みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

脱成長のコミュニズムへの転換を

2021-02-21 07:17:12 | 社会
東京新聞の連続企画「あの人に迫る」2月20日号の林啓太氏署名の記事に目を開かされた。

新型コロナウィルスの流行は、国内外で多くの命を奪っている。それなのに、感染を押さえ込む対策は空回りしているかに見える。「背景には地球規模で発達した資本主義の矛盾がある。脱成長コミュニズム(共産主義)への転換を」。こう訴えるのは、大阪市立大准教授で経済思想家の斎藤幸平さんだ。



人類の経済活動が、環境を破壊し尽くす「人新世(ひとしんせい)」と呼ばれる時代に突入したと指摘する科学者たちがいます。大量生産・大量消費の経済を回すために石炭、石油、天然ガスや、電子機器に組み込むレアアース(希土類)を大量に採掘する。東南アジアや南米の熱帯林を伐採する。修復不能なほどの環境破壊が、パンデミック(世界的大流行)だけでなく気候変動をも引き起こしています。それでも開発を止めようとしない。人々の安全よりも、利潤を優先するからです。

彼(マルクス)は生産力至上主義者で、経済成長を賛美していると批判されてきたのですが、実は環境の持続可能性を考えていた。

コミュニズムと聞いて忌まわしく思う人もいるでしょう。ただ、ソ連や中国をはじめ、これまでに存在していた「共産主義国家」は、生産力至上主義の体制で、実質は資本主義だった。官僚がトップダウンで企業を管理していたに過ぎません。

脱成長コミュニズムの実現に、ロシア革命や中国革命のような暴力の行使が必要だとは考えません。3.5%の人々が非暴力の方法で立ち上がると社会が大きく変わる。

資本主義に緊急ブレーキを掛けることです。際限のない利潤追求をやめる。人間が住めなくなるまで地球環境を破壊し、長時間労働に苦しみながら大量に生産・消費・廃棄する経済システムと手を切るのです。

もうけにとらわれずコモン(生活に不可欠な物やサービス、資源や生産設備などの共有財産)に重きを置けば、人新世の危機を乗り越えられると考えています。

斎藤幸平というこの人を私は知らなかった。1987年生まれ。2018年、世界のマルクス主義研究の最高峰とされる「ドイッチャー記念賞」を日本人初、史上最年少で受賞。著書「人新世の『資本論』」(集英社新書)が「新書大賞2021」(中央公論新社主催)に選ばれた、という。