』問題の真実」を発表。「河野談話」作成過程と、それ以降の日本の司法による事実認定の両面から「河野談話」の真実性を明らかにし、「河野談話」否定論について「歴史を偽造し、日本軍『慰安婦』問題という重大な戦争犯罪をおかした勢力を免罪しようというもの」と批判しました。それに対する「河野談話」否定派からの反論はいっさいありませんでした。
「人権侵害」

 オバマ米大統領は4月、日本に続いて訪問した韓国で「慰安婦」問題にふれ、「おぞましい人権侵害」と指摘し、過去の問題ではなく現代的な人権問題であるという認識を強調。日米間での価値観の相違も鮮明になっています。

 6月20日に発表した「河野談話」をめぐる政府の検証チームによる作業の結果も、「河野談話」は日本側が自主的に判断したものなどとする結果を出し、報告を受けた菅義偉官房長官は「河野談話」継承を表明せざるを得ませんでした。

 こうして追い込まれた「靖国」派が飛びついたのが、8月の「朝日」検証報道での吉田清治氏(故人)の「慰安婦狩り証言」の取り消しだったのです。しかし、それは自らの論拠が覆されるもとでの悪あがきにすぎません。

 いま、安倍首相は、「朝日」の誤報が「国際社会における日本人の名誉を著しく傷つけたことは事実」などと繰り返し語っています。そして、「河野談話」を「見直さない」とする一方で、「日本が国ぐるみで性奴隷にしたと、いわれなき中傷が世界で行われている」(10月3日)などと「河野談話」を事実上否定する不誠実な二枚舌の態度をとっています。

 こうした二枚舌の態度こそ、国際的信頼を損なうものであり、「日本人の名誉を傷つけている」のです。

 (おわり)

安倍氏は米国訪問の際、米議会幹部とブッシュ大統領(当時)に対して2度の謝罪に追い込まれました。

2014-10-16 | マスコミ報道をそのまま掲載・資料
「河野談話」否定派の系譜(中)
謝罪し政権投げ出す


(写真)2007年6月14日付ワシントン・ポスト紙に掲載された「慰安婦」強制を否定する自民、民主議員らの意見広告

 「戦後レジームからの脱却」を掲げて登場した2006年9月からの第1次安倍政権の1年は、国際社会に挑戦する「靖国」派の歴史観や人権観が全く通用しないことを改めて証明しました。
本質認めず

 「河野談話」見直しを主張してきた首相が誕生するなか、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(「若手議員の会」が名称変更)は、「慰安婦問題に関する小委員会」をたちあげるなど活動を強めました。安倍氏自身は、首相就任当初は「河野談話」の継承を表明しましたが、翌07年3月1日には「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と述べ、軍による性奴隷制という「慰安婦」問題の本質を認めない姿勢を改めて示しました。

 安倍氏のこの発言に対しては、米メディアが「日本は事実をねじ曲げて恥をさらしている」(米紙ニューヨーク・タイムズ電子版、同年3月6日付)と厳しく批判するなど世界中から非難の声が上がりました。当時カリフォルニアの大学で教壇に立っていた東郷和彦・京都産業大学教授(元駐オランダ大使)は「肌で感ずる無気味な『日本否定論』が突如として噴出した」と当時の状況を述べています(『歴史認識を問い直す』)。

 この結果、安倍氏は米国訪問(07年4月)の際、米議会幹部とブッシュ大統領(当時)に対して2度の謝罪に追い込まれました。

「悪あがき」

 それでも「靖国」派は悪あがきを続けました。日本政府に「慰安婦」問題について公式な謝罪を求める米議会下院での決議案採択の可能性が強まるなか、「靖国」派は同年6月14日付の米紙ワシントン・ポストに、「日本軍による強制を示す歴史資料は見つかっていない」「慰安婦は“性奴隷”ではなく公娼(こうしょう)」などとする意見広告を掲載。稲田朋美氏(現自民党政調会長)など自民、民主両党の議員が賛同者として名を連ねました。

 意見広告はさらなる国際社会からの非難をよび、結局、米下院本会議では決議を圧倒的多数で採択しました。決議文は「日本の官民双方の関係者は最近、93年の河野官房長官談話を弱めようとの意思を表明した」と、安倍首相ら「靖国」派の動きを批判し、「(日本政府は)世界に『慰安婦』として知られる若い女性たちに性的奴隷制を強いた日本皇軍の強制行為について、明確かつ曖昧さのない形で、歴史的責任を公式に認め、謝罪し、受け入れるべきである」と求めました。

 同様の決議はこの年、オランダ下院やカナダ下院、欧州議会で採択され、歴史を偽造し女性の人権を踏みにじる安倍政権と「靖国」派は国際社会から糾弾されたのです。

 同盟国である米国からも見放された安倍氏は、7月の参院選で自民党の歴史的敗北という審判を受け、政権投げ出しへと追い込まれていきました。(つづく)