羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

夏の季語・甘酒

2007年08月19日 19時55分08秒 | Weblog
 ひとよざけ、こざけ、とは甘酒のこと。
「白米の粥に麹をまぜて醸した飲料」と広辞苑にはある。
 
 東京では、酒粕を溶かし甘味をつけて飲む場合も多い。
 思い起こすこと1995年、10年以上も前、阪神淡路大震災の時には、造り酒屋さんの酒蔵が倒壊して、東京のスーパーから関西の酒粕が姿を消した。

 再び残暑が戻ってきた今日、レッスンのあとの打ち合わせで、恥ずかしながら甘酒は夏の季語だとはじめて知った。
 夏の暑さに負けないために、甘酒を飲む風習が、日本には古くからあったのだという。

 それで思い出したのが、神田明神下の天野屋さんの建物のことだった。
 地下に麹室を持っているお店の部分は平屋だ。
 で、神田明神さんに向かって、右側が売店で、左側が甘酒等々を飲ませてもらえる喫茶部になっている。 
 喫茶部の左脇には、小さな庭が設えてある。そして夏には、ひとつの趣向が隠されている。
 
 軒の樋に穴があけられていて、水が落ちるようにつくられている。
「滝の白糸」のシーンを思い出していただきたい、と言っても無理かもしれない。今どき新派の舞台などご覧になった方はすくないだろうから。
 でも水芸はご存知では?
「滝の白糸」のヒロインは、水芸人である。
 劇中劇で水芸を披露する場面がある。
 
 天野屋さんのものは樋から水が落ちるような仕掛けになっている。
 そのことを知らないと夕立でも来たのかと錯覚する。しかし、雨の降り方としてはおかしいのにすぐにも気づかされる。そしてそれが夏に涼を演出するものだと分かるのだ。

 水が軒から滝のように落ちてくるだけで涼しくなる。
 水音を聞きながら、夏の甘酒をいただく趣向だ。
 涼しげなガラスのカップに、たっぷり冷たい甘酒を供してくれる。

 これが美味。
 御茶ノ水駅の聖橋口を出る。その橋を渡って、湯島聖堂側でも東京医科歯科側でもどちらでもいい。初めての交差点に出る。その交差点を右折して、神田明神下につくころには、汗でびっしょりになる。
 
 天野屋さんの店内に腰をおろして、滝の白糸を眺めながら、冷たい甘酒をいただくと気分はすっきり。汗もひく。

 夏の季語としての甘酒は、あったかい飲み物だろうか。
 今日の御仁に次回お目にかかるときに伺ってみようかな。

 天野屋さんは江戸時代からの伝統を守っている。
 米麹の甘酒は、四季折々に味わいのある飲み物だ。
 
 ぜひ、お近くにいらしたら立ち寄ってみてはいかが。
 オススメ!
コメント
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