和名では海老根と書くようだ。
球根の形が海老に似ているのがその理由らしい。
「ポツンと一軒家」へ向かうような、頼りない道を行きついたところに「エビネ」はひっそりと咲いていた。
焼き物の瓶が両脇に並べられ、道案内を果たしてくれる。
シャクナゲも何本か色を添えている。
すぐ足元に満開の一株が咲いていた。
斜面に沿って咲いているので、撮影にはとても好都合である。
屈まなくても良い角度で撮影できるということだ。
群生している株たちも結構ある。
びっしり褥となって地面を覆うのは、周囲を覆う杉林の落葉である。
木漏れ日をスポットライトの様に浴びて存在を誇示する。
縞状に影を落とす杉林の環境が生育に一役買っているのか?
微妙に彩が異なっており、目を楽しませてくれる。
大き目の葉に不釣り合いの小花が多数ついて、絶妙のバランスを保つ。
純白の花が光り輝く様は、本当にいとおしい。
ほどよく手入れされた環境が、多くの花々を育てる。
朽ちた切り株を引き立て役にして、我が存在を引き立たせる。
スポットライトを浴びた千両役者の立ち姿。
エビネと競うように、シダも我が姿を精一杯伸ばして・・・
まさしく山野草の如く群生しているものもある。
「エビネ屋」っと大向こうから声がかかりそう。
総立ちで、遠来の客を見送りをしてくれるのか?
額縁に納めたいような、エビネの晴れ姿。
管理のための志を「松の露」ほど・・・
するとこのご婦人たちが、心を込めた茶菓でもてなしてくれた。
長閑な里山の一角に、エビネの里がひっそりと残されたいる。