羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

半透明の美

2007年04月15日 09時04分01秒 | Weblog
 すがすがしい季節になった。
 昨日は、初夏を予感させる気温と空気だった。
 朝日カルチャー土曜クラスを終えて、いつものメンバー数人と住友ビルを出た。
 レッスンが終わって、こうして新宿駅まで向かう道々の会話がまた楽しい。
 話しながら何気なく風景に目を向ける。
 するとビルの形状が夕暮れの光をうけて陰影をくっきりと見せていた。
 
 それから新宿駅でそれぞれの乗り物に分かれて乗る。
 6時過ぎて、自宅のある駅を降り立った。帰りの道々、西の空が夕焼けに染まりつつある感じを受けていた。というのも建物が密集していて、空全体を眺めることが出来ない町に住んでいる。

 家につくと鉢の土が乾いていて、そこでも気温の高さを感じた。
 今朝は時間をかけて一鉢ずつ丁寧に水遣りをした。久しぶりに心を込めていたように思う。
 水を吸った木がみるみる元気になっていくのがわかる。
 土が水を吸い込む音がする。

 朝の仕事を一しきり終えて、マガジンを手に取る。
 日曜日隔週に配られる『HTE NIKKEI MAGAZINE』である。
 白地の表紙に載っている和菓子に目が吸い寄せられた。 
 吉野葛をつかった涼やかな風情。あわい若草色の餡が透けてみえる。

「もう、そんな季節になったのだ」
 心得のある方なら、ここで一句。無調法な自分がちょっと寂しい。
 
 このブログを打ち込んでいるパソコンを背負っている北窓が開いている。
 ふぅーっと、風が忍び込んで、やさしく包んでくれるようだ。
 ちょっとひんやりしているかな。

「葛粉に水と少量の砂糖を加えて、熱すること十分。葛はすぐに作業をしなければ固まってしまう。一瞬、水につけるものの、七十度もの熱さに耐えながら、手早く餡を葛で包んでいく。最後に数分蒸せば、葛饅頭の出来上がりだ。蒸すことで葛本来の野性味が和らぎ、温かみが伝わってくる」ーー特集「葛の力」から

 表紙には小さな文字でそう記されている。

 翡翠に代表されるような半透明の美しさを日本人は好んできた。
 『原初生命体としての人間』のなかにも、半透明の美について書かれたフレーズがある。こちらは野性味たっぷりの美しさではあるが。

 日本の初夏は半透明の美しさが際立つ季節かもしれない。
コメント (4)
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