何から話せばいいのか。
えーとね、俺、P.K.ディックの「火星のタイムスリップ」はとっくに読んだ、と
思い込んでたんだけどその実、読んでなかったのだった。
今回新装版を手に入れて、初めて読んだ。すごかった。
えーとその前にこの、おでこに「冷えピタシート」を貼った哀れな姿のこと(見えないだろうけどさ)。
何と何とあのもはや旧聞に属する(と思っていた)
コービット19に、感染してしまった。参った参ったマイルズデイヴィス。
・・・・・前回、エレキギターのことをメカゴジラ、などと安易に例えたバチだろうか。
いや、どうも僕にはヴイルスって、もしも目に見えたら
ピカピカのそれこそ、微小な微小なメカゴジラみたいな姿をしてるんじゃないか?などと昔、
想像していたから。
しかしその症状はキツイ。熱出るし、頭痛いし・・・・咳出るし(そりゃ出るか)。
それで偶然、この前の日曜日(発症前)に近所の巨大ブックオフで、ディックの著作を
2冊も発見して狂喜して買い込んでいた。
しかもそのうちの一冊「火星のタイムスリップ」は、とっくに読んだ・・・と
思い込んでいた。
発症したのは火曜日で、初めの二日ほどは本も読めない有様だった。
でも三日目くらいから徐々に読書欲が息を吹き返して来て、
ほぼほぼ三日かけて読み切った。ディックなので御多分に漏れず悪夢のような世界観で、
そんな小説を発熱、頭痛、という悪夢の中で読み通せたことはなかなか、
貴重な体験だった。悪夢の二乗である。
しかし、これ傑作だ。しかも面白い。ディックの作品群の中でも五本の指に入るのではないか。
初めの2ページで、あ・・・・これ読んでねえやと気づき、すごく得した気分になった
何故読んだと思い込んでたんだろう??まあいいや、
この作品はそういえば村上春樹さんもだいぶ以前のエッセイで話題として取り上げていて、
電車の中で葡萄食べながら夢中で読んだそうで、
『僕の持っている「火星のタイムスリップ」は、だから、葡萄の染みがついているのです』
と書いていた。
そして、
春樹さんの初の作品「風の歌を聴け」の中に、
火星を訪れた男が時空の歪みに沿って掘られたトンネルを抜けて
そうとは知らずに遥か何億年先にタイムスリップしてしまう・・・・という短いエピソードがあった。
非常に素朴なものだが、火星のタイムスリップ、そのものではないか。
ディックの、本家の「火星のタイムスリップ」はもっともっと複雑で、でも面白すぎる作品だった。
ひぃー、俺、これを「読んだ」と思い込んでたのね。馬鹿だ。
ディックの長編作品の中には、わりと似たパターンの、救いのない悪夢・・・的な作品も多く、
はっきり言って面白くないものも、何冊か存在する。でもこれは大アタリだった。
しかし読書的な体力も相当ないので、読んでは眠り、読んでは眠り、していたら
僕自身も面白い夢を見ることが出来た。
「明晰夢」というらしいのだが、夢の中でこれ夢だ、と気づく・・・・のに、夢はまだ続く。
物事が行き詰まると、夢だからいいや、起きちゃえ!目覚めることが出来た。
それで、続きを見ようと思ってまた眠ったらちゃんと続きが見られた。
そういうことが何回も何回も、あった。
楽しい夢ばかりではなかったが、飛び切り楽しい夢もあった。
さてこの現実は夢なのだろうか?俺は本当に、
二回も、あのブービートラップ(コロナね)に引っかかってしまったのだろうか?
覚めろ!と念じたら覚めるのだろうか。
わからない。とりあえず、念じてみるのは止めとくよ。
さて、まだコーヴィッド19の影響下から抜け出し切れてない、
まだ療養中のヨレヨレの私ですが、
ちょっとだけ来月のライヴのお知らせしときます。
2024年、7月13日 土曜日は
我々のロックバンド
ROCA’66
が大阪・梅田のライヴハウス、「ハードレイン」に出演します。
競演は
アサオカ01,カワサキ&ブギー(AK&B)
正垣祐樹 ソロ
MONKEY BUSINESS EXTRA LIGHT
出演順とかはまだ未定。
なかなか、心温まる出演者が決定してくれたのできっと、
いい夜になるでしょう。
アサオカ君も、ショウさんも、モンビジさんも久しぶり。嬉しい。
このメンツだと殺伐する方が難しい気がする。