羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

親指の感覚は……「おへそのまたたき感覚」なのよ!

2007年08月10日 19時38分40秒 | Weblog
 昨年ころからだろうか。都心の暑さをしのぐために、「打ち水」を政府が音頭をとってはじめたのは。
 ご丁寧にも浴衣姿の若い女性たちが、木の桶を抱えて打ち水をする。
「まったく、焼け石に水」
 あのくらいの水の量とやり方を見せられると、思わずダメ出ししたくなる。

 我が家の近隣は、結構、水まきをしている。
 隣家のお嫁さんは、水がジェット噴水になる器具をつかうので、ものすごく大きな音がする。
 他には、如雨露を先につけたホースでまく家もある。
 私はというと、これが自慢の一つである。
 植木屋さんに習った方法だ。
 ホースで水まきするときに、ほとんどの人はホースをつぶしているのではないだろうか。そうすると水は大きく二股に分かれて、勢いがありすぎる。
 植木屋さんから教わった方法を書いてみよう。
 まず、私の場合右利きなので、左手でホースの端から40センチくらいのところを持つ。
 次に右手の親指をホースの端に当てて、円をふさぐ。ふさぐ量によって飛び出す水の量を調節する。半分くらいを目処にするのだが、霧のように水が細かく分かれるところを指先で感じることが大切なのだ。
 蛇口から出る水の量にあわせて指を動かしながら、距離も調節できるようになるには練習がいる。この方法で行うと植物に直接水遣りをするときに、葉や幹や土にかかる刺激が少ない。水鉄砲のような出方ではまったくないからだ。

 実際に水は霧状になるわけで、ふさぐ度合いを調節している親指にあたる水はとっても柔らかい。
 この話を母にしたことがある。
「そうなのよ、水って柔らかいのよ」
 母は10代のころ、多摩川で泳ぎを練習したらしい。多摩川といっても広ろうござんす。調布から一駅目の京王多摩川である。
 その近くには、日活撮影所があった。
 で、その撮影所の人が、母の泳ぎを見て、こんな注意をしてくれたのだという。
「手首を柔らかくして水の表面をやさしくなでてご覧。ほらっ、水ってそんなに柔らかいんだよ。泳ぎにはその感じを忘れないでね」

 野口体操の「おへそのまたたきの原理」(働く筋肉の量は少なく、働く筋肉の時間は短く、働く筋肉の度合いは低いほどいい)が、そのまま水泳に通じるのだ。
 そしてホースで水まきをするときに、親指の感触はまったく同じである。
「おへそのまたたき感覚」がうまくいきたときに、蛇口から長いホースを伝ってくる水は、霧状に柔らかく細かく分かれてくれる。

 このようなホースを力ずくでつぶさない方法を教えてもらったのは、かれこれ10数年以上も前のこと。
 この方法を身につけると、器具をつけなくても、如雨露よりももっと細かい霧状を作り出すことが出来る。霧の細かさを親指一つで多様に変化させられるのだ。水まきがとっても面白く楽しくなること請け合い。

 打ち水を教えるのだったら、このやり方を伝授してもらいたいと思いながら、先ほど6時のニュースを見ていた。

 本日、猛暑日。
 熱帯夜を覚悟しようぞ。
コメント
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